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Case Study実績・お客様事例

信越化学工業 様(IDAJ news vol.88)

TIMの設計・評価にFloTHERM®をご活用

信越化学工業 株式会社 シリコーン電子材料技術研究所 様
IDAJ news vol.88お客様紹介コーナーより抜粋
発行日 2017年6月

解析種別:熱解析
課題等:TIM、Thermal、Interface、Materials、放熱、熱抵抗、熱伝導率

省略

製品の特徴を知り尽くしているからこそ作成できた熱設計サポートツール。

シリコーン電子材料技術研究所様が開発やお客様のご提案に関わっていらっしゃる製品の一つ、TIM(※)について簡単にご説明くださいますか。

(※註)Thermal Interface Materials

デバイスの高性能化による消費電力の高まりによって発熱量が増大している中で、アセンブリの省力化と同時に、機器の性能を維持するうえで発熱体から熱を効率良く逃がすことが重要な技術として注目されています。一般的に高発熱部品には、ヒートシンクなどの放熱部品を使用した熱対策を行いますが、このとき、発熱するデバイスとヒートシンクの間の隙間や凹凸を埋めて、効率良く熱をヒートシンクへ伝える役割をTIMは担っています。 弊社は様々な放熱材料を取り扱っており、用途やお客様のご要望に適した製品をご提案しています。
図1 放熱シリコーン製品
図1 放熱シリコーン製品
先ほどご説明したとおり、TIMは発熱部品と冷却部材の間の空隙を埋めるために使用します。TIMの放熱性能の指標として熱抵抗がありますが、使用時の圧力や厚みによって熱抵抗は変わります。
図2 TIMの熱抵抗
図2 TIMの熱抵抗
ありがとうございます。このTIMの特徴を十分に把握したうえで、御社では熱シミュレーションを実施されていますね。
精度の高いシミュレーションを行うためには、使用する条件にあった熱物性を設定しなければなりません。 TIMをモデル化しない場合では、FloTHERMの材料ライブラリに登録されている界面熱抵抗を用いて解析する方法がありますが、発熱体と放熱部材にギャップがある場合には界面熱抵抗が使用できないため、TIMをモデル化しなければなりません。
図3 TIMのモデル化を必要とする具体例
図3 TIMのモデル化を必要とする具体例
弊社の放熱パッド・シートには、硬度の低い放熱パッドと硬度の高い放熱シートの2種類があり、使用する条件によって厚みや接触熱抵抗が変化するため、シミュレーションではこれら特性の取り扱いに注意が必要です。「低硬度放熱パッド」では使用時の圧力によって厚みが大きく変化しますので、シミュレーションでは厚みを正確に入力することが重要になってきます。 一方、「高硬度放熱シート」では圧力によって接触熱抵抗が大きく変化しますので、シミュレーションでは圧力に合った熱抵抗や熱伝導率を設定することが重要になってきます。
それでは、「TIMモデル生成ツール」の概要のご説明をお願いします。
この度開発したTIMモデル生成ツールには、低硬度放熱パッドと高硬度放熱シートの2種類の計算シートがあります。それぞれ加圧時の厚みまたは圧力から、接触熱抵抗を加味した等価熱伝導率を計算します。簡単にご利用いただけるように、本ツールの入力項目はできるだけ簡素化しました。最終的にはツールから作成したファイルをFloTHERMで読み込んでいただくことで、FloTHERM上でTIMモデルが生成できるようになっています。操作手順を、低硬度放熱パッドを例にとってご説明します。最初に、製品名をリストから選択し、加圧時の厚みを入力すると等価熱伝導率が出力されます。次に、TIMの面寸法を入力してからTIM Createボタンを押して、FloXML形式のデータを保存します。これをFloTHERMで読み込めば、設定した寸法と熱伝導率でTIMのモデルが生成されます。
図4 TIMモデル生成ツール
図4 TIMモデル生成ツール
図5 FloTHERM上でのTIMモデル生成
図5 FloTHERM上でのTIMモデル生成
こちらのTIMモデル生成ツールには、御社における知見も組み込まれているようですが、御社のお客様や御社製品の使用を検討されている方であれば、このツールを利用することができるとお聞きしました。
はい、作成した当初は、弊社の技術者が効率的に製品開発に役立てることを目的としていたのですが、このようなツールは、お客様にこそ必要なのではないかと意見がでましたので公開することにしました。こちらのツールを使ってシミュレーションした結果が、お客様の期待される性能に達していない場合には、その結果をもとにお客様のご要望を満たす製品をご提案させていただくことも可能かと思います。こちらのツールを使っていただくことで、TIMの関わる部分については、シミュレーションの精度が上がり、効率的な解析にお役立ていただけると思います。

開発におけるシミュレーションは精度重視。キャリブレーションオプションも活用中。

御社では、T3Ster(註:トリスター)を用いたシミュレーションの精度向上にも取り組まれています。その内容も簡単にご紹介ください。
弊社では、約2年前のFloTHERM導入と同じタイミングで、T3Sterも導入しました。T3Sterでは測定対象の熱構造が熱抵抗と熱容量からなる構造関数で表現されますので、視覚的に熱特性を理解することができるようになりました。各種TIM製品の放熱性能の評価に利用したり、また、TIMは被着する面の粗さの影響も受けますので、被着面粗さの評価にも使っています。最近では、T3SterとFloTHERMを連携させ、構造関数とシミュレーションを合せ込むキャリブレーションも活用しています。TIMの熱物性には開発したTIMモデル生成ツールから求めた値を使用したのですが、キャリブレーションを行うことによってシミュレーションの予測精度も向上し、TIMモデル生成ツールの精度を検証することもできました。
図6 T3Sterとシミュレーションを連携した解析モデル
図6 T3Sterとシミュレーションを連携した解析モデル
図7 実測値とシミュレーションの結果
図7 実測値とシミュレーションの結果
次バージョンのFloTHERMの材料ライブラリに、御社の製品の中から、低硬度放熱パッドや高硬度放熱シート、フェイズチェンジマテリアルを登録させていただくことになりそうです。
ありがとうございます。放熱グリース、放熱シート、フェイズチェンジマテリアルの計15製品が登録されるとお聞きしました。TIMをモデリングしない場合は、この材料ライブラリをお使いいただき、TIMをモデリングする必要のある場合には、TIMモデル生成ツールをご活用いただければと思います。
図8 放熱部品の材料ライブラリ
図8 放熱部品の材料ライブラリ
省略

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ご活用いただいている製品

分野1:
熱流体解析
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