ソリューション
ソフトウェア
その他・お知らせ
本文までスキップする

LESと詳細化学反応を用いた乱流と化学反応の相互作用解析

 

皆さま、こんにちは。

IDAJの水島です。

 

今回は、オートノマスメッシング熱流体解析プログラム「CONVERGE」の開発元である、Convergent Scienceが公開しているBLOGの内容を翻訳してご紹介します。


 

Convergent Scienceで議論になることの多いテーマの1つが、SAGE詳細化学反応ソルバーを使用する場合の乱流と化学反応の相互作用(Turbulence-chemistry Interaction:TCI)の役割。

TCI(Turbulence-chemistry Interaction)とは?

TCIは、2つの別々だけれどつながっているプロセスを説明するために使用されます。反応速度評価における乱流と数値誤差によって、運動量、エネルギー、化学種の混合が促進されます。優れた乱流モデルは、乱流による混合の促進を常に考慮する必要があります。

互換誤差(Commutation Error)への対処はより難しくなります。LESシミュレーションにおける互換誤差は、空間的にフィルタリングされた物理量(近似値)とフィルタリングされていない物理量(厳密値)を使用して反応速度を評価し、それから反応速度をフィルタリングすることで生じる差です。通常、平均値またはフィルタリングされた値を使用して反応速度を評価できれば楽なのですが、残念ながら誤差が大きくなります。LESの場合、セルサイズが減少するにつれて互換誤差は減少します[1]ので、十分なグリッド分解能があれば、互換誤差は無視できます。

このブログでは、十分なグリッド分解能でLESと詳細化学反応を使用し、CONVERGEが乱流による混合促進を、互換誤差のサブグリッドモデルを明示的に割り当てることなく解析したことを示す研究について簡単にご説明します。詳細は、こちらのホワイトペーパーをご参照ください。

 

シミュレーション方法

正規の乱流部分予混合火炎であるSandia Flame Dをシミュレーションします。計算コストの高いLESシミュレーションを高速化するために、解適合格子細分割(Adaptive Mesh Refinement:AMR)とアダプティブゾーニングを利用します。AMRによって火炎のサブセクション周辺の解像度が高いことがわかります(図1)。このように、必要なときに必要な場所で優れた解像度を得ることができます。

最小グリッドサイズ0.25 mmのLESケースからのy = 0平面での速度、混合率、CO2とCOの質量分率、SGS速度の瞬間温度分布の小さなサブセクション

図1:最小グリッドサイズ0.25 mmのLESケースにおけるy = 0平面での速度、混合率、CO2とCOの質量分率、SGS速度分布の小さなサブセクション

 

まとめ

最初にグリッド収束の調査を行い、0.25 mmの最小グリッドサイズで、速度と化学種の変動のほとんどを解析できることがわかりました。

続いて、より細かいメッシュを使用するほど、互換誤差が小さくなり、速度と化学種の変動をより正確に解析できることを示しました。最も細かいメッシュを使用して、平均値とRMSを実験値に合致させるだけでなく、条件付き平均値と同時確率分布関数の形も合致させました。

最後は、非平衡燃焼プロセスを正確に予測するという課題です。消火と再着火のプロセスは、次の2つの要因に依存しています。

  1. シミュレーションされた条件の範囲の正確なメカニズム
  2. 十分なグリッド分解能を持つ優れたLESソルバー

実験からの何千ものデータ点をLESからの同等のデータ点と比較して、CONVERGEが消火と再着火の傾向を正しく予測することを確認しました。

 

結果は?

LESを使用するSAGE詳述化学反応ソルバーは、ガスタービンとICエンジンといった多数の用途で使用できることが実証されました[2,3,4,5,6]

上記のホワイトペーパーでは、速度と化学種の変動のほとんどを計算でき、互換誤差を有意に低減し、反応速度における互換誤差のモデルがなくても混合律速乱流燃焼を予測できることが示されています。

CONVERGEには、計算コストに関する限り、SAGE詳細化学反応+ LESを合理的な手法にする複数の加速方法が組み込まれています。さらに詳細な内容は、TCIホワイトペーパーもぜひご覧ください。

 

[1] Davidson, L., “Fluid mechanics, turbulent flow and turbulence modeling,” Chalmers University, 2018. www.tfd.chalmers.se/~lada/postscript_files/solids-and-fluids_turbulent-flow_turbulence-modelling.pdf

[2] Drennan, S.A., and Kumar, G., “Demonstration of an Automatic Meshing Approach for Simulation of a Liquid Fueled Gas Turbine with Detailed Chemistry,” 50th AIAA/ASME/SAE/ASEE Joint PropulsionConference, AIAA 2014-3628, Cleveland, OH, United States, July 28-30, 2014. DOI:10.2514/6.2014-3628

[3] Kumar, G., and Drennan, S., “A CFD Investigation of Multiple Burner Ignition and Flame Propagation with Detailed Chemistry and Automatic Meshing,” 52nd AIAA/SAE/ASEE Joint Propulsion Conference, Propulsion and Energy Forum, AIAA 2016-4561, Salt Lake City, UT, United States, July 25-27, 2016. DOI:10.2514/6.2016-4561

[4] Yang, S., Wang, X., Yang, V., Sun, W., and Huo, H., “Comparison of Flamelet/Progress-Variable and Finite-Rate Chemistry LES Models in a Preconditioning Scheme,” 55th AIAA Aerospace Sciences Meeting, AIAA SciTech Forum, AIAA 2017-0605, Grapevine, TX, United States, January 9-13, 2017. https://doi.org/10.2514/6.2017-0605

[5] Pei, Y., Som, S., Pomraning, E., Senecal, P.K., Skeen, S.A., Manin, J., Pickett, L.M., “Large Eddy Simulation of a Reacting Spray Flame with Multiple Realizations under Compression Ignition Engine Conditions,” Combustion and Flame, 162, 4442-4455, 2015. DOI:10.1016/j.combustflame.2015.08.010

[6] Liu, S., Kumar, G., Wang, M., and Pomraning, E., “Towards Accurate Temperature and Species Mass Fraction Predictions for Sandia Flame-D using Detailed Chemistry and Adaptive Mesh Refinement,” 2018 AIAA Aerospace Sciences Meeting, AIAA SciTech Forum, AIAA 2018-1428. DOI:10.2514/6.2018-1428.

 

 

出典:CONVERGENT SCIENCE BLOG(2018年10月30日公開)

(一部編集して翻訳)RESOLVING TURBULENCE-CHEMISTRY INTERACTIONS WITH LES AND DETAILED CHEMISTRY

主任研究員 Sarani Rangarajan

 

 


CONVERGEをご存じでない皆様、是非こちらをご視聴ください。CONVERGEの概要について9分で確認いただけます。

 

CONVEREGEの適用についてご不明な点がございましたら、お気軽に弊社までお問い合わせください。

 

■オンラインセミナー(無料)のご紹介

「CONVERGE」ご紹介セミナー ~3次元流体解析の新たな可能性を~

オートノマスメッシング熱流体解析プログラムCONVERGEは、2008年の販売を開始以来、エンジン筒内の3次元解析をメインターゲットに、世界中で広くご活用いただいています。

普段CONVERGEをご利用いただいていないモデルベース開発を統括・推進されていらっしゃる開発責任者・管理職・シニアエンジニアの皆様、これからCONVERGEのご導入をご検討される方、IDAJにコンサルティング業務の依頼を検討される方に、CONVERGEがどういう場面でお役立ていただけるかをわかりやすくご紹介しています。

セミナーの詳細・お申し込みはこちら

 

■オンラインでの技術相談、お打合せ、技術サポートなどを承っています。

本件ならびに本記事で登場する製品やサービスに関しては、下記までお気軽にお問い合わせください。ご連絡をお待ちしています。

株式会社 IDAJ 営業部

Webからのお問い合わせはこちら

E-mail:info@idaj.co.jp

TEL: 045-683-1990