ソリューション
ソフトウェア
その他・お知らせ
本文までスキップする

CONVERGEによるHCCIエンジンの最適化

 

皆さま、こんにちは。

IDAJの水島です。

 

今回は、オートノマスメッシング熱流体解析プログラム「CONVERGE」の開発元である、Convergent Scienceが公開しているBLOGの内容を翻訳してご紹介します。


 

マツダ社から、SKYACTIV-X(スカイアクティブ エックス)というガソリン圧縮点火エンジン技術を搭載した世界初の商用エンジンが発売されたのは2019年のことになります。

ガソリン圧縮点火は予混合圧縮自着火(HCCI)とも呼ばれ、ディーゼルエンジンで使用されていた燃焼技術をガソリンエンジンに適用したものです。

ディーゼルエンジンでは、圧力と温度が、着火する高さに達するまで、燃料と空気をシリンダ内で圧縮します。この方法には、圧縮比が高いため効率性が向上し、燃焼温度が低いためエミッション量が低下するというメリットがあります。

 

典型的なガソリンエンジンでは、燃料は吸気マニホールドに噴射されるか、直接シリンダに噴射され、スパークプラグが燃料と空気の混合気に点火します。

 

シリンダ内の火花点火(SI)燃焼のシミュレーション

 

ディーゼルエンジンと同様に、マツダのSKYACTIV-X HCCIエンジンは着火に予混合気の圧縮を利用しますが、燃料はガソリンです。

そのため、火花点火式でガソリンを直接噴射するエンジンよりも、エンジン効率が20~30%向上します。

また、燃焼温度が一般的な火花点火式ガソリンエンジンよりも低いため、エミッション量も同様に削減されます。さらにSKYACTIV-Xエンジンには、HCCIにとって非効率な条件時に使用する火花点火用の点火プラグも備えられています。

 

HCCIエンジンを経済的な採算が合うように製造するには、多くの障害がありました。

まず、燃料と空気を燃焼チャンバーで完全に混合して、均一な燃焼を確保する必要があります。

また、燃焼のタイミングを慎重に制御し、エンジンの過度の摩耗を防がなければなりません。

 

これらの障害に対処するために、OEMメーカーのエンジニアやアルゴンヌ国立研究所のような施設の研究員たちは、HCCIエンジンをシミュレーションするために計算ツールを利用してきました。

こういった計算ツール使って様々な動作条件、設計条件、燃料混合状態などを調査します。設計条件の多くは、実験環境で試験するには費用や時間がかかりすぎるからです。

 

オートノマスメッシング熱流体解析プログラムCONVERGEは、このような調査に一般的に使用されるツールです。

CONVERGEは、実行時に計算メッシュ(エンジンを離散要素化して表現したもの)を生成し、エンジンシミュレーションの実行に必要な前処理時間を大幅に削減することができますので、エンジニアはシミュレーションの設定に時間を割く必要がなく、エンジンの設計改良により集中することができます。

 

GCI燃焼における点火タイミング最適化のシミュレーション(動画は、アルゴンヌ国立研究所のVirtual Engine Research Institute and Fuels InitiativeVERIFI)よりご提供いただきました。)

 

CONVERGEの自動メッシュ生成の優れた点は、いつどこでメッシュを細分化するべきかをCONVERGEが決定し、解適合格子細分化(AMR: Adaptive Mesh Refinement)によって臨機応変にメッシュの細分化するところにありますので、HCCIエンジン設計者は、シミュレーション中、CONVERGEが流れの特徴を自動的に捉えるに任せている状態になります。

 

また、HCCIエンジンのシミュレーションにおける重要な課題の一つは、燃焼を正確にモデル化することです。

CONVERGEには、詳細な化学反応をシミュレーションし、シリンダ内の燃焼を正確に捕捉する機能があります。これによって、エンジニアは製造されたエンジンでの燃焼すらも保証することができます。

 

アルゴンヌ国立研究所のグループリーダー兼計算科学研究の主任研究員であるDr. Sibendu Somは、「CONVERGEのメッシュ生成が容易であること、その解適合格子細分化機能や進化した燃焼モデル、高性能な計算システム、これらが相まってガソリン圧縮着火などの新しい燃焼コンセプトの発展と最適化が可能になった」と述べています。

 

これらのメリットは、HCCIエンジンの設計パラメーターを迅速に最適化する能力向上につながっています。これからますます、マツダ社のエンジン開発動向に目が離せません!

 

出典:CONVERGENT SCIENCE BLOG(2017年8月9日公開)

(一部編集して翻訳)HCCI ENGINE OPTIMIZATION WITH CONVERGE CFD

主任研究員 Julian Toumey

 


 

CONVERGEをご存じでない皆様、是非こちらをご視聴ください。CONVERGEの概要について9分で確認いただけます。

 

CONVEREGEの適用についてご不明な点がございましたら、お気軽に弊社までお問い合わせください。

 

■オンラインセミナー(無料)のご紹介

「CONVERGE」ご紹介セミナー ~3次元流体解析の新たな可能性を~

オートノマスメッシング熱流体解析プログラムCONVERGEは、2008年の販売を開始以来、エンジン筒内の3次元解析をメインターゲットに、世界中で広くご活用いただいています。

普段CONVERGEをご利用いただいていないモデルベース開発を統括・推進されていらっしゃる開発責任者・管理職・シニアエンジニアの皆様、これからCONVERGEのご導入をご検討される方、IDAJにコンサルティング業務の依頼を検討される方に、CONVERGEがどういう場面でお役立ていただけるかをわかりやすくご紹介しています。

セミナーの詳細・お申し込みはこちら

 

■オンラインでの技術相談、お打合せ、技術サポートなどを承っています。

本件ならびに本記事で登場する製品やサービスに関しては、下記までお気軽にお問い合わせください。ご連絡をお待ちしています。

株式会社 IDAJ 営業部

Webからのお問い合わせはこちら

E-mail:info@idaj.co.jp

TEL: 045-683-1990