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Cross talk

技術×営業:IDAJ流の仕事術

(Talk members)

MBDソリューション開発部 執行役員 兼 部長

玉手 弘一郎

2004年に新卒で入社。特定のソフトウェアに紐づくプロダクト販売やエンジニアリングサービスではなく、より広い視点から、お客様の設計開発プロセスにおける課題をヒアリングし、CAE・MBD・MBSEを用いて課題を解決するためのアプローチとそれを実現するための技術構築ステップを提案するコンサルティングサービスとあわせて、特定のアプリケーションに対して、IDAJが保有するエンジニアリング技術を集結させた包括的なデジタルエンジニアリングソリューションをご提案する技術営業も担当します。2023年より現職。

営業本部 執行役員 兼 本部長

飯田 和雄

2008年に中途採用で入社。取締役会で議論・決定される事項に対して営業現場視点での意見・起案を行います。また取締役会で決定された事項を営業現場に執行し、運用責任を持ち、さらに営業現場のあらゆる事項に関与し、メンバーのリテンションと各種業務が円滑に進行するよう指揮管理も担当します。2023年より現職。

営業と技術の異なる視点をクロスオーバーすることで生まれる価値をお客様へ

玉手
飯田さんと一緒に仕事をするようになって、15年は経ったでしょうか。今はお互いに大きな役割を担うようになりましたが、ベースには“技術者と営業マン”という昔から変わらない関係性が続いていると思っています。飯田さんはどうですか。
飯田
同感です。これまでの様々な仕事を通して、玉手さんは信頼しているエンジニアの一人で、玉手さんの仕事に対する見通しの立て方には、感心することも多いです。実際、かなり挑戦的な仕事に積極的に取り組んできましたよね。
玉手
私が会社に入って一番苦労した仕事は、10年ほど前に飯田さんと一緒に担当した案件ですよ。 お客様のご要望に対して、当時は社内での知見が十分でなく、技術的な理論や筋立てを一から積み上げていく必要のある難易度の高いプロジェクトでした。文献調査と実証を繰り返しながらお客様に途中経過をご報告するのですが、なかなかご満足いただける結果が示せず、正直つらい道のりでしたね(苦笑)。ただ、そのプロジェクトを通じて私が得られた知見は多く、またお客様からは最後にお褒めの言葉をいただくことができたのは救いでした。
結果として当初想定していた3ヶ月のプロジェクトが半年以上かかり、決して褒められたものではありませんが、本プロジェクトをやり切ることに対する社長や当時の上司、そして営業の飯田さんを含めた周囲の支援もあってゴールにたどり着くことができたと、今になれば美談として語ることができます(笑)。振り返って考えれば、お客様のご要望を実現できる、より洗練された手法があったのですが、当時は知見が不足しており、そこにたどり着けなかったことが悔やまれます。
飯田
あの案件は、先行的な研究の一環としてご相談いただき、IDAJ以外にも数社に同様の依頼をされていたことが後になってわかりました。ただ最後まで、くらいついて結果を出そうとしたのがIDAJだけだったそうで。お客様も「その結果を使ったら何か良いことがあるんじゃないか」という見通しを立てることが調査目的の一つでもあったため、IDAJの取り組み姿勢に関して、一定のご評価をいただけたのではないかと思います。その証拠に、検討時に用いたソフトウェアのライセンスは当時の何十倍にも増え、今でも会社の標準ツールとしてご活用いただいています。
営業部門は、基本的に売上増に基づいて、会社の成長やビジネスの拡大という責任を負っています。IDAJがご提供できる技術やアセットを、どのような“価値”としてお客様にお届けできるかを日々考えていますが、その背景には様々なプロジェクトに一緒を取り組んできた、玉手さんはじめとした技術部門への信頼があります。
IDAJがサービスをご提供するのはものづくりのメーカー様です。昔は“軽い、安い、丈夫”など、製品そのものに価値を追求するようなものづくりがメインで、それらに向かって“軽く、安く、丈夫にしよう”、“かっこよくしよう”、“空力や燃費はどうだ?”といったスペック重視の取り組みが多かった印象です。しかし最近は、サービスとしての製品価値の提供や、ユーザーである消費者のライフスタイルをどのように変えていくかというところに、ものづくりメーカー様の視野が広がっているため、今までの比較的シンプルなものづくりから、設計開発側で様々な情報を集約しつつ、「これとこれをかけ合わせたら面白くなるよね」という付加価値を考えるプロセスが発生しています。したがってIDAJは、“『ことづくり』を実現するための『ものづくり』”という新しい方法をメーカー様と一緒に考える提案を目指さなければなりません。
そこで営業には、今までとは異なる訴求方法が必要になってきました。設計のプロセスや従来の方法を理解した上で、そこにある“ボトルネック” をお客様と一緒に見える化し、“ブレイクスルー”となる突破口を見つけていく作業です。特にプロセス変革を目的としたコンサルティングでは、技術部門にご提案の初期から関わってもらうことが増えましたね。
玉手
そうですね。最近は、お客様の課題を広くお聞きした上で、ご提案することが増えていますので、営業と複数の技術者が連携して活動すべきだと思います。
お客様は日々「課題は何か」、「どうすればもっと効率よく製品を作れるか」、「どうずればより良い製品を作れるか」とお考えです。それらを実現するための具体的な手段として、シミュレーションの価値を最大限に活かしていただくには、お客様の課題を広く、高い位置から捉えて解決へのアプローチをご提案できる役割、いわゆるコンサルティングの要素が求められます。例えば、設計開発のボトルネック箇所はどこなのか、性能のトレードオフを見極めるにはどうすればよいかなど、シミュレーション活用の前に、お客様の代わりに課題を整理し、課題解決後の将来像やそのプロセスを描くステップが欠かせません。また、IDAJの技術だけでは解決できない課題があったときには、ソフトウェアの取り扱いを検討したり、私たちが持っている技術を複合的に組み合わせるというR&D形式での新規技術の開拓ということも検討すべきです。
飯田
新規技術の開拓や、強力な武器を持っている各技術部の技術を上手く組み合わせながら、お客様が実現したいこと、その絵を一緒に描くことが大切ですよね。ですが、ただの空想家が描く願望と同等の理想では、現場での課題を解決することはできません。実現可能な理想に対して価値を見出していただき、それを実現することにIDAJの強みがあります。営業と技術の異なる視点をクロスオーバーさせなければなりません。

着地点は決まっている。そのうえで、技術・営業ともに“ワクワクする仕事”にチャレンジすることがIDAJらしさ。

飯田
IDAJらしい仕事の進め方って、技術と営業が歩調を合わせるところだと思っているんですが、玉手さんはどうですか。
玉手
私もそう思います。私の部門は特に営業寄りの仕事をしている部署だとは思いますが、営業が見つけてきてくれた相談を受けて、2~3回目の面談から一緒に技術的な課題を深堀りしていくイメージでいます。
飯田
営業としては、技術との日々の会話の中で常に答え合わせをしています。実際の案件においては、お打ち合せが進行する中で、答えがどんどん変わったり、新しい課題が表出することが多いからです。技術が同席してくれると、お客様、営業・技術の3者の関係となり、必ず、客観的な意見が出るようになるため、課題の把握やソリューション提案の精度が上がります。もちろん営業の立場からは「これだと、お客様の理想とは違う」と思えば、遠慮なく技術に意見し、お客様のご要望にお応えできるよう努めています。
玉手
実際に飯田さんが持ってきてくれる仕事は、最初の印象で「これは簡単ではないぞ」、「どうアプローチしたら解決できるだろう」と思うものも多いのです。しかし技術者としては、自身のレベルアップに繋がったり、経験したことがないことに挑戦するといった、ワクワクする仕事がしたいと思っているはずです。また、営業からそういう相談を受けると、意気に感じるところがあるのも技術者マインドです。
飯田
お客様とは、自分がワクワクすることを共有したいじゃないですか。「これができたらすごいですよね」という話を誰かがしないと、誰も実現させようとしないですから。
玉手
営業はお客様の要望を実現したいという思いが一番強いですが、技術者は常に、それが本当に実現できるのかという視点でものを見ています。その落としどころを見つける過程で技術と営業でせめぎ合いが生じ、ときに喧嘩になることもありますが、ベースにはお客様に良いものを届けたいという想いがありますので、着地点は必ず見つかります。

変容する顧客との関係において“テクノロジーを用いるものづくり企業”への提案・支援

飯田
お客様にも我々にも技術的な知見が少ない領域でのご相談をいただいた場合、お客様の方でも相談の段階では課題を言語化できていないことが多いため、「お客様はこういうことをしたいとおっしゃってるけど、どう思う?」といった相談形式になります。すでに課題が明確であれば、ソリューションを探して導入するだけで解決します。課題として認識されていないことにまで到達し、それを起点としたご支援を提案すること、これが最先端の仕事であり、お客様が外注してまで依頼する価値のあるコンサルティング型の仕事だと考えています。
お客様の製品やサービスの設計開発の方向性が変わっていくのであれば、IDAJからの提案も当然変わっていくべきです。お客様の課題をお客様に代わって言語化することは難しいですが、まずは、お客様が今、何に困っていらっしゃるのか、お話をお聞きすること、「これはどうやって動いているんだろう」という知的好奇心を持って深堀りしていくことを大切にしています。
玉手
営業と一緒にスタートを切るという点では、営業がヒアリングの上、集めてきてくれるお客様の情報はとても重要です。ベテランの営業になればなるほど、初回のアポだけで技術側としての判断に必要な情報が揃っています。お客様の課題が比較的明確になっているのか、あるいは課題をご一緒に整理する必要があるのか。ある程度、我々が技術的な知見を持っている領域なのか、あるいは技術的にストレッチが必要な領域なのか。何を出発点として業務を進めれば良いのか、営業と技術の認識が一致していれば、良いスタートを切ることができます。
飯田
IDAJだけでは100%のうち1%しか解決できなかったとしても、そこにはビジネスのチャンスや、成長のヒントがありますので、営業としては簡単にあきらめることはしません。自動車、家電、航空機、重工業など業界を問わず広くものづくりに関わり、製造業の優秀で意欲的なエンジニアの皆様と接することができ、ダイナミックに変わるものづくり全体から生まれるリアルな課題と向き合うことができる、エキサイティングな仕事ではないかと思っています。こういった課題に真正面から向き合うには、営業・技術ともに、求められるスキルやマインドが従前とは変わっていることを実感しています。

アルムナイ、ジョブチェンジを含む多様なキャリアを持ったメンバーが集まる職場で、お客様への貢献を目指し、自分自身を成長させる。

飯田
IDAJとして変革のときを迎え、今、改めて、どんな人と一緒に働きたいと思いますか。
玉手
提案型のコンサルティングでは、様々な技術を幅広く理解している必要があります。IDAJが保有している技術の知識はもちろん、お客様が設計している製品や業界に対しての知識が欠かせません。“広く浅く”というよりは、ある程度、お客様と技術的な会話ができたり、我々の保有しているソリューションを組み合わせた技術的な提案ができるレベルまで深堀りしていかなければなりません。理想は“広く深く”ですが、知見は一朝一夕に身に付けられるものではありませんので、時間をかけてでも知見を広げていく作業が面白いと思える人だと、IDAJがお引き受けする案件にやりがいを感じることができるのではないでしょうか。
また私のように技術に関する広い知識を集めて提案していくことに楽しさを感じる人もいらっしゃるかと思いますが、一つ一つの技術を形作るのは、各技術領域に対して深い造詣を持ったプロフェッショナルのエンジニアです。現に、今のIDAJには、この2つのタイプの技術者、またハイブリッド型の技術者が在籍しています。
広く様々な提案ができる、または一つひとつの技術をしっかり深堀りできる、どちらをキャリアとして極めていくにしても、IDAJにはその環境が整っていることは間違いないと思っています。
飯田
私から技術部門を見ても、興味があることを追求して、その能力やスキルを伸ばしている人が多いと思います。答えが出るかわからないことに対して相談相手を探しているお客様は多いので、そもそも着地点がわからないこともしばしば。そうすると、ご発注まで粘り強く営業と技術で対応しなければなりません。しかし会社として「価値があるものはとことんやる」という理解が得らえれていますので、チャレンジしやすい環境です。
ものづくりは、去年通用していたプロセスが今年はもう使えないという世界。何年経っても追いかけているゴールはあると思うので、そこに向かって今使っているプロセスを洗練させ、常にアップデートし続けていくことになるでしょうね。
玉手
今、シミュレーションがなくても予測や設計が可能な、技術の“突然変異”のようなことが起きています。AIが良い例です。この思いもよらない飛び道具が出現するのは技術の世界ではよくあること。そういったものが出てきても上手く使いこなし、ビジネスとして成立させていくことが大切だと思いますし、自分たちが持っている技術を磨き続け、お客様が目指していることを実現させるためにはどうすれば良いかという視点をもって仕事をしていかなければならないと思います。逆にそれができれば、新しい技術の登場や思いもよらない技術変革があったとしても乗り越えていけるのではないでしょうか。
新卒・中途を問わず、今まで培ってきた技術を業界問わずに活かせるというのは大きなチャンスだと思いますので、そのチャンスを一人でも多くの方と共有し、会社がさらに大きくなっていく未来を期待しています。
記載内容は2024年3月時点のものです。