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【適用事例】世にも不思議な超音速流れへのいざない(その1)

皆さま、こんにちは。

IDAJの水島です。

 

流体力学という学問の中で異彩を放つ分野は、「ポテンシャル流れ」と「超音速流れ(圧縮性流れ)」ではないでしょうか?

「ポテンシャル流れ」は理想流体という現実には存在しない流れであることと、複素数がとっつきにくく興味が持てない一方で(先生すみません)、「超音速流れ」には漠然とした憧れがあるのは私だけではないと思います。

人生経験を積まれている皆様にはおなじみの超音速旅客機コンコルドは、現代の旅客機の約2.5倍の巡航速度であるマッハ2.0程度で飛んでいました。残念ながら現代では搭乗が叶わず、超音速を間近に見る機会はなかなか無いものです。

 

 

文字通り、流れの速度が音の速さ(=音速、20℃の空気で344m/s程度)を超えるのが超音速流れであり、流れの無次元数の一つであるマッハ数が1を超えることと同義ですが、これを境に決定的に世界が変わります。(マッハ数が1を超えない流れを亜音速流れと呼びます。)

 

・先が細くなっている管路において、亜音速では流れが加速するのに対し、超音速では流れが減速する

・管路内流れで、出口圧力を下げていくと流量が増加するが、超音速に達すると流量が増加しなくなる

・音源からでた音が、亜音速では前後左右に伝わるのに対し、超音速では流れの風下側にしか伝わらない

 

もちろん、我々が取り扱っているCFDプログラムでも圧縮性流体として解けば、これらの現象を計算することができます。

今回は、“オートノマスメッシング熱流体解析プログラムCONVERGE”を使った計算結果を紹介させていただきます。

・斜め衝撃波の検証

1つ目は、先端がとがった物体(角度30°:対称性を考慮し上半分のみを解析しています)が置かれた外部流れの例です。超音速流れ中に置かれると、先端から斜め方向に衝撃波が形成され、衝撃波後方で流れが減速・転向されます。マッハ2.0、2.5、5.0と入口のマッハ数が増加すると衝撃波の角度が小さくなっていく様子がわかります。

(参照情報)

1 https://www.grc.nasa.gov/WWW/wind/valid/wedgeM2/wedgeM2.html

2 https://www.grc.nasa.gov/WWW/wind/valid/wedge/wedge.html

 

斜め衝撃波の検証結果

斜め衝撃波の検証結果

 

・弓型衝撃波の検証

2つ目の例は、円柱を超音速流れ中(マッハ4.0)に配置した場合です。先がとがっていない物体の場合、衝撃波は物体に付着することなく、離脱衝撃波を形成します。流れが物体を意識的に避けているようであり、アニメのロケットパンチの視覚効果のようでもあり、なんだか不思議です。

弓型衝撃波の検証

弓型衝撃波の検証

 

・管路内の衝撃波・膨張波の検証

管路内部流れでは、衝撃波が反射して幾何学模様を作り出します。流路が逆に曲がる箇所からは膨張波が形成され、衝撃波と干渉していきます。

 

今まで見てきた衝撃波は、その前後で物理量が大きく変わるため、精度よい計算を行うためには、その箇所を高解像度で、つまり、細かいメッシュを配置する必要があります。

CONVERGEでは、解適合格子機能であるAMR(Adaptive Mesh Refinement)により、自動的に衝撃波を捕えることができます。下図の一番上の図はメッシュ図をマッハ数で着色して表示しています。

管路内の衝撃波・膨張波の検証

管路内の衝撃波・膨張波の検証

 

ここまで見てきたような流れ場を身の回りで見ることはできませんが、工業製品の中ではしばしば超音速流れが起こっています。自動車用エンジンの中や、ウォータージェット切断など、つまりはCFDの解析対象となる場面が多くあります。

私自身、圧縮性流体の方程式に明示的にマッハ数が出てこないのに、ましてやIF文で方程式を切り替えることもしていないのに、さもマッハ数が1を超えているかどうかを自動的に判別しているように計算できてしまうことを不思議に思ったことがありました。また、あたかも連続的でない分布を連続的な方程式が生み出していることも不思議です。

流体は得体の知れない生命体のようです。共感いただけますか?

 

CONVERGEをご存じでない皆様は、是非こちらをご視聴ください。CONVERGEの概要をたった9分でご確認いただけます。

 

続き「その2」はこちら

【適用事例】世にも不思議な超音速流れへのいざない(その2)

 

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追記・更新:2021年5月12日

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