IDAJ SYMPOSIUM 2025

CONVERGE Session

Introduction

オートノマスメッシング熱流体解析プログラムCONVERGEは、流体解析の”できない”を”できる”に変えてきました。その最たる実績がエンジン筒内解析であり、シミュレーション利用の革新的ブレイクスルーをもたらしました。
昨今は、燃費や熱効率向上に加え、カーボンニュートラル達成に向けた燃料の変更やエネルギーミックスという社会課題解決に向けて広く活用されています。特にここ1年は、お客様との会話やコンサルティングを通して、「シミュレーションが実験に先立って実行される」場面が劇的に増えていると感じます。
エンジンテーマに限らず、環境制約によって実測が困難なもの、燃料ミックスなどバリエーションが無限にあるもの、各種規制への対応やコンセプト実証段階での机上検討など、弊社では皆様のものづくりに真にお役立ていただける具体的な場面を想定しながら、日々技術を磨いております。
本年のCONVERGEセッションでは、エンジン以外のテーマで2件の発表があります。東芝様からは、リチウムイオン電池の安全性要求のための類焼予測技術、マツダ様からは、駆動系ギアの気流や潤滑油挙動の解析技術についてご発表いただきます。エンジンテーマでは、水素、eFuel、混焼、副室燃焼、壁面熱伝達と、技術的に難しい、多岐に渡る課題への適用実績についてご発表いただきます。さらに、アイ・ピー・エー様からは、昨年から提供を開始したクラウドプラットフォームCONVERGE Horizonを活用した建設機械用エンジンの開発プロセス短縮についてご紹介いただきます。
当イベントでは、幅広いテーマでの活用実績を一気にご聴講いただけるとともに、開発元のConvergent Science、弊社エンジニア、そしてユーザー様同士の交流の中から、新たなブレイクスルーへの気づきが生まれることを期待しています。
会場にて皆様にお目にかかれますことを楽しみにしております。

第一モデリング・ソリューション本部 解析技術1部 部長 水島 潤

プログラム

*それぞれのご講演の後に質疑応答の時間を設けております。(約5分~10分)
*プログラムは予告なく中止・変更となる場合がございます。
*英語のご講演では同時通訳サービスをご提供します。

タイトル 講演者
10:00-10:10 開会のご挨拶 IDAJ
10:10-10:40 水素火炎の消炎時熱損失予測モデルとCHTを用いた、水素エンジンのノッキング予測
タイトル 水素火炎の消炎時熱損失予測モデルとCHTを用いた、水素エンジンのノッキング予測
講演者 三菱重工業 株式会社 様
時間 10:10-10:40
概要 三菱重工グループでは、分散電源のカーボンニュートラル化に向けて、水素を燃料とした発電用エンジンの開発を進めている。水素は、分子拡散係数が炭化水素系燃料に比べて大きいため、層流火炎伝播速度が大きく、また火炎帯厚さ・消炎距離が短い性質を持つ。そこで、水素火炎の消炎時における熱損失を予測するモデルを開発し、CONVERGEに利用できるようUDF化した。そして、開発したUDFと、固体との連成解析手法であるCHT解析(Conjugate Heat Transfer、共役熱伝達)を用いて、水素エンジンのノッキング発生要因を分析した。
■CONVERGE他弊社取扱いソフトウェアについて
弊社取り扱いのソフトウェアのご利用年数 CONVERGE:5年、GT-SUITE:15年
弊社取り扱いソフトウェアを利用しての主な解析テーマ エンジン燃焼室や冷却水等のCFD
弊社取り扱いソフトウェアを気に入っていただいている点 ・UDFにより幅広い計算手法の適用が可能な点
・サポート対応が迅速で丁寧な点
三菱重工業 株式会社 様
10:40-11:10 CONVERGEを用いたカーボンニュートラルに向けた e-fuel における燃料性状の感度解析
タイトル CONVERGEを用いたカーボンニュートラルに向けた e-fuel における燃料性状の感度解析
講演者 学校法人 早稲田大学 様
時間 10:40-11:10
概要 燃料の組成および留分に着目し、エンジンとの組み合わせにより最適な燃焼条件を探索した。
対象としたのは、外部駆動方式スーパーチャージャーを備えた2.0 L単気筒ディーゼルエンジンであり、CONVERGE により数値解析を実施した。計算に用いた反応スキームは、ローレンス・リバモア国立研究所が公開している炭素数8~16のアルカン反応機構を基にリダクションを施し、さらに現象論的 soot モデルを組み込んだものである。機関回転数1400rpm、IMEP 2.0MPa、噴射圧 200MPaの条件におけるエンジン試験結果を基に数値解析を実施した、実験に使用した燃料はn-paraffin系単成分燃料であり、数値計算上では n-tridecane(nC13H28)により模擬した。仮想燃料として、n-tridecane(nC13H28)と n-tetradecane(nC14H30)を 1:1 の割合で混合した燃料とした。
数値計算上で燃料の組成・留分を変化させた各種仮想燃料を設定し、動粘度や沸点といった燃料性状が燃焼、熱効率、および排気特性に与える影響を明らかにした。
■CONVERGE他弊社取扱いソフトウェアについて
弊社取り扱いのソフトウェアのご利用年数 10年
弊社取り扱いソフトウェアを利用しての主な解析テーマ エンジンの燃焼過程状況をシミュレートし、各種物理量を可視化することにより分析
弊社取り扱いソフトウェアを気に入っていただいている点 可視化動画を作成できる点
学校法人 早稲田大学 様
11:10-11:40 パッシブ型副室ガソリンエンジンにおける副室諸元が主室混合気の着火・燃焼過程に及ぼす影響
タイトル パッシブ型副室ガソリンエンジンにおける副室諸元が主室混合気の着火・燃焼過程に及ぼす影響
講演者 株式会社 SUBARU 様
時間 11:10-11:40
概要 ガソリンエンジンの熱効率向上手法として、副室燃焼方式による高速燃焼が注目されている。しかしながら、副室の設計諸元が実機性能に与える影響については未解明な点が多く、エンジン仕様に応じた最適な副室設計を行うためには、その影響を定量的に把握することが重要である。既存のガソリンエンジンへの適用が容易なパッシブ方式を対象とし、噴孔径や副室容積といった副室諸元が燃焼特性に及ぼす影響を調べた。単気筒ガソリンエンジンを用いた実験、およびCONVERGEを用いた3次元数値シミュレーションを実施し、副室諸元が主室混合気の着火および燃焼過程に与える影響について考察した結果を紹介する。
■CONVERGE他弊社取扱いソフトウェアについて
弊社取り扱いのソフトウェアのご利用年数 10年
弊社取り扱いソフトウェアを利用しての主な解析テーマ ガソリンエンジンの筒内シミュレーション
弊社取り扱いソフトウェアを気に入っていただいている点 ・サポートが充実している
・UIがわかりやすく、直感的に操作できる
株式会社 SUBARU 様
11:40-13:10 休憩・ネットワーキング
13:10-13:40 CONVERGE applications in the world*English Lecture
タイトル CONVERGE applications in the world*English Lecture
講演者 Convergent Science 様
時間 13:10-13:40
概要 Convergent Science specializes in modeling fluid flow, conjugate heat transfer, spray and combustion using our CONVERGE CFD software. CONVERGE automatically generates a mesh at runtime, thus eliminating all user meshing time even for moving boundary problems.
CONVERGE is widely used to simulate the flow, spray and combustion found within IC engines. However, the benefits of CONVERGE CFD in terms of both accuracy and speed translate to many CFD applications including gas turbine combustors, after-treatment systems, pumps, valves, fuel tanks, oil and gas, rockets, marine, biological flows and compressors.
In this presentation, an overview of CONVERGE capabilities and validation cases will be outlined for a broad set of application areas.
Use CONVERGE and never make a mesh again.
Convergent Science 様
13:40-14:10 CONVERGEとGT-SUITEを活用した電池モジュールの耐類焼評価
タイトル CONVERGEとGT-SUITEを活用した電池モジュールの耐類焼評価
講演者 株式会社 東芝 様
時間 13:40-14:10
概要 近年、リチウムイオン電池の用途は車載用や定置用をはじめとして拡大しており、それに伴い安全性への要求も高まっています。各地域やアプリケーションに応じた安全規格を迅速に満たすためには、シミュレーションベースによる予測技術の活用が不可欠です。
安全規格の中でも重要な評価項目の一つが、電池モジュール内で複数のセルが連鎖的に熱暴走する類焼現象です。類焼は、セル間の電気的短絡、熱暴走時のベントガスの排出、セル間の熱伝達、さらにベントガスによる加熱など、電気的反応と流体、燃焼反応が複雑に絡み合う現象であり、予測には高度な解析が求められます。
本講演では、GT-SUITEによる電気化学シミュレーションとCONVERGEによるガス流体シミュレーションを組み合わせることで、類焼現象を効率的に予測可能な技術を開発した事例についてご紹介いたします。
■CONVERGE他弊社取扱いソフトウェアについて
弊社取り扱いのソフトウェアのご利用年数 8年
弊社取り扱いソフトウェアを利用しての主な解析テーマ 二次電池
弊社取り扱いソフトウェアを気に入っていただいている点 ・サポート体制
・機能の追加
株式会社 東芝 様
14:10-14:40 はすば歯車の高回転環境下におけるPIV気流検証と強制潤滑オイル挙動検証
タイトル はすば歯車の高回転環境下におけるPIV気流検証と強制潤滑オイル挙動検証
講演者 マツダ 株式会社 様
時間 14:10-14:40
概要 近年、電動車両の高出力・高回転モーター化に伴い、減速機構における潤滑信頼性の確保が重要課題となっている。特に、はすば歯車の高速回転環境下では、気流の乱れやオイルの微粒化による潤滑不安定が懸念されており、安定供給のための設計指針が求められている。
この課題に対し、ギヤ周辺の気流挙動および潤滑油の供給安定性に影響を与える要因を明らかにすることが必要である。特に、ギヤ噛合い部で発生する吸い込み・吹き出し現象や、回転数に応じた噴流速度の変化が潤滑挙動に与える影響を定量的に把握することが求められる。
本研究では、粒子画像流速測定法(PIV)を用いてギヤ周辺の気流を可視化し、高速度カメラによるオイル挙動の撮影と数値流体解析(CFD)を組み合わせて解析を行った。特に、VOF法による気液二相流解析により、気流によるオイルの変形を高精度に再現し、供給位置および流量の最適化を検討した。
その結果、高出力ポンプに依存せずとも、気流特性を考慮した潤滑設計により安定したオイル供給が可能であることを示した。これにより、次世代BEV駆動系における減速機構の信頼性向上に資する有用な知見を得た。
■CONVERGE他弊社取扱いソフトウェアについて
弊社取り扱いのソフトウェアのご利用年数 5年
弊社取り扱いソフトウェアを利用しての主な解析テーマ ・変速機・減速機における潤滑性能開発
・部品の耐熱性評価・温度解析
弊社取り扱いソフトウェアを気に入っていただいている点 技術サポートの充実:解析手法やモデル構築に関する相談にも迅速かつ的確に対応いただけるため、開発スピードの向上に貢献しています。
マツダ 株式会社 様
14:40-15:20 休憩・ネットワーキング
15:20-15:50 CONVERGE Horizonによるディーゼル燃焼解析の作業効率化と工数削減の実現
タイトル CONVERGE Horizonによるディーゼル燃焼解析の作業効率化と工数削減の実現
講演者 株式会社 アイ・ピー・エー 様
時間 15:20-15:50
概要 建設機械用ディーゼルエンジンにおいて、CARB(カリフォルニア州大気資源局)が提唱するTier 5規制の適用が見込まれています。この規制に対応するためには、NOxおよびすす(Soot)の大幅な低減と燃費改善が求められ、従来以上に高度な燃焼解析が不可欠となっています。
当社では、エンジン燃焼解析にCONVERGEを活用していますが、解析水準やシナリオ数が増加する中、従来のスーパーコンピュータを用いた解析では、社内外での解析順番待ちが発生し、短期間での開発スケジュール遵守が困難となる可能性がありました。
この課題を解決するため、CONVERGE開発元が提供するクラウドサービス「CONVERGE Horizon」を導入し、外部リソースを積極的に活用することで、燃焼解析プロセスの効率化を図りました。その結果、解析に要する工数を大幅に削減し、開発スケジュールの遵守を実現可能としました。
■CONVERGE他弊社取扱いソフトウェアについて
弊社取り扱いのソフトウェアのご利用年数 10年
弊社取り扱いソフトウェアを利用しての主な解析テーマ ・エンジン筒内の燃料噴霧を模擬した流動解析
・エンジン性能向上のための燃焼解析等
弊社取り扱いソフトウェアを気に入っていただいている点 ・ソフト専用のクラウドサービスがある
・サポート及びFAQが豊富
株式会社 アイ・ピー・エー 様
15:50-16:20 噴霧の干渉がディーゼルエンジン燃焼に及ぼす影響
タイトル 噴霧の干渉がディーゼルエンジン燃焼に及ぼす影響
講演者 株式会社 いすゞ中央研究所 様
時間 15:50-16:20
概要 ディーセルエンジンの筒内に噴射された燃料噴霧は周囲の空気を取り込みながら発達していく。その過程においては、噴霧側面への空気導入の流れが隣接する噴霧のそれと干渉する。また、噴霧はピストン壁と干渉し壁面に沿って発達後、同様に発達した隣接する噴霧とも干渉する。本報では、各干渉(噴霧基部のエントレインの干渉・噴霧火炎と壁面の干渉・壁面衝突後の隣接噴霧火炎間の干渉)が燃焼に及ぼす影響を、単気筒エンジンを用いて明らかにしたうえで、燃焼CFDソフトCONVERGEを用いて解析した。
■CONVERGE他弊社取扱いソフトウェアについて
弊社取り扱いのソフトウェアのご利用年数 10年
弊社取り扱いソフトウェアを利用しての主な解析テーマ エンジン燃焼解析
弊社取り扱いソフトウェアを気に入っていただいている点 ・操作性
・技術サポート
株式会社 いすゞ中央研究所 様
16:20-16:50 カーボンニュートラル燃料対応SIエンジン開発のための燃焼シミュレーション技術構築
タイトル カーボンニュートラル燃料対応SIエンジン開発のための燃焼シミュレーション技術構築
講演者 三菱自動車工業 株式会社 様
時間 16:20-16:50
概要 火花点火エンジン向け混合燃料に対応した三次元燃焼モデルを開発し、その予測精度を検証した。燃焼計算には CONVERGE v3.0.24を用い、CN 燃料として水素/メタン、オクタン/メタノール、オクタン/エタノールの各混合燃料を対象とした。層流燃焼速度モデルの構築にあたり、各混合燃料に対して一次元の層流燃焼速度解析を実施し、得られた結果を機械学習により補間・外挿してマップ化し、CONVERGE に実装した。未燃 HCの予測には消炎モデルを導入し、NOx 排出量の予測には拡張 Zel’dovich 機構を用いた。モデルの妥当性評価として、茨城大学における CN 燃料を用いたエンジン試験結果と比較した。その結果、筒内圧および熱発生率の時間履歴は実験と良好に一致し、乱流燃焼モデルの主要パラメータを大幅に調整する必要はなかった。排気特性についても、未燃 HC(THC)および NOx の傾向と水準を概ね再現した。
■CONVERGE他弊社取扱いソフトウェアについて
弊社取り扱いのソフトウェアのご利用年数 10年
弊社取り扱いソフトウェアを利用しての主な解析テーマ エンジン燃焼解析
弊社取り扱いソフトウェアを気に入っていただいている点 技術サポートの質が高い点
三菱自動車工業 株式会社 様
16:50-17:20 CONVERGE future development plan*English Lecture
タイトル CONVERGE future development plan*English Lecture
講演者 Convergent Science 様
時間 16:50-17:20
概要 Convergent Science has recently released CONVERGE 5.0 and we are actively developing CONVERGE 6.0.
This presentation will highlight the recent developments of version 5.0 as well introduce expected new features in version 6.0 and beyond. Some of the topics covered are CAD handling improvements, steady state solver updates, combustion modeling updates, fluid structure interaction improvements, GPU solver improvements, Artificial Intelligence capabilities and many other features.
Convergent Science 様
17:20-17:30 閉会のご挨拶 IDAJ