xMODの活用方法:INCAを用いたバーチャルキャリブレーション(その2)
皆さま、こんにちは。
IDAJの小川です。
今回は前回の続きをご紹介します。
■バーチャルキャリブレーションで使用するモデル
ここまでは、バーチャルキャリブレーションの環境そのものについてご紹介してきましたが、次にバーチャルキャリブレーションで使用するモデルの準備という問題があります。
たいていは、社内にある何らかのツールで作られたモデルを利用することを想定されるかと思います。
しかし多くの場合、これらのモデルはキャリブレーションのために作られたモデルではないため、そのまますぐに使えるとは限りません。
例えば、ハードウェアを表現したモデル(プラントモデル)は、基本的にハードウェア設計のために作られたモデルであるため計算時間が掛かりすぎたり、制御と組み合わせることを想定していないモデルの場合は、モデル内に同じような簡易制御が既に存在していたり、また、外部と接続するためのインターフェースが用意されていないことも十分に考えられます。
従って、これらのモデルを社内から入手できたとしても、キャリブレーションの担当者が複数のツールでできたモデルを組み合わせ、適切に動作させるのは、そう簡単なことではありません。
なぜならば、モデルを取り扱うためには、各ツールを操作できなければならず、たとえその操作が実際には簡単だったとしても操作方法を習得する必要があるからです。
こういった場合、xMODを使用すれば、モデルをキャリブレーション環境に持ってくる前段階において、モデルだけで接続と動作確認が可能になります。
下図はその概略図です。このときのxMODは、キャリブレーション環境というよりも、純粋なシミュレーション環境のプラットフォームとして扱います。
これなら、社内のシミュレーション担当者の協力を得ながら、比較的簡単に動作確認することができそうです。
つまりキャリブレーション担当者は、それぞれのモデルを個々に受け取るのではなく、“組み合わせた状態で”かつ“動作確認が済んだ環境”そのものを受け取ることができます。
各モデルに詳しい担当者がモデルを操作し、キャリブレーション担当者は、キャリブレーション業務に集中するという意味で、最も合理的な進め方ではないでしょうか。

モデルのみで構成されたxMOD上の組み合わせ
■モデル・設備とキャリブレーション融合の在り方
今回は、xMODの特徴の1つであるINCAでのキャリブレーションを例に、活用方法の一例をご紹介しましたが、それぞれのフェーズにおいて、各ツールや環境が共通で使われ、それらが段階的に変化することがご理解いただけたかと思います。
特に今回は、実機でのキャリブレーションシーンから始まり、あえて開発プロセスを(時間的に)巻き戻しながらご紹介しましたが、そもそも従来は、机上検討(モデル)と、実機、実験キャリブレーションは別物で、それぞれが独立して進行されるものでした。しかし最近では、相互活用によって開発プロセスを効率化することを目指す流れとなっており、今後もモデルと実機の混合領域は拡大するものと思います。
その際に大切になるのは、同じモデルや環境が融合され、開発プロセス全体で見た場合に、できるだけ“一気通貫”で取り扱うことができるようにすることではないでしょうか。
その意味で、xMODが持つ“MILとHILを同じ環境として実現できる”機能とコンセプトは、とても重要なファクターであると考えます。

シミュレーションと実機の融合
以上、簡単ではありますが、INCAを使ったバーチャルキャリブレーションについてご紹介しました。
xMODやバーチャルキャリブレーションにご興味がおありの場合は、どうぞお気軽に下記までお問い合わせください。
マルチツール連携、MILS、SILSからHILSまでモデル共有を可能とするシミュレーションプラットフォーム「xMOD」
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