“つなぐ技術”によって製品開発プロセスの変革と新たな価値の創出を支援
皆さま、こんにちは。
IDAJの石原です。
大規模かつ複雑なシステムにおいては、設計開発のプロセスが複数の部門にまたがるため、担当者間あるいは部門間でモデルやモデルを用いて得られた結果を共有することが不可欠です。しかしながら現実には、シミュレーションのタスクやデータの管理が属人化しており、モデルの円滑な共有の妨げになったり、過去の解析結果が散在しナレッジとして活用できないなどの弊害が顕在化しています。
これらの問題を解決し、モデルベース開発の効果を最大限に享受するために必要なのが、使用目的に応じたシミュレーションモデルの粒度、I/Oのルール、作成プロセスの明確化と、完成したモデルや解析結果をデータベースとして管理することです。このような枠組みあるいは活動を指してSPDM(Simulation Process and Data Management)と呼び、最近ではPLM(Product Life-cycle Management)ソフトウェアを活用したSPDMの取り組みが少しずつ広まっています。
IDAJでは、製品開発プロセス・MBDプロセスを整流化して情報をつなげる“SPDMソリューション”によって、製品開発プロセスの変革を促し、新たな価値を創出するためのご支援をご提供しています。
MBDを実践する目的
製品開発プロセスの変革を進める手法として、MBD(モデルベース開発:Model Baseed Development)がよく知られていますが、その内容と取組みには各社さまざまな定義や解釈があるのではないかと思います。
MBDを実践することは、経済産業省が「DXレポート2」で提示しているDXフレームワークのうち第2階層のデジタライゼーションに相当し、個別の業務・プロセスをデジタル化することによって業務改善を実践することだと捉えることができます。
また、業務プロセスの成熟度レベルや管理指標は次のように定義されています。
- 業務プロセスの遂行が適切に管理できる
- 適切なものが標準プロセスとして定義される
- その遂行が定量的な指標で管理できる
- 課題とその改善による効果を判断し改善を実行し最適化される
これらの考え方をまとめると、正しく遂行できる業務プロセスを標準化したうえでデジタル化し、適切なタイミングで業務を定量的に把握、目標に向けて定めたKPIに照らし合わせて適切に管理することで、開発リードタイムの短縮、工数削減と効率化、品質の向上といった成果を刈り取り、より大きな目標であるカーボンニュートラルの実現に至るというロードマップを描くことができます。
MBDを実現するための取り組み
MBDの実現に向けて、正しく遂行できる業務プロセスを標準化した上でデジタル化するために、2つの観点から取り組みを区別することができます。
1.マネジメント
開発業務の中で、達成感は高いがその作業自体は製品開発へのアウトプットを生まないことに熱中してしまう、業務改善のためにノウハウを社内で共有したいが重要なノウハウの要素と単純な作業内容やオペレーション要素が混在しており期待した成果が上がっていない、製品開発プロジェクトごとに人員配置やスキルセットがバラつくため、プロジェクトによっては期中の計画遅延や修正、作業効率の低下するなどといったことはないでしょうか?
日程や工数の管理を統合し遅延を抑止する、スキルのバラツキを考慮した工数配分と計画を立案する、プロジェクト完了時に課題をまとめ、新たな開発プロジェクトへの課題や必要な投資と効果を早期に明確化するといったことは、マネジメントの観点から必要な取り組みだと考えます。
2.業務プロセスやデータ管理プロセス
製品開発の上流から下流までのプロセスを俯瞰した上で明示し、さらに標準化・デジタル化されたものはまだまだ少ないのではないかと思います。
そのため、MBDを実現する基礎として「製品開発の上流から下流までのプロセスの明示・標準化・デジタル化」は優先して取り組む価値があり、それが実現された暁には、個人管理された情報が活用されない状態や、過去参照が思うようにできないといった不都合が解消され、「つながったらいいな」と日々感じられている開発業務の現場において改革を実感できる、大変有意義な取り組みだと考えます。
MBD実現のために必要なSPDM
MBDを実現するために「情報をつなぐ」には、次のような取り組みが必要だと考えています。
(1)つながりたい・つなげたい業務プロセスが定義される
(2)各プロセスで情報を活用するためのソフトウェアが定義される
(3)使用するソフトウェアを横断する情報のインプットとアウトプットが定義される
(4)定義された業務、ソフトウェア、情報のインプット・アウトプットを棚卸しし、それらの統一と統合が検討される
(5)(1)~(4)を 関係者が確実に実行するためのルールや体制が定義される
(6)(5)のルールを順守し適切なリソースで支援する、または維持管理するためのシステムを導入する
これら取り組みの実現には、業務プロセスの定義とその遂行を管理し、MBDプロセスで取り扱う情報の管理や情報を生成・活用するツール群、特にシミュレーションとの連携が可能となるSPDMソリューションが必要です。
IDAJがご提案するSPDMソリューション
MBDを実現するためのSPDMソリューションは、情報をつなげることによって製品開発の変革を支援するものだと定義しています。具体的には“情報がつながらない”ことが原因となる課題を解決するものです。
- 前回のプロジェクトでどのように課題を解決したのか詳細がわからない
- 喫緊の課題に対する解決策がタイムリーに出てこない
- 前任者のデータやモデル、様々な情報の在り処がわからない

情報がつながらないことが原因となる課題
製品開発プロセスにおいて、シミュレーションを実施しても、その情報が個人管理にとどまると、組織として活用することができず、結果、企業として十分な成果を得ることができません。

製品開発プロセスにおけるシミュレーションの位置付けと課題
個人で管理していた情報を社内に展開して活用を促進することで、課題への対応や評価をスピードアップし、試作数削減・リードタイム短縮といったフロントローディングを目指します。

製品開発プロセスにおけるSPDMの活用シーンと効果
SPDMのプラットフォームには、各プロセスで利用する情報を網羅し、関係を構築するためのデータモデルを実現できることが求められます。

MBDをサポートするSPDMプラットフォーム(データモデル)
SPDM実現のためのAras Innovatorの必要性とメリット
SPDMの実現には、つながる価値を提供するプラットフォームが不可欠です。そのプラットフォームに求められる条件を考慮したうえでIDAJがご提案するのが「Aras Innovator」です。

「つながらない」を解決するAras Innovator
1.つながりを構築しやすい
設計開発における、代表的な情報管理や構成管理のための機能が備わっています。
- 品番管理(単品)→ 構成管理/BOM → 品番(アセンブリ) → 3D形状、CADモデルファイル
- 構成管理 → 設計変更管理 → 承認フロー → 版管理
ユーザー企業の業務要件に応じた、管理項目の定義や構成、関連情報とのリレーション、承認ワークフローと版管理などの機能を、柔軟に定義して利用することができます。
2.導入しやすい
PLMに必要な機能がワンパッケージになったソリューションなので、機能ごとの追加ライセンスは一部を除いて不要です。
3.開発しやすい
ローコードプラットフォームであり、PLMに必要な機能がテンプレートで用意されている、自社内での開発やメンテナンスが可能、バージョンアップに対応しやすいなどの理由から、開発しやすいPLMソリューションです。
ソフトウェアのバージョンアップは、利用する側の積極的な動機によることが望ましいのですが、OSやサーバーそのもののバージョンアップに対応するためなど、受け身的な動機によるケースが多々あり、そのためだけの出費や人員の投入はリソース効率の面から避けたいところです。その点、Aras Innovatorでは、サブスクリプションサービス内でバージョンアップが担保されています。

Aras Innovatorをお勧めする理由
まとめ
MBD実現のための取り組みとして、業務や情報をつなぐことが極めて重要です。そのためには、業務プロセスの定義とその進行状況を管理し、MBDプロセスで取り扱う情報の管理や情報を生成・活用するツール群、特にシミュレーションとの連携が可能なSPDMが必要となります。
シミュレーションデータの格納だけでなく、関連する情報との接続が可能なAras Innovatorをプラットフォームとして活用したSPDMを構築し、それを設計開発で実際に利用することで、業務や情報がつながり、製品開発プロセスの変革を促進し、新たな価値を創出することが可能になります。そしてさらに情報がつながり蓄積されることで、AIや最適化などの新たな取り組みへの展望も開けます。
IDAJでは、社会や環境の変化に対応しやすいAras Innovatorプラットフォームを利用したSPDMの導入や、導入後のユーザー様の社内での開発をご支援するための開発者の育成支援といったサービスもご用意しています。
MBD検討またはPLM構築の折には、ぜひAras Innovatorのご紹介セミナーや体験プログラムもご活用ください。皆様からのお問い合わせをお待ちしております。

SPDMを実現するためのプラットフォーム「Aras Innovator」
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