【はじめての流体解析】流体とは
皆さま、こんにちは。
IDAJの石川です。
~流体解析をはじめる前に知っておくこと~(1)
今回からは、おもに初めて流体解析に取り組まれる方へ、
・流体解析とは何か
・流体解析を行うために何が必要か
・流体解析によって何が得られるのか
などを、簡単にご紹介していきたいと思います。
流体解析全体の概要をご理解いただき、流体解析のイメージを持っていただけるように、少しずつ書かせいただきますので、どうぞ気長にお付き合いいただけると幸いです。
我々の身の回りには様々な物質があり、また環境によって様々な状態をとっています。
空気に代表される気体、水に代表される液体、そして固体が物質の3体として存在しています。この中で、気体や液体のように自由に形を変えながら流れていくことができるものを、一般的に“流体”と呼びます。
では、この「流体」。特徴づける性質にはどのようなものがあるでしょうか?
流体は、流体自体の性質である“物性”と、“流れ方の性質”により、その特性を分類することができます。
“物性”にも様々なものがありますが、代表的な“物性”として「粘性」と「圧縮性」をご紹介します。
粘性は、流体がネバネバした物なのか、サラサラした物なのかを表す性質で、物質や温度などによって変わります。
空気や水はサラサラしていますが、水あめやハチミツはネバネバしており、粘性を表す粘度が高いと言われます。
圧縮性は、流体のつぶれやすさを表す性質です。
子供のころ理科の実験で、注射器や水鉄砲で、こんなことを試したことはありませんか?
密閉した容器に空気が入っている場合、ピストンで押さえつけていくと、ピストンは移動して密閉空間の体積は小さくなります。
一方で、中に水が入っている場合は、ピストンを力強く押さえつけても体積は変わりません(=ピストンを移動させることはできませ
ん)。
このように空気などの気体は体積が変わってつぶれやすいのですが、水などの液体はつぶれにくいという性質があります。体積が変わりつぶれやすいものを圧縮性が大きい、逆につぶれにくいものを圧縮性が小さいと言います。
流体は、流れ方の違いによっても特徴を示します。
先ほど圧縮性という性質について説明しましたが、流体が速く流れている状態でも、圧縮性(流体の体積が変わる)の影響が出やすいです。
ロケットや超音速旅客機などのような、高速で飛ぶ物体周りに衝撃波が発生するという現象も、流体の速度と圧縮性が関係しています。
流体の速度を示す指標の一つに“マッハ数”という値があります。ロケットが“マッハ○○で飛んでいる”などという表現をお聞きになったこともあるかと思います。
マッハ数は、流体の流れの速さと音速(音が伝わる速さ)の比で表されます。空気中の音速は約340m/sなので、340m/sで流れている空気はマッハ数=1です。
一般に、マッハ数が0.1~0.3以上であれば、圧縮性の影響が出やすいと言われており、流体の体積が変化して、流れ方に影響を与えるということになります。
ちなみに340m/sは、時速に直すと1,225kmなので、普段、私たちが生活する中での空気流れなどには、圧縮性はあまり問題にならないといえますね。
また、水中の音速は、約1,500m/sです。このため、空気中よりもさらに高速で移動しない限り、圧縮性が問題になることはほとんどありません。
続きはこちらです。【はじめての流体解析】乱流とは
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