Simcenter Flotherm Session

本セッションは、大盛況のうちに終了いたしました!ご来場ありがとうございました。


Introduction

かつて電子機器の熱設計は、その基本さえ押さえた対策で十分に冷却することができましたが、高度化・多様化する市場のニーズに合わせて電子機器の高性能化が進むにつれ、熱設計の難度が上がり続けています。
特に近年は、電動化が進む各種製品で使われる大電流を扱うインバータや制御機器、自動車の自動運転に不可欠な高速通信用機器、AI技術を支える高性能半導体部品など、的確で高度な熱設計を必要とする製品分野が拡大しています。
しかし視点を変えると、古くは「当たり前品質」と呼ばれてきた電子機器の熱設計技術が、そのアイデア次第で競合製品との差別化につながる可能性を秘めた技術になってきたと言えるのではないでしょうか。
製品の競争力向上に貢献する、チャレンジングな熱設計を効率良く実施するには、Simcenter Flothermに代表される熱シミュレーションツールの活用が必須であることは論をまちません。
そこで、今年のSimcenter Flotherm Sessionでは、熱シミュレーションを製品設計に活用した事例から部品の新しいモデル化技術まで、皆様の製品熱設計に活用いただけるご講演をお届けします。
Simcenter Flothermの開発元のSiemens Digital Industry Software様からは、Simcenter Flotherm 製品の新バージョンに搭載されている重要な新機能と活用方法をご紹介いただきます。
Simcenter Flothermによる熱シミュレーションの効果的な活用例としては、レノボ社の熱設計コンサルティングを担当されているラビットアート様からノートPC「ThinkPad」搭載の冷却モジュールの開発効率化の事例を、アイシン様からは機電一体型ECUの熱設計事例をご紹介いただきます。
設計の各フェーズでの目的に合致した熱シミュレーションに不可欠な材料物性等の特性や部品の熱モデルに関しては、電子情報技術産業協会(JEITA)様から熱伝導率の測定方法について、デンソー様から伝熱性能を20%以上向上させる接触熱抵抗コントロール策について、それぞれお話しいただきます。
Simcenter Flothermに加わった新しい技術「組み込み型BCI-ROM(EROM)」は、高い機密性を維持したまま詳細部品と同等の精度の熱シミュレーション結果が得られるという特徴があるため、Simcenter Flothermで高精度のシミュレーションを実施したいセットメーカー様、部品モデルの秘匿性を維持したまま自社部品の熱モデルを提供したい部品メーカー様、双方にとって大きなメリットのある技術です。そこで、近日中にEROMモデルのSimcenter Flothermの部品ライブラリへの搭載が予定されているTDK様とローム様から、それぞれチップコンデンサ、チップ抵抗のEROMモデルの活用方法と精度検証についてご講演いただきます。
最後にIDAJ技術顧問の国峯からは、冷却技術を工夫することで製品価値を高めることに成功した設計事例や設計思想の分析、最新の半導体デバイスや小型電子部品を活かしたこれからの熱設計やCAEの在り方についてお話しいたします。
今回の「熱設計で高める製品競争力」をテーマにしたSimcenter Flotherm Sessionは、熱設計に携わっていらっしゃるエンジニアの皆様にとって、すぐにでも担当製品の熱設計の参考にしていただける盛りだくさんの内容です。多くのお客様のご参加をお待ちしております。

解析技術4部 部長 錦織 弘充

開催概要

日程 2024年11月7日(木) 10:00~17:30(予定) 受付 9:30~
会場 横浜ベイホテル東急 B2F クイーンズ グランド ボールルーム
 
〒220-8543 神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-7
  • みなとみらい線: 「みなとみらい駅」から徒歩約1分
  • JR京浜東北線/根岸線・横浜市営地下鉄: 「桜木町駅」から徒歩約10分
対象者 弊社提供の「Simcenter Flotherm」やその他プロダクト、受託解析サービスをご利用のお客様、ご検討中のお客様、デジタルエンジニアリングやMBD・CAEにご興味のあるお客様ならどなたでもご参加いただけます。
また、その他弊社都合にてご参加をお断りする場合がございます。
誠に恐縮ではございますが、参加登録の状況によりましては、導入計画をお持ちの企業様を優先させていただく場合がございます。あらかじめご了承のほど、よろしくお願い申し上げます。
参加費 無料・事前登録制
参加登録
  • 参加登録は 11月5日(火)17時まで承ります。(定員になり次第締め切らせていただきます。)
  • ご来場の際に必要な「参加票」をダウンロードしていただくためのURLを、開催1週間前を目途に別途E-mailでお送りします。当日は印刷した「参加票」とお名刺1枚をお持ちください。
  • 11月5日(火)までに、参加票がお手元に届かない場合は、お手数ですが以下の事務局までご一報くださいますようお願いいたします。ご登録状況を確認いたします。
資料
  • 配布のご許可をいただいた参考資料を、会期終了後、本シンポジウムのご登録者様のみにご提供いたします。ご提供方法は終了後に改めてご案内いたします。なお、事前の配布はございません。
展示内容
  • Simcenter Flotherm等ソフトウェア、各種サービスに関するポスター展示、技術相談
※上記は予告なく変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
Wi-Fi・電源
  • 講演会場内では横浜ベイホテル東急に常設のWi-Fiをご利用いただけます。なお、同時接続数に限りがございますため、アクセスが集中した場合は通信が遅くなることがございます。
  • 各講演会場前の展示会場内で、各種デバイスの充電のためのスペースを設置いたします。ただし、弊社スタッフやホテルスタッフは当該スペースに常駐いたしませんので、充電中のデバイスはご自身で管理してくださいますようお願いいたします。万が一、紛失・盗難・破損・故障事故等が発生した場合でも、弊社ならびにホテルは一切その責任を負いかねます。
その他
  • ご昼食にお弁当をご準備しております。お席にてお召し上がりください。
  • 英語から日本語への逐次通訳を実施いたします。

【ご協力のお願い】

  • 著作権および情報保護のため、お申込者様は権利者の許諾を得ずに、いかなる方法においても本サービスを通じて提供される情報またはファイル等について、著作権法で認められるお申込者様個人の私的利用の範囲を超えて、使用することはできないものと致します。つきましては、視聴者様による記録行為(録音・録画、スクリーンショット、写真撮影等)は固く禁止と致します。
  • シンポジウムの妨害やプライバシーの侵害を招く恐れのある行為を禁止します。

(弊社は、記録等のため、講演会場内をはじめとするすべてのエリアで適宜、録画・録音・写真撮影を実施いたします。)

プログラム

*それぞれのご講演の後に質疑応答の時間を設けております。(約5分~10分)
*プログラムは予告なく中止・変更となる場合がございます。

タイトル 講演者
10:00-10:10 開会のご挨拶 IDAJ
10:10-10:40 ThinkPad冷却モジュール開発の為のシミュレーション業務強化プロジェクト
タイトル ThinkPad冷却モジュール開発の為のシミュレーション業務強化プロジェクト
講演者 株式会社 ラビットアート 様
時間 10:10-10:40
概要 ThinkPad開発のサーマル・チームは、人的負荷と開発費用を抑え、開発期間を短縮し、かつ開発の後期に大きな問題を起こすことなく高性能の冷却モジュールを開発することを目指して、2年前からサーマル・シミュレーションに関わる業務プロセスを強化してきた。このプロジェクでは、IDAJの提言にもあるように、ツール、スキル、ルールの3つのアスペクトからアプローチしている。現時点ではまだ計画のすべてを達成できてはいないが、改善のプロセスを適用することにより、すでに高性能の冷却モジュールを少ないリソースで開発することができている。本講演では、改善したシミュレーション業務の詳細と、それを適用した新しい熱設計ソリューションを紹介する。
■Simcetner Flotherm他弊社取扱いソフトウェアについて
弊社取り扱いのソフトウェアのご利用年数 20年
弊社取り扱いソフトウェアを利用しての主な解析テーマ ノートブックPCのレイアウト設計
弊社取り扱いソフトウェアを気に入っていただいている点 IDAJによる強力な技術サポートがある
株式会社 ラビットアート 様
10:40-11:10 Simcenter Flotherm 製品 2024の新機能紹介 *English Lecture
タイトル Simcenter Flotherm 製品 2024の新機能紹介 *English Lecture
講演者 Siemens Digital Industry Software 社 様
時間 10:40-11:10
概要 本講演では、2024年にリリースされたSimcenter Flotherm 製品の新バージョンに搭載されている重要な新機能を紹介します。電子機器の熱設計のワークフローの中で、これらの新機能をどのように使用するのかについても紹介します。
Siemens Digital Industry Software 社 様
11:10-11:40 熱設計シミュレーションで用いる熱伝導率は正しく測定されたものですか?
タイトル 熱設計シミュレーションで用いる熱伝導率は正しく測定されたものですか?
講演者 一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)様
時間 11:10-11:40
概要 電子機器の高性能化や人工知能の実用化により発熱量は年々増加しており、安定動作や省電力化のために、製品開発の課程で熱設計シミュレーションを行うことが一般的となっている。
熱設計シミュレーションの入力データとして熱伝導率が必要となるが、同じ材料を測定しても測定手法によって小さくはない差が発生することが知られている。
本発表では、半導体パッケージ用封止樹脂について、測定手法による差が熱設計シミュレーションにどの程度影響を与えるかを、熱伝導率の実測による熱設計シミュレーションと実パッケージによる熱抵抗測定実験の比較をもとに紹介する。また、本開発のガイドライン化の取り組みと今後の展開について紹介する。
一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)様
11:40-13:10 休憩・ネットワーキング
13:10-13:40 組込み型BCI-ROMが活性化させるデジタルサプライチェーン ~部品メーカとアセンブリメーカをつなぐ新しい熱シミュレーションモデル~
タイトル 組込み型BCI-ROMが活性化させるデジタルサプライチェーン ~部品メーカとアセンブリメーカをつなぐ新しい熱シミュレーションモデル~
講演者 IDAJ 電子機器熱設計技術担当
時間 13:10-13:40
概要 半導体パッケージを始めとする電子デバイスからアセンブリモジュールに至るまで、様々なレベルのシミュレーションモデルを企業や組織の垣根なく共有できる技術が注目されています。Simcenter Flothermに搭載された組込み型BCI-ROM(EROM)の機能を用いて、対象となる3Dモデルの内部構造を自動的にブラックボックス化することができ、サプライヤはモデルの内部構造や材料などの機密を開示しなくとも精密なモデルを供給可能になりました。このEROMは基となる3D詳細モデルの過渡熱応答を再現できるため、製品設計の下流で精度を要求される熱シミュレーションに使うことが可能です。本講演では、Simcenter FlothermのEROMの概要とあわせて、いくつかの事例、利用技術、適用範囲についてご紹介します。
IDAJ 電子機器熱設計技術担当
13:40-14:10 Simcenter Flotherm EROM形式で提供するシャント抵抗の熱シミュレーションモデルの紹介
タイトル Simcenter Flotherm EROM形式で提供するシャント抵抗の熱シミュレーションモデルの紹介
講演者 ローム 株式会社 様
時間 13:40-14:10
概要 Simcenter Flotherm 2410より、シャント抵抗器PSRシリーズの熱シミュレーションモデルがライブラリに登録される。
モデルは、組み込み型BCI-ROM(EROM:Embeddable BCI-ROM)の形式で提供。詳細モデルとの比較から、高い解析精度を維持したまま、計算コストを大幅に低減した事例として紹介する。
また、本製品のモデルを活用するにあたっての留意点や、実測と比較する場合に注意すべき点などについて補足し、ご利用いただけるユーザーにとって利便性向上につながるような情報を提供する。
■Simcetner Flotherm他弊社取扱いソフトウェアについて
弊社取り扱いのソフトウェアのご利用年数 1~2年
弊社取り扱いソフトウェアを利用しての主な解析テーマ 電子部品の熱流体解析
弊社取り扱いソフトウェアを気に入っていただいている点 ・直感的に扱えるUI
・充実したサポート
ローム 株式会社 様
14:10-14:40 積層セラミックコンデンサに対する熱流体シミュレーションとEROM適用事例
タイトル 積層セラミックコンデンサに対する熱流体シミュレーションとEROM適用事例
講演者 TDK 株式会社 様
時間 14:10-14:40
概要 積層セラミックコンデンサ(MLCC)が発熱することをご存知でしょうか?近年では、車載OBCや無線給電等における共振回路用のコンデンサとして、MLCCが採用されるケースが増えてきています。このようなセットでは、MLCCに対して高い交流電圧・電流が印加されるとともに、高密度で多数実装されるため、MLCCの発熱が懸念される場合があります。
本講演では、MLCCに対する熱流体シミュレーションの取り組みと、Simcenter Flotherm 2310より実装された組み込み型BCI-ROM(EROM)をMLCCに適用した際の精度検証事例についてご紹介いたします。
■Simcetner Flotherm他弊社取扱いソフトウェアについて
弊社取り扱いのソフトウェアのご利用年数 4年
弊社取り扱いソフトウェアを利用しての主な解析テーマ 積層セラミックコンデンサの熱解析
弊社取り扱いソフトウェアを気に入っていただいている点 丁寧な技術サポート
TDK 株式会社 様
14:40-15:20 休憩・ネットワーキング
15:20-15:50 機電一体型・電動ウォーターポンプの熱シミュレーションのモデル開発と運用
タイトル 機電一体型・電動ウォーターポンプの熱シミュレーションのモデル開発と運用
講演者 株式会社 アイシン 様
時間 15:20-15:50
概要 電動ウォーターポンプは、ECU・モータ・ポンプで構成されるが、この3つの部位で発熱と放熱が発生し、複雑な熱の流れをする。さらに、ECUの設計トレンドで、小型の電子部品を採用するなど小型化を進めており、背反となる熱について、シミュレーションが求められている。今回は、機電一体型のECUの熱設計を目的に、そのツールの熱シミュレーションのモデル開発と運用の紹介をする。
①セットメーカの電子部品のモデル化
②ECUから機電一体へのモデル化と精度検証
③熱シミュレーションの運用とモデルの再検討
■Simcetner Flotherm他弊社取扱いソフトウェアについて
弊社取り扱いのソフトウェアのご利用年数 7年
弊社取り扱いソフトウェアを利用しての主な解析テーマ 車載ECUの熱解析
弊社取り扱いソフトウェアを気に入っていただいている点 ・基板の熱解析の機能が豊富で優れている点
・解析技術4部のサポートが丁寧である点
株式会社 アイシン 様
15:50-16:20 伝熱性能20%向上できる接触熱抵抗技術 ~Season2~
タイトル 伝熱性能20%向上できる接触熱抵抗技術 ~Season2~
講演者 株式会社 デンソー 様
時間 15:50-16:20
概要 本講演の目的として、Simcenter Flothermソフトウェアに入力するための接触熱抵抗(Thermal Contact Resistance, TCR)の値を明確にすることを目指しており、特にコンピュータのアルミ筐体の接触部に焦点を当てている。TCRは、2つの固体表面が接触している際に、その接触面での熱の伝導効率を示す指標であり、TCR値が小さいほど熱の伝導が効果的に行われることを意味する。TCR値に影響を与える要素として、表面粗さ、接触圧力、材料の性質、表面処理などがある。橘・佐野川の式は、平面接触を前提としたTCRの学術的な実験式であるが、実際の応用では接触面が完全な平面でないことが多く、この式だけでは不十分である。接触熱抵抗の算出方法としては、まずねじを締め付ける応力により筐体の変形が考えられるため、接触圧力を解析する。次に接触面積を測定し、接触圧力と接触面積のデータをもとにTCRを算出する。実用的な測定方法としては、表面粗さとうねりの測定、締め付け応力の制御、接触面積の評価である。放熱効率を上げる設計手法は、金属表面に人為的にうねりを付加する技術の開発、そしてTCRの実測が必要となる。コンピュータのアルミ筐体の接触部を例にして、筐体の変形や空隙の生成による接触面積の減少とそれに伴う接触熱抵抗の増加を定量的に示し、金属の変形やうねりを人為的に付加することで接触熱抵抗を下げ、伝熱性能を20%以上向上させる方法を説明する。
■Simcetner Flotherm他弊社取扱いソフトウェアについて
弊社取り扱いのソフトウェアのご利用年数 19年
弊社取り扱いソフトウェアを気に入っていただいている点 営業、技術の方々のサポートに感銘を受ける
株式会社 デンソー 様

16:20-17:20

熱設計による製品価値創造へのアプローチ ~当たり前品質から魅力品質への転換~
タイトル 熱設計による製品価値創造へのアプローチ ~当たり前品質から魅力品質への転換~
講演者 IDAJ 技術顧問 国峯 尚樹
時間 16:20-17:20
概要 これまで「熱問題を起こさないこと」が熱設計のゴールでした。もちろんこれは品質を支える重要な技術です。しかし、最新の半導体デバイスや小型電子部品を活かして魅力ある製品を開発するには、よりアグレッシブな熱設計が必要になってきました。原理原則を踏まえながらも新しいアイディアを盛り込み、限界熱設計に挑むことが製品の差別化や価値の向上のために不可欠です。
ここでは冷却に工夫をこらして製品価値を高めた事例や設計思想などを分析して、今後の熱設計・CAEの在り方について考えてみます。
IDAJ 技術顧問 国峯 尚樹
17:20-17:30 閉会のご挨拶 IDAJ
お問い合わせ先
株式会社 IDAJ
IDAJ SYMPOSIUM 事務局
〒220-8137 横浜市西区みなとみらい2-2-1-1 横浜ランドマークタワー37F
TEL: 045-683-1990  FAX: 045-683-1999  E-mail: IDAJ-SYMP@idaj.co.jp
受付時間: 平日10:00~17:00