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熱とノイズの協調設計を実現する高効率・高精度なシミュレーション技術とその活用方法(その1)

皆さま、こんにちは。

IDAJの中嶋です。

 

今や電動車両の開発競争は激化し、より良い製品を作るためにパワーユニットへの要求がより一層高くなってきました。

出力は上げたいが、できる限り小型で、かつ軽量化したいという要求を満たすにはあらゆる課題が山積しています。

例えば熱や出力やノイズ・・・。これまでの設計方法では限界が見え始めているのではないでしょうか。

 

 

これまでの熱設計って?!

 

熱設計に対する要求は「ジャンクション温度を仕様の温度以下に抑える」こと。

これに対して従前の設計では、定格運転時の最大発熱量を使用してジャンクション温度を予測し、それを設計に用いていました。しかし、実際の製品は状況によって動作状態が過渡的に変化しており、常に最大発熱量で発熱し続けているわけではありません。このため、これまでの設計手法では過剰な設計になる可能性があるという問題がありました。

 

家電などでは、熱暴走を防ぐために、自動的にスイッチをOFFにしてシステムを遮断するような機能が搭載されていますね。しかし、自動車は走行中にシステムを遮断することができません。したがって、どうしても安全性を考慮して熱的なマージンを多めにとった熱設計になりがちです。しかし、過剰なマージンを持った熱設計では高度な要求に応えられず、競争力を持った製品開発ができなくなるという懸念も生じてきました。

 

これまでの電気回路設計は?!

 

従前の電気回路設計では、熱設計とは切り離して全体を理想回路とし、その挙動を予測していました。ところが、

最近はデバイスの高出力化が進み、大電流領域では素子の電気的な特性に対する温度依存性が無視できなくなってきています。また、デバイスが動作する周波数が高周波数化すると、基板やヒートシンクなどの部品が起因となるノイズ(コモンモードノイズ)が問題となりますが、理想回路の場合は、部品自体の寄生成分(LCR)を考慮していないため、ノイズレベルが低く評価される恐れがあります。

したがってこれまでの設計手法では、温度依存性の影響から、高出力時に指示した出力波形が得られなかったり、製品に予期しないノイズが発生して規格が満たせないという問題の発生が懸念されます。

 

では、どうすればよいのか・・・!?

 

その答えは、

 

 

こちら。

 

熱と電気回路の協調設計、です。

 

より高度な要求に応えるには、これまでの設計プロセスを改善して、正確な事前予測を行うための、実動作環境に近い高精度なシミュレーションが必要となってきます。

熱と電気回路は密接な関係にありますので、正確な予測を行うためには互いの情報をやり取りした協調設計が必須です。しかし情報をやり取りするとはいっても、どういった内容をやり取りすれば良いのかの判断が難しいところです。そこで、各プロセスの制御因子を整理して、熱と電気回路の詳細な関係性を明らかにします。関係性の高い因子に着目することで、必要最低限の情報のやり取りで高精度なシミュレーションを実施することができます。

 

 

以下は、熱設計・電気回路設計の主な制御因子一覧です。

制御因子を細分化して稼動条件や物性・特性値、形状とすることで関係性をわかるやすく見える化することができます。

 

 

まず、回路の電圧や電流は発熱量に対して直接的に影響します。

 

 

一方で、回路の熱的な特性によって素子の温度が変化します。これによって素子の電気的な特性が変わり、結果的に電圧や電流といった出力に間接的な影響を及ぼします。

 

 

また、回路の形状因子は熱抵抗や熱容量といった熱的な特性、あるいは寄生LCRといった電気的な特性に直接的な影響を及ぼします。

 

 

各因子とシミュレーション技術の関係

 

関係性の高い因子のやり取りを再現するために必要な技術は、以下の通りです。

・電気回路側から熱側へ損失量(発熱量)を受け渡す技術

・熱側から電気回路側へ素子の温度変化を電気的な素子の特性値として受け渡す技術

・熱,電気回路の形状情報の受け渡し:3次元の情報を直接受け渡す技術または複雑な形状情報を単一の特性値(電気回路LCR、熱CR)の組み合わせとして再現するための技術

 

 

次回に続きます。

 

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