真のCFDパートナーを目指して
皆さま、こんにちは。
IDAJの水島です。
今回は、オートノマスメッシング熱流体解析プログラム「CONVERGE」の開発元である、Convergent Scienceが公開しているBLOGの内容を翻訳してご紹介します。
本記事では、「Convergent Science」が担う役割についてご説明していますが、これを「IDAJ」と置き換えていただいて問題ありません。もちろんIDAJからも同様のサービスをご提供させていただきます。
ソフトウェアを購入すると、そのソフトウェアをすぐに使用できるように、ベンダーからはマニュアルやオンラインチュートリアル、YouTubeビデオなど、様々なトレーニング用のリソースが提供されます。
しかし、お客様自身の特定の問題に対して最も望ましいサポートを受けるために、ソフトウェアのベンダーと直接やり取りする頻度はどれくらいあるでしょうか?
はたしてソフトウェアベンダーは、製品についてだけでなく、解決しようとしている特定の問題に関する詳細な知識を持ちあわせていると一般的に言えるでしょうか?
ソフトウェアを使用して問題を解決するのに役立つような、業界特有の詳細な知識を、ベンダーはどのくらいの頻度で提供してくれるでしょうか??
Convergent Scienceは、革新的なCFDソフトウェアである「CONVERGE」の単なるサプライヤーではありません。お客様とのコミュニケーションを通して、お客様のエンジニアリング問題に対して、最も効果的にCONVERGEを適用していただけるようにサポートしています。ソフトウェアや計算流体力学全般に関する深い知識と、お客様の問題に対する理解を組み合わせることで、難しい問題を解決することを目指します。
また、お客様との長期的な技術協力は、Convergent Scienceの中核となる製品・サービスから欠くことができない要素です。この技術協力によって、お客様に対してより良いサービスをご提供するのはもちろんですが、私たちもCONVERGEのモデル機能改善に関するご要望を収集することができる絶好の機会だととらえています。
Convergent Scienceのエンジニアのほぼ半数が、お客様をサポートするアプリケーションチームで働いています。チャレンジングなテーマや取り組みをご検討されている場合は、燃焼モデルや数値計算法、実用的なエンジン開発、その他の様々な関連トピックに関して、私たち専門家がプロジェクト遂行まで伴走させていただきます。
例えば、シミュレーションで使用するのに最適な物理モデルを選択しなければならないとしましょう。
物理現象に応じて適切な数値を選択する、または、選択した数値に基づいて物理現象を生成するのはCFDにおいては当たり前のことです。
これは間違ってはいませんが、いつもそれが最良であるとは限りません。
シミュレーション設定では、約10個ある乱流モデルから1つ、20個以上あるフラックスリミッターから1つ、想像しているよりも多くの反応メカニズムから1つを選択する必要があるかもしれません。そしておそらく、設計空間(design space)は非常に大きなものになるでしょう。
CONVERGEにもサンプルが含まれていますので、それを参考にしていただくことはできますが、特定のケースの微妙な問題には対応していないことがあります。かといって、ユーザー様自身が設定パラメータの組み合わせを全て調査するのは実用的ではありません。
ここで、Convergent Scienceの出番です。
アプリケーションエンジニアは、パラメータースペース(母数空間)に関する詳細な知識がありますので、お客様がシミュレーションの設定ができるよう、また最適な設定とモデルが選択できるようサポートします。
一例を示しましょう。
ヨーロッパのある大手自動車メーカーでは、CFDソフトウェアをあるツールからCONVERGEに変更されました。そして、これまで使用してきた物理モデルを、ディーゼルエンジンでのNOx形成をシミュレーションに適用したのですが、・・・簡潔に申し上げると、実験測定との一致はひどいものでした。そこでConvergent Scienceのアプリケーションエンジニアは、お客様が知ってはいるものの試したことのなかった物理モデルを使用して、いくつかのケース設定の改善点を見つけました。
このケースでは、設定の改善をご提案しただけではなく、お客様との共同研究に取り組むことにもなりました。Convergent Scienceのエンジニアは、工学知識をお客様の問題に適用し、私たちのローカルシステムでお客様のケースを実行しながら、NOx形成予測を改善できるようなハイブリッド次数低減化学反応メカニズムを開発しました。これは、大規模で高価なメカニズムセットは必要ありません。設定を数回繰り返した後、エミッションをシミュレーションすると、結果は実験の測定許容範囲内になりました。この技術協力の結果、お客様は将来の研究に適用可能な設定を手にすることができ、私たちは、実験データで検証し、改善した化学メカニズムを手にすることができました。
また、Convergent Scienceのエンジニアは、ソフトウェアの数値的な基礎とエンジン設計に関する豊富な経験と知識があるため、シミュレーション結果の解釈と理解についてもサポートすることができます。

シリンダーからのフォン=カルマン渦流出のCONVERGEによるシミュレーション
シリンダーから流出されるフォン=カルマン渦を例に考えてみましょう。
シミュレーション実行にあたって、分割差やマシンの切り捨て誤差などの小さな変動に応じて、2つの流出ケースの間には位相差が生じます。
一体、どちらが正しい結果でしょうか?
もちろん、どちらもナビエ・ストークス方程式の有効な解であり、どちらも正しい結果です。複雑なエンジンシミュレーションは同様の動作(サイクルごとの変動)を示す可能性があるため、知識と経験が豊富なアプリケーションエンジニアが、その出力内容の理解をサポートします。場合によっては、設定エラーの結果のように見えるものが物理的には正しく、操作上重要なことがありますからです。
アプリケーションチームの仕事は、優れたカスタマーサポートをご提供するだけでは不足しており、真のパートナーシップの一部分にすぎないのだと考えています。ソフトウェアを改善し、困難な問題に対する理解力を高める最良の方法は、ソフトウェアを使用して一つ一つの問題を解決していくことです。
実験データとシミュレーション結果のトレースを見るたびに、それは別の検証ケースとなり得ます。例にあげたハイブリッド化した低減化学反応メカニズムは、お客様に推奨するメカニズムの一つになりました。Convergent Scienceの開発者とアプリケーションエンジニアたちは、お客様が示してくださる難しい課題を一緒に解決していくことで、とても大きな恩恵を受けています。
Convergent Scienceは、自らを単なるCFDベンダーではなく、お客様にとって真のCFDパートナーたり得ることを目指しています。
出典:CONVERGENT SCIENCE BLOG(2017年10月25日公開)
CONVERGENT SCIENCE: NOT JUST YOUR CFD VENDOR, YOUR CFD PARTNER

主任研究員 Erik Tylczak
CONVERGEをご存じでない皆様、是非こちらをご視聴ください。CONVERGEの概要について9分で確認いただけます。
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オートノマスメッシング熱流体解析プログラムCONVERGEは、2008年の販売を開始以来、エンジン筒内の3次元解析をメインターゲットに、世界中で広くご活用いただいています。
普段CONVERGEをご利用いただいていないモデルベース開発を統括・推進されていらっしゃる開発責任者・管理職・シニアエンジニアの皆様、これからCONVERGEのご導入をご検討される方、IDAJにコンサルティング業務の依頼を検討される方に、CONVERGEがどういう場面でお役立ていただけるかをわかりやすくご紹介しています。
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