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【適用事例】CONVERGEによるバッテリー冷却シミュレーション

皆さま、こんにちは。

IDAJの水島です。

 

「CONVERGE」というとエンジン筒内やガスタービン、ポンプ、コンプレッサのシミュレーションで広くご活用いただいていますが、バッテリー冷却シミュレーションにも適用が可能です。

今日は、2020年3月にオンラインで開催されたConvergent Science主催のヨーロッパのCONVERGEユーザー会で発表された事例をご紹介します。

本事例は、資料としてご提供可能ですので、下記問い合わせ先まで、ご遠慮なくお申し付けください。(※一部ハードウェアベンダー・ソフトウェアベンダー様からの資料請求はご遠慮いただきます。また、その他弊社都合にてご参加をお断りする場合がございます。)

 

CO2などの排出量削減に向けて、既存のエンジンの高効率化や電動化が重要なことは、今さら言うまでもありませんが、これらに必要な技術を確立し、広く活用を促進するには、様々な技術課題をクリアしなければなりません。

 

【技術課題例】

・バッテリー冷却 ⇒ 0D・1Dのバッテリー解析と3Dの熱流れ解析との連成

・バッテリーの熱暴走 ⇒ 発火現象の考慮

・モータなどの電動化部品の冷却 ⇒ 3Dの電磁場解析と3Dの熱流れ解析との連成

・パワーエレクトロニクスの冷却

・燃料電池の水管理 など

 

CONVERGEの自動メッシュ生成ソルバーは、複雑な形状やこれまで格子法ソルバーが苦手としてきた移動境界を伴う計算を高速に実行します。また、3次元の流体連成解析や熱伝達、詳細化学反応計算にも対応していますので、比較的に難易度の高いこれらの問題に対しても適用することができます。

 

これら技術課題の中から、「バッテリー冷却」と「熱暴走」のシミュレーションに対して、CONVERGEで適用した事例をご紹介します。

 

リチウムイオン電池の特徴

バッテリーのサイクル寿命は、温度、放電・充電電流、充電状態の範囲など、さまざまな要因の影響を受けます。リチウムイオン自体は高温でも良好に機能しますが、熱に長時間さらされるとバッテリーの寿命が短くなってしまいます。

 

熱暴走反応

バッテリー内の各セルは、それ自体の発熱反応によって自然に温度が上昇します。そして、その温度がある閾値に達したときに熱暴走反応が発生します。

・80°C: SEIが分解し始めます。(リチウムと電解質溶媒の反応)

・100°C-120°C:電解質が分解し始め、セル内でガスを生成します。(CO2、CO、CH4、C2H6、C2H4、H2)

・120°C-130°C:セパレーターが溶け、アノードとカソードが接触し、内部でショートを引き起こします。

・130°C-150°C:カソードが分解して酸素を放出します。

 

電動自転車向け電池パックのシミュレーション

・電圧:36~52V

・電気容量:10-20AH

・250-1500Wモータ向け

・自然空冷

・CONVERGE CFDソフトウェアを使用して以下の計算を実施

  1. 通常の動作条件下での熱流れ解析
  2. ベントガスの安全性評価のための熱暴走解析

 

(シミュレーションで使用した形状)

 

 

 

(計算条件)

・空気の流入:5 m / s(11.2 mph)

・熱ソース:1セル当たり2 W(放電率2C相当)

・圧縮性ソルバー(圧力ベース)による定常計算

出口温度と質量流量のモニタリング

・スーパーサイクリング機能を使った固体熱連成計算

 

(冷却計算結果)

固体のエネルギーバランス

固体のエネルギーバランス

温度

温度

 

バッテリーセルの異方性熱伝導

 

ベンドガスの初期シミュレーション

・熱暴走は、セルからのベンディング(ガス放出)を引き起こします。

・熱暴走の前には、セル温度が徐々に上昇します。

・1つのセルの熱暴走が隣接するセルの熱暴走を引き起こすかどうかを評価するには、隣接するセルでの発熱も考慮する必要があります。

・CONVERGEの機能の1つであるFixed Flowを使って、実用的な計算時間で、長期間の初期シミュレーションが可能です。

・熱暴走セルの熱ソースの設定を無効にする代わりに、壁面境界を追加しました。

・流れの計算を無効する代わりに、Fixed Flowを有効にしました。

 

(計算結果)

熱暴走セルの温度

熱暴走セルの温度

 

この初期計算を元に、内壁境界温度プロファイルの拡張し、AMR(Adaptive Mesh Refinement)で温度レベル:6、化学種のレベル4と設定します。

 

(計算結果)

流量固定による初期計算

流量固定による初期計算

 

続いて、発火シミュレーションを実行します。CH4反応メカニズムを備えた詳細化学ソルバー(SAGE)を使って、短時間の火花を模擬します。

その結果は以下の通りで、AMRが通気のセル付近のバッテリーパックを通過する火炎面をとらえていることがわかります。

 

CONVERGEを利用することのメリット

・バッテリーパックの熱シミュレーションを短時間で実行するには、CONVERGEの自動メッシュ生成ソルバーが最適なソリューションです。Inlaidメッシュを含むメッシュ生成から計算実行までの時間を短縮することができます。

・バッテリーパック内熱流れ解析のケーススタディでは、スーパーサイクリングとFixed Flowによって、異なる時間スケールを簡単に管理することができます。

・バッテリーシミュレーション領域に対するCONVERGEソルバーオプションは以下の通りです。

– 定常・非定常

– 非圧縮性・圧縮性

– 密度ベース・圧力ベース

 

また今後のバッテリーパックシミュレーションとしては、さらに以下に示す技術の確立が必要になると考えています。

  • 0D/1D/2Dバッテリーモデルを備えたシステムシミュレーションツールとCONVERGEでの3次元冷却シミュレーション結果との連成
  • リダクション(Reduction)した化学反応を使った熱暴走
  • リチウムイオン電池の熱電気化学(バッテリ内の短絡現象)

 

 

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