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【はじめての流体解析】流体解析を構成する要素(その1)

皆さま、こんにちは。

IDAJの石川です。

 

~流体解析をはじめる前に知っておくこと~(10

今回は、流体解析を構成する要素について、詳しく見ていきましょう。

 

流体解析を構成する要素は、大きく分けて5つあります。

■計算するためのコンピュータ

■解析する形状や計算に必要なメッシュ

■さまざまな計算手法と計算するためのプログラム

■どのような物理現象を扱うかを決める解析設定

■計算で得られた結果を人間に理解できる形にする結果処理

 

大まかな流れは、コンピュータ上に対象とする形状を作成し、プログラムで計算して、結果を見るという順番です。

では、各要素についてご説明します。

 

■計算するためのコンピュータ

流体解析には、どの程度のスペックのコンピュータが必要なのでしょうか。

 

流体解析は、解く対象や現象、利用するソフトウェアなどにより必要なスペックも大きく変わりますが、ここでは簡単な熱流れを計算するのに最低限必要な環境をご紹介します。

 

最近では、比較的安価で高性能なパソコンが数多く出回っています。まずは、パーソナル向けの、デュアルコアのCPUを搭載したマシンがあればよいかと思います。

OSは、最近ではWindowsもしくはLinuxがお勧めです。

メモリは、最低でも2GB以上はあった方が良く、多ければ多いほど大規模な計算が可能になります。

現在であれば、メモリも安価で入手できるので4GB~8GBくらいが価格とのバランスが良いかと思います。

ハードディスクサイズも多ければ多いほど良いですね。ハードディスクも安くなっていますので、500GBは欲しいところです。

モデルを動かしたり、可視化した画像を見るために、ディスプレイも大きなものの方が楽ですよ。

 

ご留意いただきたいのですが、スペックは使用するソフトウェアや解析の規模によって変わります。ここでご紹介したのはあくまでも一例です。特に大規模な計算を行なう場合には、CPUやメモリを増やしたり、専用の計算サーバーを構築することが必要になることがあります。実際に流体解析を実施される際には、ハードウェアまたはソフトウェアベンダーに解析内容を伝えて、アドバイスをもらうといいかもしれません。「一般的には」と前置きした上で、目安を教えてもらえると思います。

 

■解析する形状や計算に必要なメッシュ

数値解析を行なうためには、まずコンピュータ上に解析対象物を再現し、解析領域を任意の小空間に分割する必要があります。

解析対象の形状は、3次元のCADデータを流体解析プログラム(解析ソフトウェア)に読み込むか、プログラム上で形状を作成するかのどちらかになります。

解析領域を分割した任意の小空間を“メッシュ”もしくは、“グリッド”、“格子”、“セル”などと呼びます。

呼び方は様々ですが、だいたい同じ意味だと思っていただいて結構です。

保存則の説明に出てきた家がセルだと思っていただければ良いでしょう。

この各セルに保存則が適用され、各セルに速度や温度などの値を持ちます。

 

ここからは、流体解析で用いられるメッシュタイプ(メッシュの形状)についてご説明します。

分割されたメッシュの形によっていくつかのタイプにわけることができます。

まずは、構造メッシュ(直交メッシュ)です。

これは、正方形や長方形の6面体のメッシュで構成されるもので、特に、6面体のメッシュが規則正しく並んでいるようなものを指します。

形状が複雑だったり、曲面がある形状の場合には、メッシュが“ガタガタ”となることが多く、複雑な形状を忠実に再現するのに不向きなメッシュタイプです。

 

メッシュが規則正しく並んでいないものは、非構造メッシュと呼ばれます。

きれいな長方形ではなく、ゆがんだ6面体をつなぎ合わせて曲面を構成するのがこのメッシュタイプです。

任意の6面体形状は、ヘキサメッシュと呼ばれます。

構造メッシュよりは曲面などを表すことができますが、複雑形状になると全てをヘキサメッシュで構成するのはかなり難しいですね。

 

非構造メッシュの中でも三角形の4面体で構成されたものを、テトラメッシュと呼びます。

テトラメッシュは、複雑な形状に対しても汎用性が高く、昔からよく使われてきたメッシュタイプです。

特に、“自動メッシュ生成機能”という、自動的にメッシュ分割する仕組みで、このメッシュを作成することができます。

ただ、一般的にテトラメッシュは、ヘキサメッシュや次に紹介する多面体メッシュに比べて解析精度が悪いことが多いという問題があります。

 

このヘキサメッシュやテトラメッシュに代わって、近年、ポリヘドラルメッシュという任意の多面体メッシュタイプが登場しました。以下にあるように、任意の多面体形状をしたメッシュです。テトラメッシュと同じように、自動メッシュ機能を使って作成することができ、複雑形状も忠実に再現することができます。

また、テトラメッシュに比べて、面の数が多いため計算精度が良いという特徴があります。

 

こちらは、正方形の構造メッシュを構造物の表面形状(CADデータ)で型抜きしたようなメッシュタイプで、トリムドメッシュとかカットセルなどと呼ばれています。

ほとんどの領域は構造メッシュですが、表面のメッシュはカットされ多面体になっています。

 

最後に、レイヤーメッシュについて説明しておきます。

物体の表面付近の流れは、“境界層”と呼ばれる表面形状に沿った流れを形成しています。

流体解析では、この境界層流れを精度よく捉えるため、レイヤーメッシュと呼ばれる表面形状に沿ったメッシュを作成する必要があります。

レイヤーメッシュは、表面のメッシュがある厚みを持って何層かの層状に並んだメッシュ構造になっています。

残りの要素のご説明は、次回に譲ります。

 

続きはこちらです。【はじめての流体解析】流体解析を構成する要素(その2)

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