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Case Study実績・お客様事例

富士重工業 様(CDAJ news vol.63)

設計者向け解析支援システム「ライトCAE」で「ESTACION」・「STAR-CD/STAR-CCM+」をご活用

富士重工業 株式会社 スバル技術本部 様
CDAJ news vol.63お客様紹介コーナーより抜粋
発行日 2011年3月

解析種別:流体解析
課題等:筒内流動、定常流解析

省略

使い、磨きあげられるシステム。

「ライトCAE」は、弊社のCCSCでも成果発表いただきましたが、あらためて、概要についてご紹介ください。
CFDやCAEは、開発の初期段階、いわゆる"仕様が柔らかい段階"で活用し、開発の途中段階まではなるべく"お金"と"時間"を使わないようにし、試作して確認するのは最後だけ、というフローを取っています。私どものようにCAE専任者が使うCAEツールを「パワーCAE」、一方で、設計者自身が比較的簡単に使うことのできるCAEツールを「ライトCAE」と呼んでいます。また「ライトCAE」の中でも、流体解析、構造解析などそれぞれの領域での「ライトCAE」が存在します。今回ご紹介するのは「"流体解析向け"ライトCAE」ということになります。(注:以下の文中の「ライトCAE」とは流体解析領域におけるシステムを指します。)
「ライトCAE」では、設計者は使い慣れたCADから解析を実行でき、ESTACIONを利用して計算設定から結果処理までを自動化しています。結果はメールで送られてくるので、設計者は計算実行後、別の業務に取り掛かることができます。また、CAE専任者のノウハウを組み込み、設計者が入力する計算条件の設定を必要最小限にし、漏れのないよう、ウィザード形式でナビゲートするように工夫しています。解析対象は、CAE専任者がこれまで行った、既に手法が確立できている吸気ポートや、排気ポート、吸排気管の定常流解析をメインに行っています。
スバルの「ライトCAE」が他の設計ツールと異なる点は、結果がメールで届くことと、ESTACIONの管理ツールを利用して、設計者のCAE実行状況を常時確認できるようにしているところです。管理者が、設計者のCAEをフォローする仕組みがあるのが特徴だと認識しています。
図1「ライトCAE」の目的(上)と概要(下)
図1「ライトCAE」の目的(上)と概要(下)

ものづくりに必要なことなら、何にでもチャレンジするマインド。

「ライトCAE」を安定的に運用・活用するために、継続して取り組まれていることはございますか。
操作方法や新機能紹介、流体の基礎知識の習得といったコンテンツで「ライトCAE」の社内ユーザー会を開催しています。そのほかには、ケアレスミスの低減に向けて、啓蒙活動も継続して実施しています。せっかく忙しい中、設計部の皆さんには解析に取り組んでもらっていますので、これによって技術的知見が広がり、レベルアップに貢献できればと考えています。
私は、このお仕事を引き受けてから、誤った利用方法による「ライトCAE」への誤解が生じないように、きめ細かいサポートを実施しています。たとえば、計算精度を実験結果と比較する際、実験値は静圧差ですが、CAEは全圧差を使っているため、異なる指標で比較するべきでありません。しかし、この事実に気付かないと「ライトCAEの精度はあてにならない」と勘違いされてしまいます。そこで「ライトCAE」の操作方法のサポートから一歩踏み込んで、物理現象を理解してシステムを"賢く使う"ためのサポートになるよう心がけています。
エンジン開発においては、設計初期段階の検討をいかに高精度に行えるかで素性が決まってしまうので、この委託業務の重要性を認識しています。万全な管理体制により、設計現場の最前線を自分が支えているという自覚を持って取り組んでいます。
当初は定常計算にのみ適用されていたようですが、現在では非定常の筒内ガス流動も「ライトCAE」化されていますね。こちらの経緯と、今後の機能拡張についてご紹介いただけますか。
「ライトCAE」の目的の一つは、比較的易しい定常流解析は設計者が実施し、私どもCAE部員は難易度の高い解析に注力することでした。しかし、実際に稼動し始めると、新たな課題が出てきました。定常タンブル比と流量係数のバランスが良い吸気ポート形状を設計したので、筒内ガス流動解析で非定常タンブル比を確認して欲しいという設計部からCAE部への解析依頼が急増したのです。筒内ガス流動解析は、難易度が高く、燃焼解析まで実施できる技術者はCAE部にしかいないため、ライトCAEの普及がCAE部への負担を増やすことになってしまったのです。
そこで、筒内ガス流動も「ライトCAE」化することにしました。スバルでは、燃焼室とポートを別々にメッシュ作成し、STUB面で接合していたため、この手法を利用すれば、「ライトCAE」に組み込むことが可能だと判断し、CDAJさんに実用化を依頼しました。非定常の筒内ガス流動を設計ツール化しているのは、多分、スバルだけと思いますが、管理者が常にジョブを監視しているので、思い切った戦略が打てました。
図2 非定常筒内流動解析への機能拡張
図2 非定常筒内流動解析への機能拡張
現在はテトラメッシュを採用していますが、今後は、ポリヘドラルメッシュ化を検討しています。これは、STAR-CCM+の機能をフルに活かし、収束性を向上させる為です。また、私は、数ヶ月前まで設計部におりユーザーの立場でしたが、「ライトCAE」を設計現場でさらに有効に活用するためにCAE部に異動しました。そこで、これまでの経験を活かし、設計者の立場から機能改善を提案する予定です。
機能拡張すると、それに伴ってユーザーのレベルを上げて行く必要があります。前述のとおり、「ライトCAE」社内ユーザー会などを通してのトレーニングは継続していますが、それとは別に、CAE部では日本機械学会の計算力学技術者(CAE技術者)資格取得にも積極的に取り組んでいます。ツールの操作は、覚えてしまえば誰でもできます。しかし、理論的に裏づけのない操作をこなしていたのでは、技術レベルアップにはつながりません。
省略

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分野1:
熱流体解析
分野2:
システム開発(解析システムを含む)
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