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モデルベース開発における業務プロセスの見える化

皆さま、こんにちは。
IDAJの清水です。

製品開発の現場で、ますます設計DXが進んでいることは、当ブログ読者の皆様が日々実感されていることではないかと思います。ここで今一度、「DX」に関する定義を、総務省の情報通信白書令和3年版から引用します。

Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)

企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

出典:総務省 情報通信白書令和3年版 特集テーマ「デジタルで支える暮らしと経済」

すなわちDXとは、単なるIT化を指すのではなく“変革を図ることで価値を創出”することが重要であると述べています。

では、設計DX推進に必要なものは何でしょうか?

それは、コンテンツ(データ)とプロセスのデジタル化です。要求分析から仕様決定、検証までをモデルベースで実施するにあたって(MBD(※)の実現)、モデル情報や性能評価プロセスにおけるデジタル化が求められています。

(※)MBD:Model Based Development、モデルベース開発(こちらもあわせてご覧ください。)

    

(参考:Microsoft Tech Summit 2018 基調講演)

設計プロセスのデジタル化が進む一方で、分担されたタスク管理や遂行といった業務プロセスのデジタル化はあまり進んでいないように感じています。お客様との会話の中で「関係者とのコミュニケーションに多大な工数が生じている」といったコメントをお聞きすることもあり、タスクをこなすフェーズでお困りの方が多いようです。

そこでIDAJでは、分担されたタスクを管理・遂行するための手法として、SPDM×BPMN(※)を用いた、解析業務プロセスの効率化をご提案しています。業務に関係するメンバーをシステマチックに管理し、業務プロセスを見える化することで、設計DXを目指します。

(※)SPDM:Simulation Process & Data Management(こちらもあわせてご覧ください。)

          BPMN:Business Process Model & Notation、ビジネスプロセスモデリング表記法

設計DXに必要なデジタル化は、以下の3つの領域だと考えています。

①設計のデジタル化:MBD/MBSEによる設計アプローチ

②業務プロセスのデジタル化:BPMN

いつまでに、誰が何をするかをデジタルで管理することで属人化やコミュニケーション問題を解決します。

③データマネジメントのデジタル化:SPDM

データそのものはもちろん、その管理や運用のデジタル化が求められます。

MBD/MBSEによる設計開発(設計のデジタル化)

システムズエンジニアリングでは、以下左に示した2元V字モデルのように、上位レイヤーから下位レイヤーに向けてアーキテクチャを分解し検討を進めます。また、各レイヤーでエンティティVをまわします。エンティティVではレイヤーごとの視点で、SysMLなどのダイアグラムを用いて要求、機能、要素、特性を表現します。その後、検証を経て最適な仕様を設計していきます。検証では、1D・3Dモデルを用いたCAE解析が用いられます。

出典:独立行政法人情報処理推進機構「モデルベースシステムズエンジニアリング導入の手引き」(2013年8月)より図版を引用し一部、IDAJが加筆しました。

 

エンティティVについてもう少しご説明します。

要求では、利害関係者や上位階層からのニーズを要求に落とし込みます。次に、その要求を満足するために求められる機能を抽出します。その後、機能を実現するための要素を検討することで物理モデルを構築します。物理モデルができるとここからは、1D・3DによるCAE解析を使って性能評価を繰り返します。最適化などの技術を適用し最終的な最適設計仕様を導きます。

 

このMBSEアプローチによるメリットは、様々ありますがここではポイントを2つに絞ってご説明します。

1.設計思考の見える化

統一されたダイアグラムを用いて、設計思考を表現することで、なぜ、その設計にしたのかを誰にでもわかりやすく示すことができるようになります。

・お客様などのステークホルダーや他部門とのコミュニケーションがとりやすい

・ベテラン設計者の暗黙知の見える化、技術の継承に使える

・複雑な解析モデルの説明書として使える

2.設計トレーサビリティの明示化

要求、機能、物理、仕様のトレーサビリティを明らかにしておくことで、上位要求が変更された際の設計への影響をすぐに把握できるようになります。FMEAやFTAの根拠としても使用できます。

・どの設計を変更する必要があるかを瞬時に見極めることができる

・上位要求から設計仕様を導くことで、広い視野で様々な対応策に気づくことができる

 

xEV開発を例にMBD/MBSEによる設計開発をイメージした図を示します。車両全体レイヤーから基板などのコンポーネントレイヤーにいたる各レイヤーでエンティティVを回します。

 

ここまでは、トップダウンによるアプローチを想定してご説明してきましたが、ボトムアップによるアプローチや個別の目的のために断片的にMBSEを活用するといった使い方もあります。

生産性向上に向けた課題(業務プロセスのデジタル化・データマネジメントのデジタル化)

日本国内の企業では設計や営業、企画などの業務の生産性の低さが指摘されており、設計DXではこれらの生産性向上も求められています。MBD/MBSEによる設計アプローチを活用することで効果的な設計を進めることができるようになりますが、生産性の観点からは、これだけでは十分だとは言えません。

生産性向上のためには業務のこなしかた、すなわち業務プロセスのデジタル化が必要です。生産性の低さについては、いくつかの原因が指摘されています。

・標準化(自動化)できない 人間の判断などを必要とする業務が多い

・特定の人に業務が集中することによる業務の属人化によって、チームで効率的に業務をこなせない

・コミュニケーションロスによる無駄な時間が多い

性能を評価するシミュレーション業務に注目すると、また別の課題が見えてきます。

・解析で使用するデータが個人所有になっており、適切かつ必要なデータを集めるのに時間がかかる

・解析環境の整備に時間と費用がかかる

・コミュニケーションロスによる無駄が多い

生産性を向上させるべくこれらの課題を改善するためには、どのような解決策が考えられるでしょうか?

そのソリューションの一つが、業務プロセスとデータマネジメントのデジタル化にあります。業務プロセスの改善ために必要な機能を整理してみます。

1.データ管理機能

・データを蓄積することができ、また蓄積したデータ(ナレッジ)を利活用できること

・データのトレーサビリティがとれること

・データとプロセスが紐づいていること

2.プロセス管理機能

・全体プロセスと現在の進捗が確認できること

・プロセスフロー上から基本的なタスク実行ができること

3.管理しやすいこと

・ノーコードで扱いやすいこと

・管理状況が見やすいこと

 

ここからは、先述の3つの機能を備えたツールとして、最適化エンタープライズソリューション「VOLTA」をご紹介します。

VOLTAは、SPDMとBPMNによる業務効率化を目指した統合プラットフォームです。Webベースでどこからでもアクセスでき、簡単にデータやプロセスを管理することができます。

 

BPMN(Business Process Model & Notation、ビジネスプロセスモデリング表記法)は、ビジネスプロセスをワークフローとして描画(可視化)するための表記法で、統一された言語を用いて描画されるため、プロセス管理や情報の共有を容易にします。

 

SPDM(Simulation Process & Data Management)は、シミュレーションにフォーカスしたデータとプロセスの管理手法です。CAE解析に関するデータ管理、実行、ポスト処理を共通のプラットフォームで実行します。

 

VOLTAは、ただいまご説明したSPDMとBPMNの機能を有し、CAE解析に関するプロセス管理とタスク実行、人間系の業務プロセス管理を同時に扱うことができます。最大の特徴はBPMNのフロー上から多目的ロバスト設計最適化支援ツールmodeFRONTIERの最適化計算を実行することができる点です。

 

下図は、とあるCAE解析業務における業務プロセスフローです。このフローをご覧いただければご理解いただけるかと思いますが、BPMN機能で業務プロセスを見える化し、進捗状況を簡単に確認することができます。また、実際にCAE解析を担当するエンジニアは、一元管理されているデータベースからデータを取得し、フロー上からmodeFRONTIERの最適化計算が実行できるようになっています。

 

もう少し詳細にご説明します。例示したこのプロセスの登場人物は、意思決定者、条件設定者、解析担当者の3名。はじめに条件設定者がCAE解析条件を設定し、意思決定者にOK/NGの判断を仰ぎ、NGの場合は差し戻されます。その後、解析担当者にタスクが移り、最適化計算を実行します。解析が終了すると意思決定者は解析結果を確認・分析し、最終的な設計仕様を決定します。

まとめ

VOLTAを用いることで、業務プロセスの見える化とデータを簡単に管理できるようになります。

今までのメールなどによる依頼、確認、またその対応によるロスが削減でき、いつまでに、誰が、何をしなければならないのか、今はどこまで進んでいるのか・・・これらを簡単に把握することができます。

本記事では、VOLTAをプラットフォームとした設計DXについてご説明しました。アイディアベースのディスカッションも承りますので、どうぞお気軽にお問合せ・ご相談ください。

 

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