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Case Study実績・お客様事例

名古屋大学 様(CDAJ news vol.56)

研究者向け共同利用システム内で「STAR-CD」をご利用

名古屋大学 情報基盤センター
CDAJ news vol.56お客様紹介コーナーより抜粋
発行日 2009年6月

解析種別:流体解析
課題等:気管支、分岐管

省略
修士論文のテーマとして、気管支の分岐管内流れについてご研究されたそうですね。内容についてご紹介いただけますか?
テーマとして、自分にとって身近なもの、その中でも医療分野に関わる研究をやってみたいと考えていました。論文などに目を通したところ、先輩がすでに血流に関する研究に取り組まれていらっしゃいましたので、石井先生からアドバイスをいただき「気管支」を研究対象とすることに決めました。本研究の目的は、呼吸によって生じる気管支内流れ場の理解のために、分岐平面が作る角度(φ=0°、90°)の差が流れ場に与える影響を調べることです。従来の研究では、気管支の形状を一般的にはY字型の2分岐までのモデルで、かつ、2次元的に取り扱われていました。 この場合、φが90°の場合に2分岐までなら流れ場に対称性が強く残ります。この研究では対称性が破れ、φの影響をより詳しく見ることができる3分岐へと研究対象を拡張し、分岐管の展開を3次元的に取り扱いました。 また、φの値ですが、過去の報告から90°であることが分かっているために、90°または0°に設定し、その組み合わせによって4つの形状を考えました。(図1)。
図1 本研究の気管支モデル
図1 本研究の気管支モデル
研究を始めた頃は、独自のCFDコードを作成して計算していましたが、プリポスト処理に関して、3分岐の気管支の3次元的な取り扱いが難しいという問題が発生してしまいました。そこで、石井先生に相談させていただいたところ、STAR-CDを使ってみてはどうかということになりました。
私も学生時代に自作のコードを作成して研究していたことがございますが、自作コードとプリポスト処理の連携で、非常に苦労した覚えがございます。それでは、次に今回の解析内容についてお聞かせいただけますか?
次の条件で計算しました。
  • 使用ツール:STAR-CD V3.26
  • メッシュ数:約100万メッシュ(定常)・約100万メッシュ(非定常)
  • ケース数:数10ケース
  • 形状・境界条件など:以下図2
図2 解析条件
図2 解析条件
解析手順として、まず初めに、Ideasで作成した形状をSTL形式にてpro-STAR/ammに読み込み、テトラメッシュを生成しました。次にSTAR-CDで計算を流し、得られた結果データをAVS/Expressを使って作成した可視化プログラムに取り込んでポスト処理を行いました。当初は要領がわからず、約1.000万メッシュのモデルを作成してしまい、早速、解析規模の問題に突き当たってしまいました。そのときには、CDAJの手厚い技術サポートやFAQを利用させてもらい、何とか解決することができました。計算時間に関しては、並列化効率が思ったよりも出なかったため、定常で各ケースとも半日~1日程度、非定常では、収束判定を厳しくして5日~6日程度かかりました。
図3 解析結果
図3 解析結果
省略
今回のご研究のほかにも、様々な研究にご利用いただいていると伺っております。どのような研究にご利用いただいているのか、簡単にご紹介ください。
STAR-CDのような汎用熱流体解析ツールを必要とする研究テーマは、実に様々です。中には、企業との共同研究となるようなテーマもあります。最近では、医療分野におけるSTAR-CDの活用など、幅広い研究に利用されており、大変喜ばしいことだと思っています。
  • 気管支の流れ解析(本稿でご紹介)
  • 脳動脈瘤に関する流れ解析
  • 空調設備のファン流れ解析
  • 冷凍空調システムにおける冷媒の非定常拡散解析
  • プロペラなどの回転機周りの流れ解析
  • トンネル内の送風機に関する流れ解析
  • 電子部品の多層発熱体周りの熱流れ解析
などが挙げられますが、特に最近は、回転体に関するテーマが多いように感じています。
たくさんの研究テーマをご紹介いただきまして、誠にありがとうございます。どれも大変興味深い研究ばかりですね。ぜひ、論文を拝見したいと思います。
省略

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分野1:
熱流体解析
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