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解析工数85%削減!CONVERGEで変える開発プロセス ~進化・改善のヒントは”事例”にあり~(その1)

皆さま、こんにちは。
IDAJの水島です。

CONVERGEはエンジン解析だけでなく、噴霧乾燥機や圧縮機、モーターといった機械系装置から、燃料電池、CO₂吸収などの化学・エネルギー分野まで適用範囲を拡大しており、開発現場では、性能評価や品質の安定化、安全性の検討、開発期間の短縮といった目的に応じて、さまざまなテーマへの活用が進んでいます。また、自動メッシングによる前処理の簡略化や計算効率を意識した機能により、解析専任者に限らず設計者にもご利用いただける環境を整え、解析にかかる工数や計算時間の削減に貢献しています。

CONVERGEのさらなる有効活用に向けて適用事例を中心に最新情報を含めて、今回は以下のうち、1~6までをご紹介します。

1

ついに実現!電気化学反応を考慮したPEM燃料電池の性能解析

2

ここに使えるCONVERGE ~カーボンニュートラルに向けた活用~

3

噴霧乾燥モデルのご紹介

4

時間もコストも流れに乗せて圧縮 ~圧縮機・ポンプ開発における数値流体解析の活用~

5

シミュレーションによるリチウムイオンバッテリーの安全性予測

6

CONVERGE v5.0で実現する、過渡熱解析の効率化

7

“Horizon”の向こうへ ~未来を変える一歩を踏み出そう、CONVERGE Horizon活用術~

8

エタノール混合ガソリン(E10・E20)の蒸発挙動と噴霧解析技術の最前線

9

PEM燃料電池の周辺機器解析もCONVERGEで!

10

CONVERGE×Abaqus 流体解析と構造解析の連携・連成計算のご紹介

11

設計者のためのCAE活用術 ~カスタムパネルとスクリプトで広がるCONVERGEの可能性~

12

モーター解析をよりスマートに ~時短・効率化の実践技術~

ついに実現!電気化学反応を考慮したPEM燃料電池の性能解析

CONVERGEの開発元であるConvergent Scienceは燃料電池解析に向けた機能を拡充しており、CONVERGE v4.1から可能になった、電気化学反応を考慮したPEM燃料電池の定常的な動作を対象とした解析についてご紹介します。

1.PEM燃料電池の性能解析に必要な3つの数値モデル

(1)流体と固体の熱連成解析

熱流れに加え、化学種の輸送や固体熱伝導を再現することができ、CONVERGEの標準機能として早い段階から搭載されているモデルです。

(2)電気ポテンシャル解析

電子とプロトンの輸送を再現するモデルで、PEM燃料電池において電気化学反応によって生じる起電力や過電圧を取り扱います。

(3)電気化学反応モデル

PEM燃料電池の性能解析に不可欠な数値モデルで、電気化学反応の反応速度が定式化されています。これらの物理量は、アノード触媒層やカソード触媒層の圧力場・温度場・濃度場に依存します。

各数値モデルの関連付け

各数値モデルの関連付け

2. PEM燃料電池の性能解析

サーペンタイン流路を有するPEM燃料電池の解析では、上記3つのモデルに加えて、CONVERGE v5で導入された気液二相流モデルを用いて、水蒸気凝縮による生成水を簡易的に取り扱っています。

結果を見ると、IV特性の計算値が実測値の傾向を捉えられていることが確認できます。運転条件や流路形状によっては、化学種濃度や温度、電流密度分布が変化する様子も計算することができます。

PEM燃料電池のIV特性と内部状態分布

PEM燃料電池のIV特性と内部状態分布

3. 燃料電池に関するCONVERGEの開発計画

CONVERGEは、PEM燃料電池における完全な気液二相流の性能解析の実現を目指すとともに、性能評価において重要な電解膜内の水分管理を考慮した数値モデルを構築しています。一方で、定置型燃料電池として利用が進むSOFCについての対応を検討しており、さらに燃料電池と逆反応を示す水電解解析への展開も進めています。

ここに使えるCONVERGE ~カーボンニュートラルに向けた活用~

カーボンニュートラルの実現に向けたさまざまな取り組みを支える手段の一つとして、シミュレーション技術の活用が期待されています。

1. CO2ガス溶解解析

CO2ガス溶解は、CO2を液相中に溶解させることで大気中へのCO2排出量を低減しますので、温室効果ガス排出の相殺を通じてカーボンニュートラルの達成が期待できます。こちらは、素反応レベルの詳細反応について、CONVERGEの特徴的な機能である表面反応モデルや液相詳細化学反応などを活用した事例です。

溶解ガスモデルを用いて水中における単一のCO2気泡を解析しました。以下に示すとおり、CO2気泡径の時間変化について、実測結果を追従する解析結果が得られています。さらに水中のパイプからCO2ガスを噴出させ、溶解ガスモデルと液相詳細化学反応を考慮して解析し、溶解したCO2と生成した炭酸ガスの移動・拡散挙動を確認しています。

その他、CO2分離解析(圧力スイング吸着法、温度スイング吸着法)、メタネーション解析などにも対応できます。

CO2気泡径の時間変化とガス化学種モル率分布

CO2気泡径の時間変化とガス化学種モル率分布

噴霧乾燥モデルのご紹介

乾燥室内の懸濁液滴の乾燥工程に着目し、溶質を含む溶媒粒子の乾燥プロセス、含水率に応じた壁面反発挙動、および壁面粗さを考慮した壁面衝突挙動を扱う噴霧乾燥モデルについて、論文で公開されているモデルを実装し、検証した内容をご紹介します。

1. 噴霧乾燥モデル概要

CONVERGEのUser Defined Function(UDF)を利用して、乾燥プロセスモデルと壁面反発モデルを実装します。

乾燥プロセスモデルでは、液滴の乾燥挙動を4つのステージに分けてモデル化しています。Stage1は液体温度上昇過程、Stage2は準平衡蒸発過程、Stage3は固体表皮形成過程、Stage4は固体内部水分蒸発過程です。

壁面反発モデルでは、粒子の水分含有量と壁面粗さを考慮し、壁面衝突後の反発速度を与えます。水分含有量が多い場合は、衝突時の接線方向速度はゼロに漸近します。壁面の凹凸を仮想的にモデル化し、そこから定まる衝突角度に基づいて法線方向速度が決定されます。凹凸の高さはユーザ入力です。これによって、凹凸を有する壁面への球形粒子の衝突に加えて、滑らかな壁面における非球形粒子の衝突挙動を模擬することができます。

詳細は、Webページ(単液噴霧乾燥解析)をご参照ください。

2. 噴霧乾燥器内噴霧流動解析

実装した乾燥プロセスモデルと壁面反発モデルを利用した解析事例です。出口を通過する含水率、温度、粒径といった粒子の状態や、出口ガス温度などの情報を時刻歴で確認できました。

その他、単液噴霧乾燥解析、壁面反発モデル、乾燥室内流れ解析なども可能です。

乾燥プロセスモデルと壁面反発モデルを利用した解析事例

乾燥プロセスモデルと壁面反発モデルを利用した解析事例

時間もコストも流れに乗せて圧縮 ~圧縮機・ポンプ開発における数値流体解析の活用~

近年の圧縮機やポンプ開発では、効率化や振動・騒音低減、部品故障対策などの検討すべきテーマが多様化し、それに伴って作動流体物性、流動抵抗、熱・構造挙動などの評価項目が増え、設計コスト増や開発期間の長期化が避けられません。

1. 圧縮機やポンプの解析にCONVERGEが適している理由

(1)メッシュをソルバーが自動生成

メッシュ設定で形状再現性は変わらないため、形状違いの検討が容易です。また形状重複許容機能によって、交差や貫通のある形状データであっても流体計算が可能です。

(2)計算設定を他モデルに容易に流用

形状や各種計算設定はファイル単位で独立しているため、既存モデルやサンプルから簡単に流用できます。また、既存モデルの結果を使って、形状や条件違い検討の周期流動にかかる計算時間も軽減できます。

(3)結果データはさまざまなツールと高い親和性を持つ汎用形式で出力

出口流量などの数値結果はテキスト形式で出力されるため、さまざまなツールでグラフ表示できます。またマクロ化することで結果処理の工数削減も容易です。3次元結果はフリーツールで読める形式になっていますので、CONVERGEを使わずに結果を確認することが可能です。

2. 相変化を考慮した圧縮機・凝縮器の実測値との比較

圧縮機の計算では、超臨界領域のCO2の流入出物理量を比較し、以下に示す通り、実測相当の圧力や温度結果が得られました。ヒートポンプ凝縮器の計算では、マイクロチャネル出口部の液体分率を比較しました。この計算では、気液相の分離を考慮して冷媒ガスが流路で冷やされて液化する様子を解析し、チャネル出口の冷媒の液体分率が実測相当であることが確認できました。

その他、流体構造連成を用いたポンプや圧縮機の実測との比較や、外部機能との連成などが可能です。

相変化を考慮した圧縮機・凝縮器の実測値との比較

相変化を考慮した圧縮機・凝縮器の実測値との比較

シミュレーションによるリチウムイオンバッテリーの安全性予測

リチウムイオンバッテリーの安全性はシミュレーションを用いることで効率よく評価できます。以下は、リチウムイオンバッテリーの熱暴走プロセスです。

リチウムイオンバッテリーの熱暴走プロセス

リチウムイオンバッテリーの熱暴走プロセス

1. 熱暴走の外的要因(電気的要因)予測

(1)内部短絡:パウチセルに釘を刺して強制的に内部短絡を発生させた場合(上図)

本モデルは、Multi scale multi domainモデルを用いて正極・負極領域の電流密度を計算しました。電流密度が短絡領域に集中し、該当箇所で表面温度が急上昇することが確認できました。

(2)外部短絡:40セルバッテリーパックでタブを接続して強制外部短絡させた場合(下図)

短絡領域に電流密度が集中し、温度が上昇する様子が確認でき、CONVERGEによってバッテリーモジュールの電流分布と発熱が予測可能であることがわかりました。

その他、単セルの熱暴走予測やパック内類焼予測などの計算が可能です。

熱暴走の外的要因解析

熱暴走の外的要因解析

CONVERGE v5.0で実現する、過渡熱解析の効率化

個体冷却の計算では、過渡的な温度予測が重要となることが多々ありますが、一般的に過渡解析では計算時間やモデル作成工数が課題です。そこで、CONVERGE v5.0を用いて過渡的な固体の温度予測計算の時間を短縮する手法とv5.0で導入されたCAD エディタによるモデル作成の効率化についてご紹介します。

1. 過渡的な固体の温度予測計算

CONVERGEでは過渡計算の途中に固体の温度のみを解く計算を実施することができます。本手法では、流体と固体を連成して解く計算と、固体のみを解く計算を交互に実施しながら計算しています。固体のみを解くフェーズでは時間刻みを大きく設定できるため、高速計算が可能で、流体と固体を常に同時に解く場合と比べて、トータルでの計算時間を短縮できます。

計算中に個体のみを計算する機能

計算中に個体のみを計算する機能

2. 油冷モーターの冷却計算事例

油冷モーターの回転数が徐々に小さくなっていく条件で過渡的な計算を実施しました。以下に示すとおり、通常の手法による計算の温度低下の様子を捉えつつ、計算時間は通常の10分の1で終了しました。
その他、液体による構造物の冷却計算やタービンホイールの温度予測などが可能です。

油冷モーターの冷却計算

油冷モーターの冷却計算

3. 固体熱連成計算モデル作成の効率化

固体の部品数が多くなると、インターフェースの作成が煩雑化します。CONVERGE v5.0で追加されたCAD エディタを用いると、部品数が多い形状であっても多数のインターフェースを自動的に作成できるため、効率の良いモデル化が可能です。

CADエディタの機能

CADエディタの機能

CADエディタによるインターフェースの自動作成

CADエディタによるインターフェースの自動作成

まとめ

CONVERGEは、従来のエンジン開発向けCFDツールという枠を超え、燃料電池、CO₂吸収・分離、噴霧乾燥、圧縮機・ポンプ、リチウムイオンバッテリー、モーター冷却など、多様な産業分野へ適用領域を広げています。本記事では、PEM燃料電池の電気化学反応解析やカーボンニュートラル実現を支えるCO₂関連解析、噴霧乾燥プロセスの高精度予測、圧縮機・ポンプの性能評価、バッテリー安全性検証、過渡熱解析の効率化など、開発現場で実際に成果を生み出している事例をご紹介しました。これらに共通する価値は、「解析精度の向上」と「開発効率の改善」の両立です。特に自動メッシングや高度な物理モデル、モデル作成支援機能によって、解析準備工数や計算時間を大幅に削減しながら、高品質な設計判断を実現できます。設計品質向上、開発期間短縮、カーボンニュートラル対応、安全性評価といった課題に直面する製造業にとって、シミュレーションはもはや検証ツールではなく競争力を支える基盤技術です。CONVERGEは、開発現場におけるデジタルエンジニアリング活用をさらに加速し、より高度で効率的な製品開発を支援します。

ここでは、概要のみのご紹介となりましたので、ご興味のある事例や機能などがございましたら、お気軽に営業窓口(info@idaj.co.jp)までお問い合わせくださいますようお願いいたします。

 

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