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初のマルチGPUのソルバー機能によってRocky DEM 4が離散要素法の計算スピードにおいて飛躍的な向上を実現

 

皆さま、こんにちは。

IDAJの中嶋です。

 

今回は、パーティクルシミュレーター「Rocky DEM」の開発元である、ESSSが公開しているBLOGの内容を翻訳してご紹介します。

 


 

3次元離散要素法(Discrete Element Method:DEM)パーティクルシミュレーションソフトウェアRocky DEM 4は、商用DEMソルバーでは史上初のマルチGPU処理への対応を実現しています。このパワフルで革新的なRocky DEM 4は、処理性能に大変革をもたらし、かつてない速さでより大きなシミュレーションを行う道を開くものです。また、Rocky DEM 4では、全く新しくなったモーションカーネルや、Rocky DEM – Ansys Fluent連成強化など、多くの新機能が追加され、また機能向上が図られました。ユーザーは、より高精度で複雑なシミュレーションを行うことができます。

 

マルチGPU処理に対応

数千万の粒子、複雑な粒子形状、そして大量のデータを扱う、大規模でよりリアルな離散要素法(DEM)シミュレーションへの需要が高まるにつれ、エンジニアリングデザインを促進するため、現実的な計算時間でのシミュレーションを実現するには、マルチGPUテクノロジーは欠かせないものとなっています。

Rocky DEM 4は、マルチGPUテクノロジーを現実のものにした最初の商用ソフトウェアです。膨大なメモリを必要としたソルバーテクノロジーの制約によって、既存のハードウェアを用いてのシミュレーションが不可能だった、単位操作のモデル化が可能になりました。

GPUの計算能力に、GPUボードから使用可能なメモリを組み合わせるソルバーを搭載することによって、前述の制約を克服しています。これでシミュレーション実行時間が速くなるだけでなく、これまで取り組むことが不可能だった実用的なケースをRocky DEMで扱えるようになりました。

医薬品会社Bristol-Myers SquibbのPrincipal ScientistであるPreetanshu Pandey氏は、Rocky DEM 4の新機能をR&Dチームと試したのち、次のように述べています。「私たちのプロセスにRocky DEMを導入したことは大きな前進でした。Rocky DEM 4に搭載されているマルチGPU処理機能のおかげでシミュレーションをより高速に実行できるようになったため、粒子数を実験により一致させることが可能になりました。」

Rocky DEMのChief Technology OfficerであるDr. Alex Potapovは「Rocky DEM 4は、GPU処理を用いた場合に最大の性能を発揮するよう、数年にわたりアルゴリズムのR&Dを行ってきた成果で、結果的に全体的なソルバーの性能において一桁高速化しています。Rocky DEM 4を複数のGPUで実行した場合、性能は信じられないくらい向上しますが、単一のGPUやマルチコアCPUのみで実行した場合でも、かなりの向上がみられます。今回の最新リリースに伴って、これまでたかだか数十万の粒子のシミュレーションを行っていたのと同じ時間で、数百万の粒子のシミュレーションを行うことができるようになったのです。」と述べていました。

こちらの記事もあわせてご覧ください。マルチGPU搭載のRocky DEM 4:ベストなハードウェアはどれ?

 

Rocky DEMAnsys Fluentの連成強化

Rocky DEM 4では、Ansys FluentとRocky DEMの双方向連成解析機能も向上しました。主な改良点は、Fluentのメッシュ上でFluent Meshが回転または並進するMoving Meshを扱う機能です。これによって、移動するパーツや形状を含むケースで、運動量方程式とエネルギー方程式の両方を用いて解く、Ansys FluentとRocky DEM連成のシミュレーションが可能になりました。CPUまたはマルチGPUソルバーのどちらでも使用できます。

 

新しく搭載されたモーションカーネル

Rocky DEM 4に、複合動作にも対応可能なモーションカーネルが完全に組み込まれたことで、さらに幅広い問題を、単純で直感的な方法で定義できるようになりました。複雑に連動する動作のシミュレーションもRocky DEM内で実行することができるため、外部の機構シミュレーターの必要性が減ります。さらに、設定中に動作挙動をその場でプレビューする機能があり、設定ミスを最小化し、生産性を向上します。

こちらの記事もあわせてご覧ください。複雑な複合動作の離散要素法シミュレーション

 

新しいデータ保存形式

Rocky DEM 4には、HDF5形式に基づく、全く新しいデータ保存モデルを備えました。大量のデータを扱うために考案されたHDF5形式は、今後、さらに大聞くなると予想される出力を見据えています。ファイルサイズの縮小、迅速なポスト処理、反応の良いユーザーインターフェースなど、Rocky DEMユーザーに大きなメリットをもたらします。

 

粒子モデリングの改良

Rocky DEM 4では、粒子生成機能が更新され、システム領域に粒子流れを連続投入でき、質量流量率をより正確に制御できるなど、粒子のシミュレーションと計算方法が改善されました。新しいメッシュタイプの粒子が導入され、フレキシブル3次元粒子(Flexible 3D Particle)のシミュレーションを行うことができます。また新しい接触モデル(Contact Model)とその関連機能により、接触間の力の計算方法を制御しやすくなりました。また、粒子プレビュー(Particle Preview)ウィンドウが更新されています。粒子設定しやすくなっただけでなく、設定ミスを減らし、シミュレーションレポートのスナップショット画像を容易に取得できるようになりました。

 

ポスト処理機能の強化

Rocky DEM 4は、ポスト処理もこれまでになく簡単になりました。機能向上の例の1つが、粒子と粒子の接触、粒子と境界の接触タイプのすべての組み合わせで、エネルギースペクトルが完全に分析されることです。これによって、目的とする衝突と不必要な衝突両方のエネルギースペクトルを理解できるようになりました。破壊されていない粒子に加え破壊された粒子の破片もポスト処理で別個のものとみなされ、質量流量と粒子数などをより確実に計算できます。

Rocky Business Development and Technical Services部門のDr. Rahul Bharadwajより。

「Rocky DEM 4のリリースを誇りに思います。これにより、お客様は、よりいっそう現実に近い離散要素法(DEM)モデルを作成できるようになったのです。」

 

出典:(一部編集して翻訳)Rocky 4 achieves major breakthrough in DEM computational speeds with first ever Multi-GPU solver capabilities

2017年5月8日公開


 

パーティクルシミュレーター Rocky DEM

 

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