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実験だけでは把握できない、流体騒音をシミュレーション!(その2)

皆さま、こんにちは。

IDAJの石川です。

前回に引き続き、流体騒音シミュレーションについてご紹介します。

 

分離法

分離法では、流れ場と音場を文字通り分けて解きます。

まず、非定常非圧縮Navier-Stokes方程式を解いて音源項を評価し、それをソースとして結果処理的に音場の計算を行います。つまり、流れ場から音場への一方向的な影響のみを考慮し、音場から流れ場へのフィードバック現象は考慮していません。

そのため、流れ場と音場とが連成して発生するピーク音のような現象は取り扱うことができません。分離法として最も利用されているのがLighthill-Curleの音響アナロジーで、エオルス音についてはこのモデルを使用して物体表面の圧力変動から遠方の音圧レベルを精度よく予測することが可能です。

このLighthill-Curleの音響アナロジーと、これを移動物体問題へも適用できるように拡張したFfowcs-Williams and Hawkings(FW-H)の音響アナロジーは、iconCFDのAcousticモジュールでご利用いただくことができます。

圧力変動のモデル式を導く際に、音源領域の大きさが音波の波長に対して十分に小さいという音響的なコンパクト性などの条件を仮定しているため、分離法を使用する際には、解析対象がモデルの前提条件を満たしているのかチェックが必要です。

 

直接法

直接法では、非定常圧縮性Navier-Stokes方程式を精度よく解くことで、騒音源である流体現象とそれに伴い発生する圧力変動を同時に解きます。

音に伴う圧力変動は、流れの動圧と比べて桁違いに小さいので、音波の伝播を直接法で捉えるためには高い計算精度が必要です。また、音波が伝播する過程で数値粘性によって減衰することがないように、伝播領域においても適切なサイズのセルを配置する必要があり、一般的に分離法に比べてメッシュ数は増加し、計算コストは大きくなります。このような数値計算上の課題はありますが、音源のコンパクト性といった適用するための特別な前提条件がないため、分離法に比べてより汎用的な手法であると言えます。

 

最近の技術トレンドは?

自動車関連では、音源コンパクトの条件が成立しない場合や流れと音の連成解析に対するニーズが高く、直接法の適用事例が多くなっています。

また、ハードウエアの性能が向上し、コア当たりの単価が下がったため、高並列計算環境を利用しやすくなり、直接法による計算コストも現実的なレベルになってきました。このため、「直接法」が今後の技術トレンドと言えるのではないでしょうか。

 

流体騒音を直接法でシミュレーションするためにCFDソフトウェアに求められるポイントを3つほど、ご紹介します。

 

1 高並列・長時間のCPU稼働で低価格であること

2 並列性能が高いこと

3 高い解析精度を有すること

 

弊社では、流体騒音シミュレーションには、オープンソースベース汎用CFDソフトウェア「iconCFD」をご提案していますので、このiconCFDを用いたシミュレーション事例については、次回改めてご紹介します。

 

流体騒音解析に関してご不明な点やご要望などありましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。

 

■お問い合わせ先

株式会社 IDAJ 営業部
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TEL: 045-683-1990