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【適用事例】世にも不思議な超音速流れへのいざない(その2)

 

皆さま、こんにちは。

IDAJの水島です。

 

愛してやまない超音速流れの第2弾です。(前回の記事はこちら↓)

【適用事例】世にも不思議な超音速流れへのいざない(その1) – IDAJ-BLOG

この記事の中で、

管路内流れで、出口圧力を下げていくと流量が増加するが、超音速に達すると流量が増加しなくなる

というチョーク(閉塞)現象について紹介しました。

これだけを逆にすると「管路内流れでは音速を超えることができない」とも解釈できますが、ラバルノズル(Laval nozzle、先細末広ノズル)という、縮小・拡大ノズルを利用することで、音速を超えた流れを作成することができます。

ラバルノズル

ラバルノズル

 

今回は、入口条件を「全圧 231[kPa]、全温410[K]、空気」一定とし、ノズル出口の圧力を低下させていった場合のノズル内部流れの変化を見ていきます。CFD解析には、前回同様オートノマスメッシング熱流体解析プログラムCONVERGEを使用して2次元計算を実施しました。

亜音速からチョーク、超音速領域の形成

下図(1)~(4)は、出口圧力Peを低下させていった各条件でのマッハ数分布を示しています。上段が中心軸上のマッハ数分布を、下段がマッハ数コンター図です。

(1)~(3)では、ノズル全域で音速を超えない亜音速流れであり、断面積の最も小さい縮流部(スロート部)で最大速度(=最大マッハ数)となります。出口圧力を下げていくと流量が増加し、スロート部のマッハ数も増加していきます。(3)まで下げるとスロート部でマッハ数=1となり、チョークに至ります。以降どれだけ出口圧力を下げても、(3)の流量を超えることはありません。

さらに出口圧力を下げた状態が(4)で、断面積が拡大する末広部ではマッハ数が1を超える超音速流れとなります。ここでようやく音速を超えられましたが、出口圧力は(3)と5[kPa]しか変わらないので、圧力が回復せざるを得ず、不連続的な衝撃波が形成されます。

マッハ数分布1

マッハ数分布1

 

超音速領域の増加

(4)からさらに出口圧力を下げていくと、末広部内の衝撃波がだんだんと下流側に移動していきます。それに伴い、スロート部(=マッハ数は常に1)から衝撃波までの超音速領域が拡大し、最大マッハ数も増加していく様子がわかります。

マッハ数分布2

マッハ数分布2

 

ノズル出口で衝撃波形成

下図(10)でちょうどノズル出口に衝撃波が達する状態となり、末広部全域で超音速流れが達成されます。

マッハ数分布3

マッハ数分布3

 

過膨張領域から適正膨張領域

さらに圧力を下げ、下図(13)の状態を“適正膨張”と呼びます。とは言うものの、計算結果としては(10)の状態と何ら変わっていません。今回は考慮していない、ノズル出口よりも下流側で変化が起こっているのです。(10)はちょうど出口で衝撃波が存在している状態、つまりは、ノズル出口における圧力Pe’と(計算で設定している)出口圧力Peとは一致しておらず、Pe’<Peの状態です。この状態(計算結果では(10)~(12)に該当します)を“過膨張”と呼び、下流側を計算していたならばそこで衝撃波が形成されています。

Pe’=Peの適正膨張に至ると衝撃波は形成されず、さらに圧力を低下させたPe’>Peの不足膨張では下流側に膨張波が形成されます。

マッハ数分布4

マッハ数分布4

 

適正膨張時の各種物理量分布を下図に示します。

マッハ数、流速は下流に行くにつれ単調増加、圧力、温度は単調減少となっています。

各種物理量分布

各種物理量分布

 

圧縮性流体の教科書には、断面積変化を考慮した準1次元理論式が掲載されています。ラバルノズルの断面積比や圧力比、作動流体の比熱比を決めれば、チョーク発生時の出口圧力や流量、ノズル出口に衝撃波が形成される時の出口圧力、適正膨張時の出口圧力・マッハ数・流速などを計算することが可能です。

今回ご紹介したCONVERGEの計算結果は理論値によく一致しており、適正膨張時の出口流速を-0.06%、出口マッハ数を-0.3%という精度で良好に予測できています。

一連の計算結果を、一つの動画としてまとめました。ご参照いただければ、変化したところ、変化していないところがよりご理解いただけるものと思います。

超音速流れ第2回はいかがでしたでしょうか?

理論値とCFDツールとを比較することは、「そうなって当然」と絶対的に確信している反面、少しばかりの不安があるのも事実です。シミュレーションを実施することで実現象や理論を理解してくことは大きな喜びです。今後も皆様の理解のお手伝いができればと考えています。

 

CONVERGEをご存じでない皆様、是非こちらをご視聴ください。CONVERGEの概要について9分で確認いただけます。

 

CONVEREGEの適用についてご不明な点がございましたら、お気軽に弊社までお問い合わせください。

 

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