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カーボンニュートラル実現に向けたバーナー燃焼解析(その2)

Jun Mizushima

 

皆さま、こんにちは。

IDAJの水島です。

前回は、性能を評価・改良することが目的の場合、シミュレーションはどのように役立つのか?ということを中心にご説明しましたので、今回は、様々なバーナーの解析にCONVERGEが最適な理由をご説明します。

1 CONVERGEのバーナー解析事例

CONVERGEのバーナー解析事例

各種バーナー解析にCONVERGEが適している理由

火炎の安定性とエミッション量抑制の両立という観点から、部分予混合燃焼が有用であることは前回ご説明しましたが、この部分予混合燃焼は、2つの理由から難しいシミュレーションであると言えます。

  • 燃料と酸化剤の濃度勾配の方向性が異なるという予混合火炎と拡散火炎が相反する特徴を有する
  • サーマルNOx以外のNOx生成経路が存在する

現時点では、火炎モデルや総括反応で対応できる範囲が限られており、詳細化学反応による計算が重要です。予混合燃焼では火炎厚みや拡散燃焼においては燃料と酸化剤の混合部をメッシュで精度良く解像する必要があります。これらは計算コストの増加やメッシュ配置、パラメータ調整といった恣意的な設定につながり、実機応用への適用を難しくしています。

ここでは、CONVERGE最大の特徴である高速な詳細化学反応ソルバーとオートノマスメッシング技術によって、実用的な計算が可能な理由をご説明します。

1.計算コストの削減:高速な詳細化学反応ソルバー

CONVERGEには、詳細化学反応を高速化するアダプティブゾーンモデルが実装されています。アダプティブゾーンモデルは、化学反応をすべてのセルで解かずに、対象を温度や当量比、化学種濃度でグループ化されたゾーンに縮小しますので、詳細化学反応計算の負荷を大幅に減らすことができます。以下は、エンジン燃焼計算におけるアダプティブゾーンモデルの有無による計算時間の比較です。精度を維持しつつ、計算速度がなんと、46倍にも高速化しました。

10 アダプティブゾーンモデルによる詳細化学反応計算の高速化

アダプティブゾーンモデルによる詳細化学反応計算の高速化

 

2.精度と計算コスト削減の両立:オートノマスメッシング技術

バーナー解析では、燃料と酸化剤の混合を精度良く解像するために、細かなメッシュを必要としますが、領域内すべてのメッシュを細分化すると計算コストの増大を招きます。したがって、詳細な解像が必要な部分にだけメッシュを細分化すれば良いのですが、一般的なCFDソルバーでは、“適切なメッシュ配置”を経験に頼ることが多いため、解析の非専任者には難しく、条件違いの解析や簡易形状から実機形状への転用を困難にする一因ともなっています。

CONVERGEのオートノマスメッシング技術は、恣意的なメッシュ配置を解析フローからできるだけ排除し、詳細な解像が必要な部分を自動的に検知し、メッシュを細分化します。

下図は、先ほどご説明した水素浮き上がり火炎のメッシュ配置です。計算開始時は、一部境界条件付近のメッシュを除き、一様に粗いメッシュを使用しています。計算中は、解適合格子(AMR: Adaptive Mesh Refinement)によって化学種の濃度勾配が急な部分を検知して、細分化が必要な部分にだけメッシュ細分化を行います。恣意的なメッシュ配置を少なくすることで、一般的なCFDソルバーと比べて条件変更や実機への適用においても迅速かつ柔軟に対応することができます。

11 化学種AMRによるメッシュの自動細分化

化学種AMRによるメッシュの自動細分化

 

3.水素燃焼解析への適用

水素には他燃料に比べて、拡散しやすい、燃焼速度が大きいなどの特異性があります。したがって「果たしてCONVERGEで水素が関与する現象をとらえられるか?」という疑問をお持ちになる方も少なくないと思います。水素浮き上がり火炎は、拡散・燃焼速度・着火遅れ等を精度良く捉えなければなければ再現することができませんので、「水素火炎の浮き上がり現象を予測できる」こと、それ自体が一つの回答となります。より基礎的な検証を当ブログ「カーボンニュートラル実現に向けた水素利活用課題へのCONVERGE適用 ~実機適用に向けて~」でご紹介していますので、ご興味のある方はぜひご参照ください。

カーボンニュートラル実現に向けた水素利活用課題へのCONVERGE適用 ~実機適用に向けて~(その1)

バーナー解析でもエンジン解析と同様に、メカニズムの選定が重要な工程となりますので、CONVERGEをご契約いただいているお客様なら本数に制限なくご利用いただくことができる、メカニズム選定のための0D/1D補助ツール「化学反応ユーティリティ」をご提供しています。このツールには、水素メカニズムにNOxメカニズムを追加するメカニズムマージ機能、反応経路分析等の機能が含まれています。

  • 0次元/1次元詳細化学反応計算

・0次元反応器:着火遅れ計算、化学平衡計算、エンジン計算

・1次元反応器:層流燃焼速度計算

  • 3次元計算の補助ツール

・詳細化学反応メカニズムのリダクション、係数チューニング、複数メカニズムのマージ

・反応経路分析、感度解析

・サロゲートブレンダー(混合燃料作成ツール)

・テーブル作成(FGM、層流燃焼速度、TKI)

 

CONVERGEのバーナー解析事例とバーナー解析にCONVERGEを適用いただくメリットをご紹介しました。今回は、基礎的な事例を取り上げましたが、ここでご紹介した技術は、様々な燃焼機器解析に応用できるものと考えています。これからバーナー解析に取り組まれる方、バーナー解析にご興味がある方は、お気軽にご相談いただけますと幸いです。

 

 

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