IDAJ

Case Study実績・お客様事例

小林製薬 様(CDAJ news vol.55)

新製品開発に「STAR-CD」による「受託解析サービス」をご活用

小林製薬 株式会社 研究開発カンパニー 日用品開発部 芳香・消臭剤開発グループ 様
CDAJ news vol.55お客様紹介コーナーより抜粋
発行日 2009年3月

解析種別:定常、熱流れ解析
課題等:消臭剤、受託解析、ゲル

省略
今回の受託解析サービスによるCFD解析結果は、どのようにご活用いただいたのでしょうか。
消臭剤というのは、なかなかその効果を実感しにくい製品です。以前から、なんとか目に見える、わかりやすい形でその効果を確認できないかと考えておりました。そこで、中心部に穴をあけた新構造の製品の効果検証に、流体解析を活用してみてはどうかと思いついたのです。私も、当初はインターネットなどを使って、色々と調べて何社かお声をかけさせていただきました。その中から御社に決めようと考えたのは、やはりなんといっても、流体解析分野における豊富な実績です。そして、解析についてあまり知識がなかった私に、コンサルティング営業担当の方が、丁寧でわかりやすいご説明と的確なご提案をしてくださった点にあります。
どうもありがとうございます。確かに、このお仕事をご依頼いただいた時期は、非常にタイトなスケジュールで開発を進められていたと記憶しております。そのご要望にお応えできるよう、技術者とも協力し、なんとか結果をお納めしたものがこうして製品となり、私自身とても嬉しいです。
はい、弊社は開発スピードを非常に重要視しており、当時はスケジュール的にも検討の時間がわずかしかありませんでした。そのような中で要望の納期に間に合わせていただいて、本当にありがとうございました。今回の流体解析は、空気の流れを利用して効率よく消臭することができる製品(部屋用芳香消臭剤)を開発する中で、製品周りの空気の流れを調べる(可視化する)ということが目的でした。この結果によって、製品開発の方向性の確かさ(効果)を改めて確認でき、社内でのプレゼンでは大変好評でした。
それでは次に、具体的な解析内容についてお聞かせいただけますか。
「消臭スイコム」は、以下の特長をもった新構造の芳香消臭剤です。
  • 穴あき消臭ゲルなので空気の流れを遮らず、ニオイを効果的に消臭します。
  • 表裏の両面にゲルが開口しているので、消臭するゲルの面積が広くニオイを効果的に消臭します。
  • 穴が開いている形状から、見た目からも消臭効果を感じることができます。
  • どのような部屋に置いても違和感のないインテリア性に富んだデザインです。
この製品開発にあたっては、「お客様の声」が非常に重要な役割を果たしてくれました。以前「消臭」についてイメージ調査を実施したところ、「風の流れるイメージから消臭されそうと感じる」というご意見をいただきました。そこで「風=空気の流れ」と捉えてみることにしたのです。そして家の中で起きている空気の流れ(人の動き、ドアの開閉、エアコンなど)を利用して効率よく消臭できる製品として、ゲルの中心部に穴を開けた構造を思いつきました。また、その穴は、中に空気が吸い込まれるようなイメージと一致させるためにも、なだらかな曲線の穴(R形状の穴)になるようにデザインしました。このR形状の穴は、CFD解析によって非常に消臭効率の高い構造であることがわかりました。ここで、お客様のイメージに合致し、かつ性能の良い製品を開発することができたと確信しました。
CDAJ news vol.55
具体的な解析内容は、以下の通りです。
  • 使用ツール:汎用熱流体解析プログラム「STAR-CCM+」
  • 解析種類:定常 熱流れ解析
  • ケース数:穴あり(円柱形状の穴、R形状の穴)、穴なしの合計3ケース
  • 特徴:消臭効果を模擬するため、外気温を高温、消臭ゲルを低温とし、消臭ゲルに空気が触れると空気温度が下がるというしくみで消臭効果を温度結果から予測
  • 解析目的:各モデルの消臭剤周り流れ場の比較 穴あり(円柱形状の穴、R形状の穴)モデルの穴を通過する空気量の比較 各モデルの消臭効果の比較(温度結果の比較)
弊社では、穴ありと穴なし構造の裏面での空気の流れに注目しました(図2)。中心部に穴を開けることによって、ゲル裏面で空気の対流が生じ、ゲル裏面と空気が効率的に接触していることがわかりました。穴ありと穴なしの温度解析結果をみても低温部分、つまり消臭された空気の部分が多いことから、消臭効果がより高くなっていると判断できます(図3)。ゲル状芳香消臭剤は、容器上面の蓋を開封することで使用を開始する形状が多く、また、中の消臭ゲルと空気が接触する面は上面(天面ともいう)のみであることがほとんどです。しかし、新製品の「消臭スイコム」は、デザイン性を保ちながら、ゲルの表面・裏面・穴の3箇所で効率的に消臭できる構造であることが確認できました。
CDAJ news vol.55
CDAJ news vol.55
次に、穴の形状による穴の通過空気量を比較しました。こちらも円柱形状と比較して、R形状のほうが通過空気量は多いと予想はしていたのですが、CFD解析によって通過空気量が約20%もアップするという数値データでの裏付けも取ることができました(図4)。 以上の結果から、新製品「消臭スイコム」が非常に効率よく消臭できる構造であることが確認できました。
CDAJ news vol.55
今後、御社では解析技術や結果をどのように展開されるか、ご予定がございましたらお聞かせください。
分かりにくく伝わりづらい消臭効果を今回のような可視化されたデータで表現できたことは、非常に有意義なことでした。今回の結果は、小売店などのバイヤー様向けの営業用販促資料(製品説明資料)としても活用したいと思っております。また今回の解析技術を新製品の開発に利用させていただきたいと思います。
CDAJ news vol.55

このインタビューの詳細は季刊情報誌CDAJ news vol.55でご覧いただけます。
ユーザー登録済の方はユーザーサポートセンターからダウンロードできます。

分野1:
熱流体解析
ユーザーサポートセンター 無料で資料請求