ソリューション
ソフトウェア
その他・お知らせ
本文までスキップする

最新GPUテクノロジーで設計検討が加速する!リアルタイムシミュレーションデザインの未来(その2)

皆さま、こんにちは。

IDAJの金澤です。

世界最大のエンジニアリングシミュレーションソフトウェアの開発元の一つであるAnsys社が、これまでに培ってきたシミュレーション技術の粋を集めて開発したのが「Ansys Discovery」

Ansys Discoveryは設計者へのCAE展開が見据えられており、GPUカードを使用した同社独自の技術によって、設計案の変更を行いつつ3Dシミュレーションによる性能評価を即座に実現できる、唯一無二の「リアルタイムシミュレーションツール」です。

今回は、Ansys Discoveryの機能概要からご説明します。(前回の記事はこちらです。)

Ansys Discoveryの機能概要

Ansys Discoveryには設計フローに応じた3つの「ステージ」があります。解析の内容や深度に応じて、これらのステージを切り替えながら設計検討を行っていきます。

Ansys Discoveryの3つのステージ

Ansys Discoveryの3つのステージ

1.MODELステージ

MODEL(モデル)ステージは、形状モデルの読み込みや編集・修復など、3Dシミュレーションに必要な前準備のためのステージです。Ansys SpaceClaim®のユーザーインターフェースを受け継ぎ、一般的なCADとは全く異なる、作業履歴に依存しない(ノンフィーチャーベース)編集機能がご利用いただけます。これにより、形状を編集したい箇所に直接、直感的な操作で手を加えていただくことが可能です。

MODELステージの直感的な形状編集機能

MODELステージの直感的な形状編集機能

 

MODELステージには、3Dシミュレーションへの応用を前提とした様々なモデリング機能が搭載されています。

  • “キタナイ”ジオメトリの修復ツール

[縫い合わせ]、[ギャップ]、[欠落面]等、シミュレーションを行う上で一般的に障害となる様々な問題の修復を目的としたコマンドがあります。

  • シミュレーション用前処理ツール

[フィル]、[微小面]、[面をマージ]等、シミュレーションをより簡単・高速に行うための形状簡略化や、複雑な結果処理を目的としたモデルの部分的な改変といった処理を目的とした、かゆい所に手が届く複数のコマンドがあります。

  • 多様なフォーマットへの対応

CATIA®やSOLIDWORKS、AutoCADなど、一般的な市販の2D/3D CADソフトウェアから出力されるほぼ全てのフォーマットのファイル、IGESやSTEP、Parasolidといった中間フォーマットを介したデータの読み込み、2D図面のトレースを行うための画像の読み込みが可能です。

  • STLファイルに対応

3Dスキャナなどで生成したSTLファイルの読み込み、一部のシミュレーションではSTLの表面形状がそのまま使用できる他、STLの表面形状を3D CADで利用可能なソリッドボディへと変換して編集を加えることも可能です。また編集機能の一つとして、3Dプリントを行う際に重要なボディ内部へのラティス構造生成を行うことができる[インフィル]機能があります。

  • ジオメトリチェック&自動修復機能を搭載

外部の3D CADから形状モデルを読み込んだ際、複雑な曲面が破綻した、正常に読み込まれなかったといった経験のある方もいらっしゃるかと思います。Ansys Discoveryには、データの読み込み時に問題の特定やカテゴリ分けするジオメトリチェック機能、特定された問題の種類に応じた自動修復機能があります。これによってモデルの修正にかかる時間を大幅に短縮することが可能です。

  • CAE用の3Dモデルのスクラッチ作成も可能

外部ソフトウェアからのモデル読み込みに加え、各種コマンドを組み合わせてAnsys Discovery単体で3Dモデルを作成することができます。もちろん、2D図面を3Dモデルに起こすといった操作も応用範囲に含まれます。

MODELステージで利用可能な様々な機能の概要

MODELステージで利用可能な様々な機能の概要

 

2.EXPLOREステージ

EXPLORE(エクスプロア)ステージは、これまでAnsysが培ってきたシミュレーション技術と最新のGPU技術の組合せによって実現した、リアルタイムシミュレーションのためのステージです。このステージは、設計変更が結果に及ぼす定性的な影響を把握する用途に特化しています。また、GPUカードで計算しつつ描画を処理するため、従来のシミュレーションツールに比べて格段に計算速度が速いことが特徴です。MODELステージの形状編集機能を同時に利用できるため、形状の変更後すぐに3Dシミュレーションの結果を確認できます。これにより、これまでの設計者支援ツールでは成し得なかった、物理現象を考慮した設計変更と再計算のリアルタイムな繰り返しが可能となっています。

[EXPLOREステージで対応するシミュレーション]

  • 定常/非定常の熱流体解析
  • 熱応力変形を含む静構造解析
  • 固体伝熱解析
  • 構造モーダル解析
  • 構造トポロジー最適化(+最適化済み形状のジオメトリ出力)

設計変更と影響調査を迅速に行うことができるEXPLOREステージのリアルタイムシミュレーション機能は、忙しい皆様が検討に要する時間的なコストを大幅に削減します。

EXPLOREステージのリアルタイムシミュレーション(熱流体解析)

EXPLOREステージのリアルタイムシミュレーション(熱流体解析)

 

3.REFINEステージ

REFINE(リファイン)ステージでは、前述のEXPLOREステージのリアルタイムシミュレーションを活用して当たりを付けた有望な設計案をより高精度にシミュレーションするために、Ansysのフラッグシップツール群と同じ技術を用いたメッシュとソルバーをご利用いただくことができます。これまでにご紹介したMODEL・EXPLOREステージとインターフェースは共通です。これにより、シミュレーションの実務経験が少ない方でも、Ansysの高精度なソルバーを使用した信頼性の高い定量評価を、設計検討の段階で直感的に行っていただくことが可能です。

また、Ansysのフラッグシップツール群へのデータ出力機能 (図5・6) もこのステージでご利用いただけるため、シミュレーション専任者とのスムーズな連携、より高度なシミュレーションのためのモデル流用が可能です。

REFINEステージのハイエンドソルバーシミュレーション(静構造解析)

REFINEステージのハイエンドソルバーシミュレーション(静構造解析)

4.柔軟なライセンス形態

これら3つのユニークな特徴を持つ各ステージは、設計検討に求められる作業の深度に応じて使い分けることになります。実施したい内容に応じて必要なライセンスを柔軟に選択することができ、ハイエンドツールの導入と比べてコストを抑えることができます。

Ansys Discoveryのライセンス形態

Ansys Discoveryのライセンス形態

 

Ansys Discovery 2024 R1の最新アップデート情報(一部)

1.EXPLOREステージの[ローカルサイズコントロール]機能(構造解析機能、流体解析機能(β機能))

この機能によって、GPUカードのスペックが低い場合でも、EXPLOREステージで詳細なモデルを高速にシミュレーションすることが可能です。

2.EXPLOREステージの予荷重モーダル解析

EXPLOREステージの構造モーダル解析で、予荷重条件を考慮できるようになりました。固有振動数を求める際に線形・静的な予荷重の効果が反映されるため、圧力容器や回転翼などの予荷重条件下にある構造物に関して、より現実に即した振動数を求めることができます。

3.ウェルドラインの自動定義機能(モデリング機能)

情報をCADツールからインポートし、ウェルドラインを定義する機能が新たに追加されました。これによりAnsys Mechanical上での溶接箇所を容易に考慮でき、セットアップに要する時間が大幅に短縮されます。またウェルドラインのサイズ・長さ・ピッチは変更でき、必要に応じて定義後に位置を変更することも可能です。

4.[環境特性]機能

Ansys Discovery標準搭載の物性リストに含まる環境負荷情報を利用して評価が行われますが、Ansys Granta製品群による環境負荷情報への拡張も可能です。

5.EXPLOREステージの内部輻射伝熱機能

EXPLOREステージで実施可能な熱流体解析機能で、内部輻射伝熱による熱移動量を考慮することができるようになりました。これによって、系内に高い温度差が生じている場合の熱流れ問題を高速にシミュレーションすることができます。

6.REFINEステージにおけるLive-GXソルバー機能拡張

REFINEステージ上で、高い精度の熱流体解析をGPU技術によって高速に実行することができるLive-GXソルバーの利用リソースを切り替えることができるようになりました。CPUを選択するとGPUよりも計算速度が低下するものの、システムメモリが使用されるため、GPUカードのスペックが低い場合でも大規模なモデルをシミュレーションできます。その他、内部反復履歴を確認できるモニター機能や、新しい2方程式乱流モデルの追加、ポスト処理機能の改善といった、多くの機能が拡張されました。なお、Live-GXソルバーはAnsys Discovery Simulationライセンスでご利用いただけます。

オンライン上の情報交換コミュニティ「Ansys Discovery Space」をご活用ください!

「Ansys Discovery Forum」に代わり、オンライン上の情報交換コミュニティ「Ansys Discovery Space(※)」が新設されました。

ここでは、以下のような豊富なコンテンツをご覧いただくことが可能です。(一部Ansysユーザー登録が必要な情報が含まれています。)

  • インストールモジュールやライセンスガイドなどのドキュメント
  • 各種シミュレーションテーマに関する学習コンテンツや質問&回答集
  • スクリプトやアドインのサンプル
  • ウェビナー等のイベントへの申し込み

 

設計の上流工程に役立つAnsys Discoveryの特徴に加え、2024 R1のアップデート情報もご紹介しました。ユニークかつ強力な3つのステージを持つAnsys Discoveryは、幅広いテーマへ適用していただくことができます。最新のGPU技術によって実現したリアルタイムシミュレーションを、設計検討に是非ご活用ください。

 

Ansys Discoveryを30日間無料で使ってみましょう!

Ansys Discoveryは、30日間の無料トライアルをお申し込みいただくことができます。まずは、Ansys Discoveryの操作性や機能をお試しください。
お客様情報をご入力後、「製品の資料請求」→「Ansys」にチェックを入れ、ご要望欄に「Ansys Discovery無料使用希望」とお書き添えください。

30日間無料トライアルを今すぐ申し込む

 

■オンラインでの技術相談、お打合せ、技術サポートなどを承っています。

本件ならびに本記事で登場する製品やサービスに関しては、下記までお気軽にお問い合わせください。ご連絡をお待ちしています。

株式会社 IDAJ 営業部

Webからのお問い合わせはこちら

E-mail:info@idaj.co.jp

TEL: 045-683-1990