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車載からデータセンターへ ~物理ベースシミュレーションを活用したデータセンターへのセカンドライフバッテリーの導入~

皆さま、こんにちは。

IDAJの森田です。

今回は、マルチフィジックス・システムシミュレーションツール「GT-SUITE」の開発元である、Gamma Technologiesが公開しているBLOGの内容を翻訳および一部改修・追記してご紹介します。


AI処理負荷の急増によって電力網がひっ迫し、データセンター業界は深刻な電力不足に直面しています。これを背景に、データセンター業界全体として、安定した電力供給とレジリエンスを実現できるソリューションが強く求められています。

そこで有力な選択肢の一つとなっているのが、使用済みEVから回収したモジュールを再利用するセカンドライフバッテリーです。セカンドライフバッテリーは、設備投資(CAPEX)を抑えながら、この電力不足を補うことができます。しかし、このセカンドライフバッテリーの調達には大きな課題があります。セカンドライフ市場で、大量に購入した製品の信頼性は保証されません。メーカー保証が付いた新品バッテリーとは異なり、セカンドライフバッテリーは、いわば「ブラックボックス」として取引されます。新品時からの使用期間に関する透明性の高い履歴がなければ、そのモジュールを極めて高い信頼性が求められる、ミッションクリティカルなBESS(Battery Energy Storage System:バッテリーエネルギー貯蔵システム)へ組み込むことは、設計上の選択というより、システムの信頼性を賭けた判断になりかねません。
このデータの空白を埋めるために、以下でご紹介する事例では、新品時からの使用期間におけるバッテリーの劣化予測用の高精度な物理モデルを、定置型蓄電システムとセカンドライフバッテリーの活用へ適用しました。

【参照】

・Using Simulation To Predict Battery Aging for Real World Applications
・Predicting System Performance with Aged Li-ion Batteries Using GT-AutoLion and GT-SUITE

セカンドライフバッテリー調達における課題

データセンターのような重要インフラへセカンドライフバッテリーを広く導入するうえで、最大の障壁となるのは不確実性です。

・非線形な劣化
バッテリーは一定の速度で劣化するわけではありません。寿命末期に近づくと、リチウム析出や電解液の枯渇などの劣化メカニズムによって容量低下が加速し、性能が急激に低下する「劣化の崖」に至ることがあります。

・不明な使用履歴
未使用の新品バッテリーとは異なり、セカンドライフバッテリーには使用履歴があります。高速道路や市街地での長距離走行、急速充電、さまざまな温度環境に耐えてきました。セカンドライフバッテリーの購入者は、対象のバッテリーが「劣化の崖」からどの程度離れているのかを把握することができません。

・内部抵抗の増加
バッテリーは劣化に伴って容量が低下するだけでなく、SEI層の成長、電解液の分解、活物質の減少により内部抵抗が増加します。この内部抵抗の増加によって、セカンドライフ蓄電システムに必要な冷却性能が上がる可能性があります。

・BMSの複雑化
バッテリーパックの健全性を把握し、負荷を均等に配分するBMS(Battery Management System:バッテリーマネジメントシステム)の開発には、もともと高度なエンジニアリングが必要です。各バッテリーパックが固有で不均一な使用履歴を持つBESSへ拡張されると、負荷分散は飛躍的に複雑になります。

GTが提供するソリューション

GT-AutoLionとGT-SUITEを活用し、セカンドライフバッテリーの物理ベースのデジタルシャドウを構築できます。

 GT-AutoLionによる電気化学解析
SEI層の成長、電解液の枯渇、リチウム析出など、バッテリー内部の電気化学プロセスをモデル化することで、実現できることは下記の通りです。

・「変曲点」の予測
セカンドライフバッテリーが安定動作から急速な性能低下へ移行する時期を予測します。

・使用履歴無い状態で健全性を評価する
元の車両データがない場合でも、「合成した」新品時からの使用期間のシミュレーションを用いて、バッテリーの内部状態を推定します。

・定置用途への最適化
データセンターやマイクログリッドの負荷プロファイルは、車両とは大きく異なります。「劣化した」バッテリーが停電時やマイクログリッドのピークカット要求にどのように応答するかをシミュレーションし、システムが10年または15年の投資回収目標を満たせるようにします。

EV用バッテリーパックからマイクログリッドのレジリエンスへ

データセンター用途では、信頼性を犠牲にすることはできません。GT-SUITEでは、劣化したバッテリーモデルを、次の要素を含む大規模なシステムレベルシミュレーションへ統合することができます。

・熱マネジメント
BESSの冷却システムを設計する際に、劣化バッテリーの内部抵抗増加を考慮します。

・安全性
バッテリーが寿命末期に近づくと熱暴走のリスクが高まる可能性があります。1つのセルまたはパックで発生した熱暴走がBESS全体へ連鎖しないようにすることが重要です。

・制御
BMSアルゴリズムを検証し、データセンターが各バッテリーパックの能力を最大限に活用できるようにします。

・技術経済性モデリング
残存耐用年数(RUL)を高い確度で予測し、新品バッテリーではなくセカンドライフシステムを安心して購入できるようにします。

まとめ ~課題解消に向けて~

車両での最初の使用期間の設計に用いたものと同じ高精度な物理モデルを活用することで、次世代の持続可能なデータセンターへ電力を供給するために必要な確実性を提供できます。
エネルギー貯蔵プロジェクトへのセカンドライフバッテリー導入をご検討ですか? GT-AutoLionとGT-SUITEが、循環型経済への移行に伴うリスクの低減をどのように支援できるか、ぜひお問い合わせください。

出典:Gamma Technologies Blog(2026年6月11日公開)

From the Road to the Rack: Using Physics-Based Simulation to Integrate Second-Life Batteries into Data Centers


 

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