空力騒音計算におけるポリヘドラルメッシュの優位性
皆さま、こんにちは。
IDAJの流体解析エンジニアのPolyです。
IDAJでは、自動メッシャーを搭載したiconCFD用のプリポストプロセッサーennovaCFDを開発しています。「形状データの加工・修正→メッシュ生成→解析条件設定→結果処理」の一連の解析作業をGUI上で行うことができ、商用CFDツールと同様の操作感でiconCFDを使用することができます。半年ごとに新バージョンをリリースしており、メッシャー関連機能の改良・拡充、GUIの機能拡充を進めています。
また昨年からは、OpenFOAM用のGUI (ennovaCFD for OpenFOAM) のご提供を開始し、OpenFOAMの課題の一つである使い勝手とメッシュ品質を改善するツールとしてご好評いただいています。
メッシャーとしての「ennovaCFD」の代表的な特徴には、
- ポリヘドラルメッシュを生成できる
- レイヤーメッシュが入りやすい
- 形状再現性が良い
などがあります。
今回は、特徴の中の一つ「ポリヘドラルメッシュの生成」に関連して、流体計算でポリヘドラルメッシュを使用することのメリットを、空力騒音計算を例に計算精度の高さについてご紹介します。
非定常な流れの中で渦が変形すると圧力変動が発生し、それが音源となって空間中を伝播します。このような空気の流れ自体に音の原因がある騒音を、空力騒音と呼びます。
身の回りには、自動車ボディまわりの風切り音やファン騒音など数多くの例があります。
圧縮性の流体計算を行うことで、音源の生成とそこから発生する音波の空間伝播を解くことができます。これを空力騒音の直接解法と呼びます。
直接解法により高精度の計算を行うためには、音波の空間伝播を高精度に計算する必要があります。
厳密解がわかっている圧力パルス伝播問題を題材にして、メッシュタイプの違いによる直接解法の計算精度を比較しました。この問題では、初期時刻に計算領域の中心に位置する圧力パルスが、時間の経過とともに同心円状に距離減衰しながら伝播します。
今回比較するのは、次の2つのメッシュタイプす。
- ポリヘドラルメッシュ:ennovaCFDを使用
- オクトツリーベースの大部分ヘキサメッシュ:OpenFOAM標準メッシャーsnappyHexMeshを使用
2種類のメッシュを使用した音波の空間伝播のアニメーションがこちらです。左がennovaCFDのメッシュ、右がsnappyHexMeshのメッシュを使用した結果です。
どちらのメッシュでも音波の反射が発生していますが、ennovaCFDのポリヘドラルメッシュは、snappyHexMeshのオクトツリーメッシュと比較して反射が大幅に減少しています。実際、中心から45m離れた地点での音圧の経時変化を厳密解と比較してみると、ennovaCFDのポリヘドラルメッシュを使用した計算の方が厳密解に近い結果が得られています。
オクトツリーメッシュでは、隣り合うセルのサイズが2倍に変化する場所が存在します。それらのセルでは、解像できる音波の最大波数が半分に減少するため、解像できなくなった成分が反射して目に見える誤差が発生します。これに対して、ポリヘドラルメッシュではセルサイズの空間変化がなめらかなので、オクトツリーメッシュと比較して音波の反射を小さく抑えることができます。
今回は、直接解法による空力騒音の計算精度に与えるメッシュタイプの影響をご紹介しました。iconCFDやOpenFOAMを使用して空力騒音計算を行われる際は、ぜひennovaCFDのポリヘドラルメッシュをご検討ください。
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