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タワーマンションの構造設計に最適化を活用

皆さま、こんにちは。

IDAJの営業部:担当Sです。

 

実は「タワーマンション」と呼ばれる建物に対しては、建築基準法や消防法によって、当該建物の高さによって異なる基準が設けられていますが、明確な定義は存在しません。

一般的には、高さ60m以上の超高層建築物とする考えが広まっており、それに該当する住居用建築物が「タワーマンション」と呼ばれることが多いようです。60mという高さは、階数にするとおよそ20階に相当しますので、「60m以上、階数20階以上の住居用建築物」がタワーマンションであると考えられます。

 

2020年以降に完成を予定している超高層マンション(2020年3月末現在)は258棟、10万3,100戸に達し、2019年3月末時点に比べて27棟、8,009戸増加しています。

(出典:株式会社不動産研究所「不動産経済 マンションデータ・ニュース」2020年4月27日発行

 

タワーマンションの人気の要因は、眺望が良く、共用設備などが充実、駅直結・複合施設型による利便性の高さ、セキュリティへの信頼感などがあげられそうです。

しかし、私なんかがタワーマンションに対して、最初に不安になるのが耐震性。地震が多い日本では、タワーマンションの構造設計において地震対策が非常に重要です。

 

高さ60m以上の建築物に対しては、建築基準法20条1項一号で、建物の構造耐力についてより厳しい基準が課せられています。

また、地震に対する人命保護に加えて、建物の機能維持や早期回復性の重要性が認識されるようになり、建築構造の高性能化、高機能化がより求められます。

地震対策には、制振構造と免震構造を採用するのが一般的です。”制振”は、”制震”とも呼び、地震の揺れを抑える目的で作られた工法のことです。免震とは違い、地面に家の土台がくっついているため、地震の揺れが直接建物に伝わりますが、建物内部に重りやダンパーなどの制震材を組み込んでいるため、地震の揺れを熱エネルギーに転換し、吸収することができます。

2019年度の弊社カンファレンス「IDAJ CAE Solution Conference」では、株式会社日本設計様に「建築構造設計におけるmodeFRONTIERの活用について」と題してご講演いただきました。

 

近年の超高層建物の複合用途化・複雑化により限られた期間での制振構造や免震構造の地震対策ディバイス選定・配置検討は、設計者の経験に基づく案での検証が中心で、検討に時間がかかりますし、また、限られたケースでしか検証することもできず、「効率的かつ広域の探索」が行える設計支援手法の確立に向けて、コンピュテーショナルデザインを用いた最適化に積極的に取り組まれています。

“詳細設計段階における地震対策ディバイスの有効配置のケーススタディ”においては、ダンパー装置の建物内での配置を決めるのに、超高層建物の各層に置くダンパーの種類(鋼材またはオイル)と設置台数を最適化されています。

modeFRONTIERを用いた最適化の結果、検討期間が従前に比べておよそ三分の一(1週間~1か月)、検討ケース数は従前の数10ケースから数千~1万ケース以上と、これまでの手法では不可能な短期間での検討が可能になりました。さらに、この結果を多角的に検証することによって、より合理的な地震対策ディバイスの選定の実現が期待できます。

また、最適化結果の分析で注目したいのは「コストが同じでも、選択肢には幅がある」ということです。制振であっても免震であっても、コストをどれだけかければ、性能をどの程度引き上げられるかという費⽤対効果もシミュレーションで知ることができます。費⽤の上限が決まっているのであれば、その範囲内でより性能が⾼いものを選択すべきです。

多数の結果を可視化しわかりやすく分析・説明することで、よりフレキシブルな性能設計が可能になり、今後の建築構造の高性能化、高機能化に対応できるものと思います。

 

より高度な工学的判断が必要とされる建築構造分野においても、大規模建築物の構造設計に最適化手法を適用できる状況が到来しつつあるようですね。

本事例の詳細や、modeFRONTIERを用いた設計プロセス・業務改善、最適化などにご興味がございましたら、どうぞお気軽に弊社までお問い合わせください。お待ちしております!

 

 

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