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多目的ロバスト設計最適化支援ツール『modeFRONTIER™』 v3.1をリリース― CATIA V5 他とのダイレクトインターフェース、領域適応型多目的GAなど最先端技術を満載―

株式会社シーディー・アダプコ・ジャパン(以下CDAJ)は、イタリアのES.TEC.O社が開発した多目的ロバスト設計最適化支援ツール『modeFRONTIER™』(モード フロンティア)の最新バージョンv3.1 を6月にリリースしました。『modeFRONTIER™』は商用として世界で初めて多目的GAを採用、多目的最適化問題に対応し、ロバスト性と性能のトレードオフ問題が扱える世界で唯一の汎用最適化ツールです。

実際の工学系最適化問題では、改善すべき特性が複数存在し、しかも、「強度 vs 重量」、「性能 vs コスト」等お互いに相反しあう場合もしばしばです。こうした問題は従来、問題を単目的関数に単純化したり、様々な工夫により解の探索が試みられてきましたが、満足のゆく解が得られないことが多かったのが実情です。一方、従来は、多目的関数の状態で解を探索するには、高度な専門知識や経験が必要とされ、優れたツールも存在しなかった事から、一般の設計実務者や解析技術者には取扱いが難しく、実問題に適用される事はほとんどありませんでした。

多目的最適化技術の実務への適用は欧州が先行してきましたが、新製品開発の企業間競争やコスト低減に対する要求が東アジア諸国の台頭により益々激しくなるに伴い、その対応策として、品質向上と業務効率向上に直接寄与する最適化技術が、日本国内でも急速に注目されるようになってきました。そこで必要となるのが、高度な専門知識が無くても最適化業務が遂行できる、高性能で使い易い汎用の多目的関数用最適化支援ツールです。

『modeFRONTIER™』は、多目的最適化問題が容易に扱えるよう、使い易さを徹底的に追求し、初心者でも高度な解の探索ができるように最先端の探索手法を採用し、真に設計実務者向けの多目的最適化支援ツールとして誕生しました。既に国内では、主要製造企業数十社、100ライセンス以上の導入実績があり、高機能と使い易さを両立させた最適化ツールとしての完成度の高さには定評がありますが、今回リリースされた最新バージョン v3.1では更に機能を充実させ、市場の要求に、より高次元で応えられるものとなっています。

  • CATIA V5他とのダイレクトインターフェースを多数装備し、最適化問題の設定がより容易になりました。
  • 領域適応型多目的GA、多目的ゲーム理論など、他社に無い最新鋭の最適化手法を多数搭載し、未経験者でも高度な多目的最適化が実行可能です。
  • ラテン超方格法や制約充足問題など先進のサンプリング法を搭載し、多様な実問題への適用性を一層充実させました。
  • 実験データを取り込んで最適化フローを自動生成し、応答曲面生成までウィザード形式で進められる"データウィザード"機能を搭載しました。これにより主にCAEではなく実験業務に携わり『modeFRONTIER』の使用法をよく存じない方でも、実験データを元に、多目的最適化が容易に実行できるようになりました。

CDAJは2001年の『modeFRONTIER』発売当初から多目的最適化の重要性を説いてまいりました。
近年、日本でもその有用性に対する認識が産業界に浸透し始めたように思われます。
CDAJでは今後も市場のニーズを先取りし、国内製造業における業務効率と品質の向上にお役に立てるよう、多目的最適化を推進し、ソフトウェア販売だけでなく、導入コンサルティング及びサービスを含めたトータルなご提案をいたします。

modeFRONTIER v3.1
ES.TEC.O社 について

ES.TEC.O社はイタリアに本拠地を置くエンジニアリング・コンサルティング企業ENGIN SOFT社の子会社で、最適化に関するコンサルティングや『modeFRONTIER™』の開発に特化した専門企業です。欧州の主要自動車メーカーや航空機、船舶業界に『modeFRONTIER™』とエンジニアリングサービスを提供しています。その他詳細に関してはウェブサイトをご参照ください。
http://www.esteco.it/

付記:最適化関係 用語解説

最適化ツール

設計者が望ましいデザイン(解)を試行錯誤や何らかの手法を用いて探索する作業(最適化)を、ツールに組み込まれた最適化アルゴリズムに従って自動的に行なうためのツールのことをいう。
競合他社ツールは多目的最適化用としては後発であり、元々単目的関数用のツールとして設計されたものに多目的最適化手法を後から追加しているため「使いづらい」「機能が制限される」等の問題があり、特にロバスト性と性能のトレードオフ問題が扱えないという欠点がある。
これに対して『modeFRONTIER』は、元々多目的最適化問題に対応するために機能やGUIが設計され、JAVAの最新技術を駆使してプログラミングされているので、極めて使い易く豊富な機能により自然かつ容易に複雑な最適化問題を解くことができるのが特徴である。

多目的最適化問題

性能の最大化、コストの最小化など、何らかの評価指標が最大化/最小化された状態のときに、そのデザインが最適であるように構成された問題を最適化問題という。その評価指標が複数存在する最適化問題を「多目的最適化問題」という。
一般には馴染みの薄い言葉ではあるが、我々の日常生活は「多目的最適化」そのものである。例えば「安くて良いもの」「軽くて丈夫なもの」という複数の相反する要素を求める時に必ず限界が存在し、その時々の状況に応じた価値観に従ってトレードオフを考え、最終的に意思決定をおこなう。これが多目的最適化である。
『modeFRONTIER』は、人間が普段からごく自然に行なっているようにトレードオフの候補(パレート解)をもとに意思決定し、最終的な解(選好解)が決定できるように工夫された、多目的意思決定支援機能(MCDM)という他社にない機能を持つ。

多目的GA

多目的最適化手法の一つで、探索的手法である遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm: GA)を多目的関数が扱えるように機能拡張したもの。GAは生物の遺伝機構と自然淘汰を比較的忠実に模擬したアルゴリズムで、汎用性の高い探索手法として注目されている。
『modeFRONTIER』はこのアルゴリズムを開発当初から採用し、今回リリースしたv3.1では東北大学流体科学研究所の大林先生による領域適応型多目的GAなど、最新鋭の最適化手法を他社に先駆けて搭載している。

ロバスト性

入力が変動し出力がその影響で変動しても制約となる条件を満足する、性能の安定性のことをロバスト性といい、製造物の品質管理において必須の要素である。
製造物には製造誤差がつきものであり、またその使用環境にもばらつきが存在する。特に量産品においては、そのような外乱要因に対してロバスト性を確保しなければ、機能や性能を満足しない不良品が大量に市場に出回る事になる。したがって、いかに性能のばらつきを抑制し、制約条件を満足する確率を高く保てるように設計するかが、製品設計において重要なポイントとなる。
また、ロバスト性と性能がトレードオフする事も珍しくなく、両者の関係を把握した上で最適な解を決定する事が重要である。『modeFRONTIER』は特性値の平均値とばらつきの指標である標準偏差値を各デザインに対して自動算出するので、それらを目的関数に指定する事によって両者のトレードオフ関係を探索する事ができる、世界で唯一の多目的ロバスト設計最適化ツールである。

応答曲面

離散したサンプリングデータを元に生成された、近似関数のことをいう。その近似関数を使用して入力の最適値を推定する手法を応答曲面法という。
多くの出力特性は2次多項式で近似され、その係数値を以て入力変数の出力特性に対する感度や交互作用の大きさを推定する手法が多く用いられている。
しかし、より高次の多項式で近似する必要がある場合は多く、またそれでは近似しきれないほど非線形性の強い特性を扱う事も珍しくは無い。よって、応答曲面法を上手く使いこなすには、非線形特性の近似に適した汎用性の高い近似手法が必要になる。
『modeFRONTIER』にはガウシアンプロセスやクリギング法、ニューラルネットワークなど非線形特性を近似するのに適したアルゴリズムが搭載されており、極めて簡単な操作で高度な応答曲面を生成できるのが特徴である。

*本文中に記載の会社名、商品名、サービス名等は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
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