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物理モデルベースデジタルツインの力をひも解く(その3)

皆さま、こんにちは。

IDAJの森田です。

マルチフィジックス・システムシミュレーションツール「GT-SUITE」の開発元である、Gamma Technologiesが公開しているBLOGの内容を翻訳および一部改修・追記してご紹介します。

今日は「物理モデルベースデジタルツインの力をひも解く」の3回目(最終)の記事です。

これまでの記事はこちら👇 

第1回:デバイスが直面する運用上の課題と、可用性、健全性、残存寿命を予測するために、なぜ物理ベースのモデリングが不可欠となのか?

第2回:GT-SUITEとGT-AutoLionを用いて構築されるモデリング基盤

第3回:モデルがIoTクラウド環境へどのように統合され、日々の運用実行に活用されるのか?


既存のIoT・クラウド環境への統合

デジタルツインが実際の運用で価値を発揮するためには、デバイスネットワークを支える既存のIoT・クラウド環境へスムーズに統合されることが重要です。

こうしたシステムでは、確立されたデータの流れが構築されています。デバイスから送られてくるテレメトリーデータはゲートウェイを経由してMQTTブローカーに送信され、その後、時系列データベースやリレーショナルデータベースに保存されます。さらに、ダッシュボード表示や制御コマンドの実行、自動化された運用判断などの上位サービスでは、テレメトリーデータに加えて、設置場所、稼働開始日、ハードウェア世代、運用状況といった情報も活用されています。

デジタルツインは、こうした既存の仕組みを妨げることなく、その一部として自然に組み込まれる必要があります。

デジタルツインのクラウド構成

デジタルツインのクラウド構成

デジタルツインの定期実行と状態推定

デジタルツインは、このワークフローの中で定期的に実行される計算サービスとして組み込まれます。一般的には1日1回、または数時間ごとなど、あらかじめ設定されたタイミングになると、バックエンドサービスが各デバイスの最新のテレメトリーデータを取得し、デジタルツインの実行環境へ送信します。

デジタルツインは、GT-SUITEGT-AutoLionから生成されたモデルを用いて、バッテリーの劣化状態を更新し、健全性(SOH:State of Health)を算出します。また必要に応じて、充電状態(SOC:State of Charge)や、残存寿命(RUL:Remaining Useful Life)の推定も行います。計算結果は、システム内で他の機能が利用しているものと同じデータベースへ書き戻されます。

GT-Playによるモデル実行・管理基盤

こうしたモデルを実行する環境には、モデルのバージョン管理、アクセス権の管理、安全な通信、そして処理量の増加に応じて拡張できる計算リソースが必要で、GT-Playがこの役割を担います。

GT-Playは、ユーザーが直接操作する画面として機能するのではなく、シミュレーションを実行するためのサービス基盤として動作します。これにより、バックエンドシステムはモデルの作成、シミュレーションの実行、入力データの管理、計算結果の取得を行うことができます。

GT-Play上で実行されるGT-AutoLionデジタルツインモデル

GT-Play上で実行されるGT-AutoLionデジタルツインモデル

デジタルツインの継続的な更新と履歴管理

新たなモニタリングデバイスが運用を開始すると、バックエンドシステムは対応するデジタルツインをプラットフォーム上に登録します。その後、テレメトリーデータが蓄積されるにつれて、デジタルツインも継続的に更新され、実際の運用環境におけるバッテリーの状態や履歴を記録し続けます。また、GT-Playではモデルの履歴情報が保持されるため、エンジニアや解析担当者は、各SOH推定値や予測結果、RUL予測がどのバージョンのモデルによって生成されたかを常に確認することができます。

GT-Playを活用したデバイスの日次SOH推定

GT-Playを活用したデバイスの日次SOH推定

運用判断への活用とスケーラビリティ

クラウド全体のアーキテクチャの中で、デジタルツインの計算結果は運用上の意思決定に活用されます。SOCの予測結果は、予定された計測業務の期間中に十分な稼働時間を確保するため、デバイスをいつ省電力モードへ切り替えるべきかの判断に役立ちます。また、日々更新されるSOH情報により、想定よりも早く、あるいは異なるペースで劣化が進んでいるデバイスを特定することができます。さらに、RUL(残存寿命)の予測はデバイスの交換計画に活用でき、遠隔地に設置されたデバイスが予期せず使用できなくなるリスクの低減につながります。

この仕組みは、デバイス数の増加にも自然に対応できるよう設計されています。デバイスネットワークが拡大すると、デジタルツインの数も増えます。シミュレーション処理は、GT-Playの実行機能とGT Cloud Solverソリューションによって分散して実行されるため、システム構成を変更することなく、数千台規模のデバイスを個別にモデル化することが可能です。

デジタルツイン実行基盤としてのGT-Cloud

デジタルツイン実行基盤としてのGT-Cloud

まとめ:IoT・デジタルツイン・クラウドの連携

IoTインフラ、デジタルツイン、クラウド環境は、それぞれが連携しながら価値を生み出します。IoTインフラは実世界のデータを収集し、デジタルツインは物理法則に基づいてそのデータを解析します。そしてクラウド環境が、その結果を具体的な運用アクションへと結び付けます。このようにして、実際のデバイスから収集されたテレメトリーデータが継続的に物理ベースモデルへ反映され、その解析結果が運用判断に活用される、一貫したデジタルツイン環境が実現できます。

ライブ分析ダッシュボードに表示されたデジタルツインの解析結果

ライブ分析ダッシュボードに表示されたデジタルツインの解析結果

 

デジタルツイン技術によって、お客様の実システムでどのようなことが実現できるのかご興味をお持ちでしたら、ぜひIDAJへお問い合わせください。

 

出典:Gamma Technologies Blog(2026年5月14日公開)

Part 3 — Integrating Physics‑Based Digital Twins into an IoT and Cloud Environments


 

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