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Rocky DEMにおける粒子破砕モデル化

 

皆さま、こんにちは。

IDAJの中嶋です。

 

今回は、パーティクルシミュレーター「Rocky DEM」の開発元である、ESSSが公開しているBLOGの内容を翻訳してご紹介します。

 


 

粒子の破砕(劣化または細分化とも言う)は、大きな粒子をより小さな断片に分割することを伴うプロセスです。何に適用されるかによって、このプロセスが望ましい場合とそうでない場合があります。

バルク材を扱う装置は多数ありますが、この装置の主な目的は、大きな粒子をつぶすか破壊するかして、プラントの下流工程でさらに処理するのに十分なサイズにまで粒子を小さくすることです。

一方、搬送される材料の特定の品質を保証し、また環境や健康に与える影響を考慮してダストの生成(微粉から発生)を最小に保つには、粒子の破砕は避けるか最小にしなければなりません。

 

図1:コーンクラッシャー(左)とSAGミル(右)のRocky DEMによるシミュレーション

図1:コーンクラッシャー(左)とSAGミル(右)のRocky DEMによるシミュレーション

 

適用例:破砕を用いた搬送シュート設計の評価

微粉から発生するダストが環境に及ぼす影響を減らし、また、材料の全般的な品質を保つには、搬送シュートにおける材料の劣化を予測することが非常に重要です。これまでこういった類の問題は、離散要素法(DEM)においては、その複雑さのためほとんど注目されてきませんでした。ですが、Rocky DEMの破砕モデルを用いれば、これらの問題のシミュレーションを正確に行うことができるようになりました。

 

図2:Rocky DEMでシミュレーションを行った2つのシュート形状の比較:ストーンボックス(左)およびフードとスプーン(右)。粒子は速度で色分けされている。グラフは相対的破砕率を示す

図2:Rocky DEMでシミュレーションを行った2つのシュート形状の比較:ストーンボックス(左)およびフードとスプーン(右)。粒子は速度で色分けされている。グラフは相対的破砕率を示す

 

Rocky DEMの破砕モデルを用いて、異なる2つの搬送シュートを通過する石炭の流れのシミュレーションを行いました(図2)。シュート形状を除き、すべてのシミュレーションパラメータは同じです

シミュレーションは100万以上の粒子から成り、うち半分は非球形状で破砕性、後の半分は球形状で非破砕性です。石炭の破砕特性は、インパクトプレート上への様々な高さからの落下重量試験によって求められました。

粒子速度がより高速であるにもかかわらず、破砕率プロットが示すように、フードとスプーンの構成は、ストーンボックスシュートに比べて破砕がかなり少なくなっています。

適用例:高圧研削ロール(HPGR)のシミュレーションを行って破砕精度を検証

次は、Rocky DEMの破砕モデルの精度の妥当性が確認されたもう1つの適用例です。高圧研削ロール(High-Pressure Grinding Roll:HPGR)は、鉱業と鉱物産業でよく用いられる装置です。

この適用では、比力に対する粒子の剛性のキャリブレーションを行います。このシミュレーションを行うため、ロールの隙間を固定し、下図の結果が示すように、力の予測値と測定値が良好に一致するまで、粒子の剛性を変化させます。

 

図3:Rocky DEMによるHPGRのシミュレーション(左上)。各結果に示されているのは、破砕後の粒度分布(PSD)(右上)、 比力(左下)、比出力(右下)

図3:Rocky DEMによるHPGRのシミュレーション(左上)。各結果に示されているのは、破砕後の粒度分布(PSD)(右上)、 比力(左下)、比出力(右下)

 

比力のプロット(図3左下)からわかるように、粒子剛性の値200 MPaは、実験で測定した値と非常に良好に相関しています。同様に、この値の粒子剛性の比出力(図3右下)もまた、実験結果と良好に一致しています。

この結果では、圧密力がずっと小さい他の搬送シュートやコンベアなどとは異なり、力と消費電力について正確な定量的結果を得るためには、正確な剛性値が重要であることがわかりました。これは、Rocky DEMにおけるデフォルト値100 MPaが、破砕や高接触力を伴わないシミュレーションの場合、通常、保守的な値であるということです。

破砕後に取得された粒度分布は、破砕モデルの精度の高さをさらに裏付けるものです。計算時間の関係で、粒度分布は4つの離散グループに制限しましたが、それでもなお実験で測定された値と良好に一致しています。

最後に、破砕のモデル化により予測精度は上がりますが、これらのシミュレーションの処理には、かなり高い計算能力が必要となる場合があることにご注意ください。ただし、この問題は、GPU処理を活用して、解析時間やTime-to-Solution(計算結果が得られるまでの実時間)を削減することで対処することができます。

 

出典:(一部編集して翻訳)Applications for modelling particle breakage in Rocky DEM

2017年4月5日公開


 

パーティクルシミュレーター Rocky DEM

 

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