物理モデルカスタマイズサービス

一般的な商用CFDソフトウェアでは、ユーザーサブルーチンはある範囲まで公開されているものの、基幹となる処理についてはユーザーがアクセスできない状態であるため、お客様の仕様に沿ったカスタマイズに限界があります。
一方で、 iconCFDはオープンソースソフトウェアベースのCFDソフトウェアであるため、お客様にはすべてのソースコードが提供されます。このため、商用CFDソフトウェアでは不可能だった領域のカスタマイズも、原理的に制限がなくなります。
もちろん、これまでのような物理サブモデルレベルでのカスタマイズも可能ですが、すべてのソースコードにアクセスができるため、より柔軟性のある実装が実現できます。

◆Topics◆
熱拡散を考慮した熱CVDの計算事例

下記論文を対象に、iconCFD用いて熱CVDの解析を実施、熱拡散効果の有無による生成膜厚の差異を検討しました。
Habuka, H et al., “Modeling Epitaxial Silicon Thin-Film Growth on a Rotating Substrate in a Horizontal Single Wafer Reactor”, J. Electrochem. Soc., 142, 4272 (1995)

解析モデル

論文をベースに、以下のようなモデルを作成しました。

境界条件

物理モデル

解析タイプ:非定常解析
ソルバータイプ:分離解法
基礎方程式:

  • 連続の式
  • ナビエ・ストークス式
    - 重力:考慮(-Z方向)
  • エネルギーの輸送方程式
  • 化学種の輸送方程式
    - 考慮する化学種:H2、SiCl3H、HCl
    - Diffusion off boundary: inlet
  • 乱流モデル:層流
  • 化学反応
    - substrate表面での各化学種の発生・消失を考慮

生膜反応

反応式:SiCl3H + H2 -> Si↓ + 3HCl
反応速度式:下記論文を参照

  • 総括一次反応速度式
  • 生膜速度

物性値

密度:理想気体の状態方程式
比熱:JANAF
粘度:kinetics Theoryモデル
熱伝導率:kinetics Theoryモデル
拡散係数:kinetics Theoryモデル

  • Ficken Diffusion
  • 熱拡散効果:考慮・非考慮

解析結果

3sec間の計算時間
熱拡散無し:5.5hr
熱拡散有り:6.9hr
Machine spec
Intel Core i5-2520M@2.5GHz
No. of CPU: 1CPU
以下に示す解析結果から、熱拡散効果の有無に関しては、本解析対象では、熱拡散効果が重要であることがわかりました。
これは論文著者の見解と同じです。
生膜速度の推移
  • 熱拡散の有無に関わらず2sec以降で安定となる

熱拡散の生膜速度への影響
  • 解析結果は生膜速度の傾向を捕らえている
  • 熱拡散を考慮しない場合,考慮する場合に比べ生膜速度を過剰に見積もる結果になる

SiCl3H質量分率 [kg/kg-all]
  • 底面の壁面からの距離:0.0175mm(論文と同じ)

HCl質量分率 [kg/kg-all]
  • 底面の壁面からの距離:0.0175mm(論文と同じ)

H2質量分率 [kg/kg-all]
  • 底面の壁面からの距離:0.0175mm(論文と同じ)
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