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ennovaCFD for OpenFOAM®の最新情報とOpenFOAMコンサルティングサービスのご紹介

 

皆さま、こんにちは。

IDAJの伊藤です。

ennovaCFDの最新バージョン1.9.2をリリースしました。今日ははv1.9.2の新機能と、OpenFOAMコンサルティングサービスについてご紹介します。

enovaCFD for OpenFOAM v1.9.2の最新情報

1. OpenFOAM GUIの機能拡張

(1)化学種計算に対応したGUI

 燃焼反応や選択透過膜などの化学種の計算設定ができるようになりましたので、ennovaCFDで解析設定した化学種を使った解析事例をご紹介します。

・CH4燃焼解析(気相の化学反応計算)

気体・固体・液体の3つの領域をモデル化、気体領域でCH4の燃焼を考慮し、OpenFOAMのchtMultiRegionFoamで計算した事例です。従来からあるCHT解析の設定に加えて、化学種の物性や燃焼モデル、反応式などをGUIで設定しました。ただし、ennovaCFD v1.9.2では、以下の制限事項があります。ご留意いただけますと幸いです。

-反応が設定できる気相:1つの領域のみ

-Chemistry solver:EulerImplicitのみ

-燃焼モデル:PaSRとEDCのみ

CH4拡散燃焼解析

CH4拡散燃焼解析

・化学種選択透過膜解析

OpenFOAMの化学種選択透過膜境界条件であるsemiPermeableBaffleは、任意の化学種だけを透過させる境界条件として使用します。設定できる化学種は任意の個数です。

AMI境界で仕切られた空気とCH4N2混合ガスの2つの領域をモデル化し、領域界面にCH4の透過条件を与えて計算しました。以下のケースではソルバーにchtMultiRegionFoamを使用して、流体だけを計算しています。

化学種選択透過膜解析

化学種選択透過膜解析

 

(2)OpenFOAM対応バージョンアップデート

半年ごとにリリースされているOpenCFD版のOpenFOAMに対して、ennovaCFD v1.9.2では、OpenFOAM v2206 v2212に対応しました。これによってOpenFOAM v2012v2212が対応バージョンとなります。

2.メッシャー関連の新機能と機能強化

(1)Extrudeメッシャー

ボリュームメッシュを押し出して生成する、またはボリュームメッシュをExtrudeメッシュに置き替えるという方法で層状のメッシュを生成する、Extrudeメッシャーが搭載されました。Extrudeメッシュは、入口や出口の助走領域の作成に使用できる他、ピストンポンプやギヤポンプなどにも適用可能です。

ボリュームメッシュ表面を押し出して生成する方法

ボリュームメッシュ表面を押し出して生成する方法

ボリュームメッシュをExtrudeメッシュに置き替える方法

ボリュームメッシュをExtrudeメッシュに置き替える方法

 

・アキシャルピストンポンプ解析

ピストンのメッシュをExtrudeメッシュで作成、OpenFOAMのモーフィング機能を使ってピストンの伸縮運動をアコーディオンのように表現し、回転領域と静止領域の界面はAMI境界を使用しました。計算は、キャビテーションを考慮しています。標準のOpenFOAMでは往復運動と回転運動を同時に扱えないため、IDAJが機能追加したOpenFOAMを使用しています。

アキシャルピストンポンプ解析(キャビテーション等値面)

アキシャルピストンポンプ解析(キャビテーション等値面)

・外接ギヤポンプ解析

ギヤの軸方向にExtrudeメッシュを使用することで、品質のよいメッシュを生成することができ、oversetの計算安定性が向上します。

外接ギヤポンプ解析(速度分布)

外接ギヤポンプ解析(速度分布)

 

(2)Shrinkwrap/リークチェック高速化

Shrinkwrap(サーフェスラッパー)やリークチェックの機能の処理速度が高速化しています。ennovaCFDのリークチェックは、漏れ検出時にバックグランドでボリュームメッシュを生成しています。従来のバージョンではリークチェックの度にバックグランドメッシュを生成していましたが、v1.9.2では1回目のリークチェックでバックグランドメッシュの情報をメモリに保存し、2回目以降は一部のバックグランドメッシュだけをリメッシュすることで大幅な処理時間の短縮を実現しました。

リークチェックによる漏れ検出機能

リークチェックによる漏れ検出機能

 

リークチェックの処理速度

v1.8.1

v1.9.2

1回目

120秒

70秒

2回目以降

120秒

7秒

ラッピング後のサーフェスメッシュ約60万メッシュでの速度(CPU:Intel Core i7-8565U@ 1.80GHz 1.99 GHz)

(3)Shrinkwrap Gapメッシュ高品質化

以前のバージョンでは、粗いメッシュサイズでは、凹凸なメッシュが生成されることがあったサーフェスメッシュ品質が改善しました。

shrinkwrapメッシュの高品質化(左:v1.8.1 右:v1.9.2)

shrinkwrapメッシュの高品質化(左:v1.8.1 右:v1.9.2)

 

(4)ConeDensity

BoxCylinderSphere型の空間メッシュ制御に、Cone型が追加され、中実や中空のコーン型Densityを設定できます。

中空Cone型Density

中空Cone型Density

 

3.結果処理ツールの機能追加

OpenFOAMユーザー様は、可視化にParaViewを使用されている方が多いかと思いますが、ennovaCFDでも可視化が可能です。徐々に機能が充実してきていますので是非ご活用ください。

(1)コンター表示カラーマップ

Rainbow Red to Blueカラーマップに加えてRainbow Red to Violet、Gray Scale、Cold to Warm、Inferno、Blackbody Radiationなどが追加されました。

コンター図カラーマップ

コンター図カラーマップ

(2)遠近法表示

Ennova Optionで遠近法表示と平行投影表示の切り替えができるようになりました。

遠近法表示と平行投影表示

遠近法表示と平行投影表示

(3)注釈表示

Graphic windowに、任意のテキストや計算結果のイタレーションといった注釈を表示させることができるようになりました。フォントも変更できます。

注釈表示

注釈表示

(4)EnSight Goldフォーマットの読み込み

ennovaCFDでは、OpenFOAMネイティブ形式の結果以外に、EnSight形式(.caseファイル)をインポートして結果表示することができます。

4.騒音解析結果処理ツールidajFFT

IDAJで開発した騒音解析の結果処理ツール「idajFFT」の処理内容を設定するGUIが追加されました。EnSight Gold形式の2次元断面結果ファイルを、オープンソースプログラムのVisualization Toolkit(VTK-V9.2.2)を使用して読み込んで結果を処理します。(idajFFTのご利用にはennovaCFDとは別ライセンスが必要です。)

(1)2次元断面のスカラー値に関するバンドパスフィルター

バンドパスフィルターは、圧力など特定の周波数帯のスカラー値を抽出するフィルター処理の一種です。図13は、時系列の2次元断面圧力分布をバンドパスフィルター処理し、特定の周波数帯の圧力分布を抽出した結果です。

(2)2次元断面のSPL分布

3分の1バンドごとのSPL分布を出力することができます。

(3)probesデータのFFT処理

バンドパスフィルター処理(左:450-550[Hz]、右:950-1050[Hz])

バンドパスフィルター処理(左:450-550[Hz]、右:950-1050[Hz])

2次元断面のSPL分布(500Hz)とprobeデータのFFT結果

2次元断面のSPL分布(500Hz)とprobeデータのFFT結果

 

関連サービス(コンサルティングサービス・ツール開発他)

OpenFOAM運用立ち上げを目的とした様々なコンサルティングサービスをご提供しています。

1.OpenFOAM受託解析・カスタマイズ

OpenFOAMを導入する際に問題になるのは、希望する解析をOpenFOAMで実現するまでの調査、検証工数、ノウハウの習得です。お客様のご要望に応じて、弊社がベンチマーク計算や技術移管、OpenFOAMへの機能追加などを行い、早期の運用開始をご支援します。

動的係留索モデル開発(OpenFOAMのライブラリー開発)

動的係留索モデル開発(OpenFOAMのライブラリー開発)

 

2.ennovaCFD テーマ特化GUI・自動化ツール開発

定型解析のためにテーマ特化型GUIや、マクロファイルを使った自動化ツールなどを開発します。

伴流を考慮したプロペラ単体解析用GUI

伴流を考慮したプロペラ単体解析用GUI

 

3.アドバンストサポート

OpenFOAMに関する一般的な情報は、インターネットで検索したり、ソースコードを解読しながら調査することになり、ユーザー様の調査にかかる負荷が上がります。そこで弊社が、商用ソフトウェアに付帯する技術的なサポートと同じようなOpenFOAM向けの技術サポートをご提供することも可能です。

4.SNSによる情報発信

X(Twitter)、Facebook、LinkedInなどのSNSで、ennovaCFD for OpenFOAMの情報発信を行っています。OpenFOAMを使ったベンチマーク結果やennovaCFDの新機能などを逐次ご紹介していますので、情報収集の一環として是非ご活用ください。

X(Twitter)での情報発信

X(Twitter)での情報発信

 

DXの推進と共に、CFDの活用範囲が今後ますます拡大することは間違いありません。それに伴って、商用CFDツールだけでなく、OpenFOAMなどのオープンソースツールを効果的に併用していくことが、コスト削減というビジネス課題に対する一つのソリューションになるものと考えています。IDAJがご提供するennovaCFD for OpenFOAMやコンサルティングサービス等が、お客様のOpenFOAM有効活用の一助となれば幸いです。本稿の内容に関するご質問や、その他OpenFOAMでのお困りのことがあれば、是非弊社までお問い合わせください。

 

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