IDAJ

Case Study実績・お客様事例

風環境リサーチ 様(CDAJ news vol.25)

風環境コンサルティングにCFDを利用

株式会社 風環境リサーチ
CDAJ news vol.25お客様紹介コーナーより抜粋
発行日 2001年8月

解析種別:ビル風解析、流体解析
課題等:ビル風、風、建物、環境コンサルティング

どういった解析テーマが多いのでしょうか?
解析の対象としましては、ビル風だと流れ解析が主です。建設前・後・対策の3通りのケース、風向きは8風向~16風向を扱っています。広域の街づくりとなると温熱環境も予測しますので、熱解析も必要となります。利用目的としては、大きく2つありまして、一つは建物を計画する早い段階(計画段階)で、数値計算を行うことで、後々風が問題とならないように建物の配置や形状の設計概要を決めることが可能となります。もう一つは、環境コンサルティングです。これは個々の建物の建設(ほとんどが計画段階を過ぎてしまってから相談が来ますが)による風環境の変化を予測することで、第三者的な立場で解析を実施しています。実現象に対するはっきりとした見解をだすことが我々の業務ですので、結果的にビルを建てることにより、環境が悪くなることがあっても(もちろん良くなっても)、客観的な評価を下します。また、悪くなる場合は、どうしたら改善できるかという提案を行うことも重要な役割となっています。また、我々としましては、如何に分かりやすくクライアント・行政関係(時には地域住民の方々)に解析結果を伝えることができるかが大切と考えています。さらに大事なことは、解析結果が、実際の現象にどのように対応しているのかをきちんと見極め、評価することです。計算しただけでは済まないのが、我々コンサルティングの業務です。
CDAJ news vol.25
建築業界のビル風解析の現状についてお聞かせください。
現実的な計算レベルで申し上げますと、複数建築物が対象となりますと、定常解法でないと対応が難しいわけですが、その定常計算結果が定性的には実験結果に合うレベルまで来ていると思います。建設前後の比較検討には使えるのではないでしょうか。時間的変動を見ていく場合(非定常計算)ではLESモデルなどがありますが、計算時間が非常にかかります。こちらについては、実務的利用はまだまだこれからといった感じです。風洞実験で得られたデータを使って建設前・後の統計的な風環境評価を行う方法は確立されており、多くの事例で活用されています。CFDでも、風洞実験と同じような方法で風環境評価は一応できますが、CFDの計算結果の検証は、まだまだ、不十分であり、これからどんどん進める必要があります。このような状況下でコンサルティングを行う場合の現実的対応としましては、計算結果を似通ったシチュエーションでの風洞実験や観測データと照らし合わせて、その妥当性を判断する必要があります。これにはある程度の経験が必要ですし、時には、解析対象の現場に出向き、その場の風について想像をめぐらす努力も必要です。これからCFDを扱う人は、ぜひ、積極的に実験データや観測データに触れた方が良いと思います。それから、私どもがCFDを広く利用していくためには、自分達の専門分野のノウハウ自体をSTAR-CDやSTAR-LTのソフトに容易に盛り込むことができるような、使い勝手のさらなる向上を御社には期待します。
ソフトウェアのご利用状況をお聞かせください。
もともとSTAR-LTを導入していたのですが、建築学会で議論する場合は、標準k‐εだけでは評価されないケースが多いので、非線形k‐εを初めとする豊富な乱流モデルを選択できるSTAR-CDを新たに導入することにしました。STAR-CDにはLESがありますが、現実的な時間では結果が出ません。私の目標は、設計変更に対しては2週間以内で応えたいと思っております。この時間で解析を終わらすにはk-εモデル(定常解法)でないと対応できないのが現状です。そこで改良版の非線形k-εモデルが必要という結論になりました。さらに、今度入るV2Fモデルもあればいいなと思っています。
STAR-LT・STAR-CDの使い分けはどのようにされていらっしゃるのですか?
"STAR-CDは研究開発者、STAR-LTは設計者向け"というコンセプトがありますが、STAR-CDは学会発表の場やいろいろな乱流モデルの比較検討を行うことが必要な場合に利用しています。STAR-LTはSTAR-CDと比較しまして、使い勝手が良い(最初にとっつきやすい)ですので、普段のビル風の解析業務に利用しております。もちろん、STAR-CDも慣れれば使いやすいので、日常の業務にも利用しています。どちらもパソコンで動かしていますが、ノードロックライセンスの利点を利用し、常に計算を実行させている状態です。

このインタビューの詳細は季刊情報誌CDAJ news vol.25でご覧いただけます。
ユーザー登録済の方はユーザーサポートセンターからダウンロードできます。

分野1:
熱流体解析
ユーザーサポートセンター 無料で資料請求