実験だけでは把握できない、流体騒音をシミュレーション!(その1)
皆さま、こんにちは。
IDAJの石川です。
身の回りを見渡すと、様々な機械製品から出る音、(昔に比べると)随分と静かになっていますね。各メーカーが騒音や振動に対する対策を行ったことで、低価格であっても静粛性を保った製品を使うことができるのはありがたい限りです。それでも「もっと静かに、快適に」という消費者ニーズが存在するのも、また事実です。
騒音にもいくつか種類がありますが、ここでは流体騒音について取り上げてみたいと思います。
流体騒音とは?
空気や水などの流体の運動によって、流体中に発生した圧力の変動が伝播して、私たちの耳まで到達することで感じる音のことを、流体騒音あるいは流体音と呼んでいます。したがって、流体騒音は振動する物体が存在しなくても発生してしまいます。
フルートやパイプオルガンなどの楽器は、エッジトーンと呼ばれる流体音を音源として美しい音を奏でます。
しかし、バルコニーの手すりから発生する風切り音(エオルス音)、自動車のドアミラーや電子機器の冷却ファンから発生する流体騒音など、身近にある様々な工業製品からは、私たちにとって不快な騒音が発生しています。その中でも特に、媒質が空気の場合の流体騒音は、空力騒音と呼ばれます。

流体運動に起因して発生する音が流体騒音
流体騒音を実験で測定するには、壁での音の反射を極限まで抑えた無響室・低騒音風洞という特別な施設で行わなければなりません。しかし残念ながら、着目している流体騒音が起因する流体現象を実験だけで把握することは難しいため、流体騒音を予測するためのシミュレーション技術の確立に大きな期待が集まっています。
流体騒音の数値解析手法
流体騒音の数値解析手法は、大きく分けて2つあります。
(1)分離法: 音響アナロジーを使用し、音源と伝播を分けて解く手法
(2)直接法: 非定常圧縮性Navier-Stokes方程式を解き、音源と伝播を同時に解く手法

分離法と直接法
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