【CFD基礎講座:噴霧編(1)】相変化
皆さま、こんにちは。
IDAJの流体解析エンジニア:ナッピです。
今日からは、何回かに分けて、「噴霧」についてご説明させていただきます。
これまでの流体解析に関する記事はこちらです。あわせてご覧ください。
空気中に液体燃料が噴射した後、蒸発して燃料ガスになる。
これは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、ガスタービンなどで実際に起こっている物理現象の一部です。この現象を再現するには「蒸発とはなにか?」ということについて、しっかり理解しておく必要があります。
やかんに常温の水を入れ、温めていくと、水面から水蒸気が発生します。水(液体)から水蒸気(気体)へ姿を変える、これが”蒸発”です。
水を凍らせることにより、氷ができます。水(液体)から氷(固体)へ姿を変える、これを”凝固”といいます。
また、氷(固体)をあたためて水(液体)となる、これは”融解”です。
蒸発、凝固、融解のように、その物体の温度や圧力の変化によって状態が変化する(姿を変える)ことを”状態変化”といいます。また、相が変化するということで”相変化”と呼ぶこともあります。(このブログでは”相変化”と呼ぶことにします。)
日常生活で見られる相変化を以下の図にまとめました。
気相から液相への相変化を”凝縮”といいます。冬場に起こる結露現象は凝縮に相当します。
そして、あまりなじみがないものとして、固相から気相へ(液相を介さずに)変化する現象、”昇華”があります。最近のじめじめとした暑さに耐えられなくなり、アイスクリームをよく買うのですが、その時にお店の人がアイスクリームが溶けないように入れてくれるドライアイス。このドライアイスは固相から気相(炭酸ガス)に変化しますので、昇華の現象を観察することができます。また、防虫剤に使用されているナフタレンも、昇華が起こる物質の代表例です。
さて、液体から気体に変化する現象を示す単語として、蒸発のほかに”沸騰”もあります。
この2つ、いったい何が違うのでしょうか?
やかんに常温の水を入れ、温めると水面から水蒸気が発生します。このように、気液界面上で起こる気化の現象、それが”蒸発”です。
さらに温めていくとどうなるでしょうか?
水の内部で気化現象が起こり、気泡が現れます。これが”沸騰”です。大気圧下にある水が沸騰する温度は100℃です。この温度を”沸点”と呼びます。
これらを踏まえて、次のシチューションを考えてみてください。
天気の良い日に洗濯物を干します。時間がたつと洗濯物は乾きます。
これは、洗濯物に含まれていた水分が気化(蒸発)した結果です。確かに、水分は気化しましたが、その時の温度は、100℃には達成していませんね。
ということで、私なりに蒸発の意味をまとめますと・・・
蒸発とは、気体表面で発生する気化現象である。そしてこの現象は、沸点以下の温度下でも起こる気化現象である。
次回は、相変化にかかわる熱(潜熱)のお話しをさせていただきます。
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