航空機内のCFD ~安全性と快適性の向上~
皆さま、こんにちは。
IDAJの水島です。
今回は、オートノマスメッシング熱流体解析プログラム「CONVERGE」の開発元である、Convergent Scienceが公開しているBLOGの内容を翻訳してご紹介します。
重いバッグを持って空港に到着すると、セキュリティチェックは長蛇の列で、仕方なく立ち往生・・・搭乗締め切り直前にゲートに到着し、急いで搭乗しました。
機内持ち込み手荷物を頭上の棚に詰め込んで、座席を見つけたときには、もう汗だくです。気分が悪くなる暑さです。
しかし、機内の環境制御システムがすぐに作動し、さわやかな冷たい空気が流れ、残りのフライト時間を快適に過ごせるようになります。
読者の皆様の中にも、似たようなご経験をされた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?!
機内の環境制御システム(Evironmental Control Sstem:ECS)の最適化は、航空機設計にとって大変重要です。乗客の快適性だけでなく、汚染物質が入ってきた場合の機内の空気の流れの挙動を理解しなければなりません。
今回は、航空機内を移動しながら、呼吸することで気流を生みだしている乗客とECSからの噴き出しの操作、そしてこの2つの相互作用から生じる流体の流れのシミュレーションを見てみましょう。
このようなシミュレーションでは、計算上、いくつかの難題があります。
まず、航空機の形状がかなり複雑なこと。正確な流れ場を取得するためには、多数の角を持つシートの列を再現しなければなりません。
またシミュレーション中では、機内全体を移動する乗客の動きの影響を考慮する必要があります。
機内の形状(1)
機内の形状(2)
CONVERGEなら、これらの問題に難なく対応することができます。
自動メッシュ機能は、ソルバー実行時にボリュームメッシュを自動的に作成するため、複雑な機内の形状のメッシュを生成する面倒な手間が省くことができます。
さらに自動メッシュは、乗客の動きをとらえる ためにタイムステップごとに新しいメッシュを作成しますので、メッシュは静止したままです。したがって形状とともに移動するメッシュを使用する一般的な手法で発生してしまう、結果に悪影響を及ぼす人工粘性を最小限に抑えられます。さらにこの機能は最適化されているため、計算速度が低下することはありません。
複雑なメッシュを生成する必要はありませんので、清浄な航空機の客室と乗客の形状を、CONVERGEのグラフィカルなプリポストプロセッサであるCONVERGE Studioにインポートし、シミュレーションパラメータを指定して設定します。
乗客を表す表面には、典型的な歩行速度と乗客の口に呼気をモデル化する境界条件(別の境界)を割り当てます。乗客の呼吸からの病原菌拡散をモデル化するために、口の境界を介して機内に入るパッシブスカラーを指定します。
CONVERGEでは、パッシブスカラーは流れ場に影響を与えませんが、代わりにバルク流体運動で対流・拡散し、流れを視覚化します。そして、ECSの噴出しから発生するパッシブスカラーを指定します。

乗客の形状(口は別の境界を用います)
精度を確保するには、シミュレーションに対して十分なメッシュ解像度が必要です。だからといって機内全体に高解像度なメッシュを使用すると、メッシュ数が多くなり過ぎ、現実な時間での計算は不可能です。
CONVERGEの自動メッシュ機能には、目的の領域や重要な領域に、より高い解像度なメッシュを簡単に指定することができる複数のツールがあります。
乗客の境界に指定された局所細分割によって、乗客のメッシュの解像度が高くなり、乗客が移動するときの流れ場の解析に有効です。また解適合格子(AMR: Adaptive Mesh Refinement)は、複雑な流れ構造の領域に対して自動的に高い解像度のメッシュを配置するため、本ケースでは、乗客の呼吸とECSの噴出しのパッシブスカラーに適用されます。
こちらの動画は、ECSの噴出し、乗客の呼吸、乗客の動きの相互作用から生じる流れ場のアニメーションです。呼吸と噴出しの周りに、自動的に追加されたメッシュ細分化に注目してどうぞご覧ください。
このようなケースにはいくつかの厄介な課題がありますが、CONVERGEを使用すればメッシュ作成時間が不要ですし、用途に合わせた精度のレベルにすばやく到達させる一連のツールを用いることができるため、シミュレーションを簡単に実行することができます。
出典:CONVERGENT SCIENCE BLOG(2017年10月16日公開)
(一部編集して翻訳)AIRCRAFT CABIN CFD: IMPROVING SAFETY AND COMFORT

主任研究員 Julian Toumey
CONVERGEをご存じでない皆様、是非こちらをご視聴ください。CONVERGEの概要について9分で確認いただけます。
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オートノマスメッシング熱流体解析プログラムCONVERGEは、2008年の販売を開始以来、エンジン筒内の3次元解析をメインターゲットに、世界中で広くご活用いただいています。
普段CONVERGEをご利用いただいていないモデルベース開発を統括・推進されていらっしゃる開発責任者・管理職・シニアエンジニアの皆様、これからCONVERGEのご導入をご検討される方、IDAJにコンサルティング業務の依頼を検討される方に、CONVERGEがどういう場面でお役立ていただけるかをわかりやすくご紹介しています。
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