【適用事例紹介】Rocky DEMを使ってタブレット(薬剤・食品)のコーティングを早く、均一に!
皆さま、こんにちは。
IDAJの中嶋です。
弊社では、パーティクルシミュレーター「Rocky DEM」を販売しています。
このRocky DEMは、これまでの紛体解析ツールとは大きく異なる特長を持っています。
一般的な紛体解析ツールでは、非球形の粒子形状を取り扱うことができないか、球形粒子の集合体として非球形粒子をモデル化します。
しかしRocky DEMは、多面体として非球形粒子をモデル化することで、高精度な粉体解析に対応することができます。また、より詳細な形状の影響を考慮するために、3次元CADデータで定義した形状を読み込んで、粉体解析に使用する粒子形状(カスタム粒子)を作成したり、実物の粒子を3次元スキャーナーで読み込んで粉体解析に使用することができます。
さらに、GPUによる並列計算によって、高速な粉体解析を実現しており、ゲーム用のグラフィックカードでもCPUによる並列計算以上のパフォーマンスを発揮します。
(Rocky DEMの詳細情報は、こちらをご覧ください。)
薬剤や食品などのタブレットのコーティングは、そのコーティング速度が製造量や製造コストに影響することが知られており、生産性の向上を図るためにはしっかりとした対策が必要です。また、コーティングの均一性は、表面の状態や薬剤の溶け方に影響を与えるため、品質向上にとって極めて重要です。
そこで、このテーマに対して、Rocky DEMと多目的ロバスト設計最適化支援ツール「modeFRONTIER」を連成させ、コーディングを早く、均一に行うことができる条件を探索しました。

ドラムとバッフルの形状

タブレットの形状
今回は、スプレーを想定した領域内に各粒子がどれだけ滞在したかを取得して、コーティングの速度やばらつきを評価するものとしました。
ANSYS SpaceClaim Direct Modelerでコーティング装置内のバッフルの角度を変更、Rocky DEMのマクロ機能で回転数を変更し計算実行するというフローを、modeFRONTIERでコントロールします。modeFRONTIERには、MYノードといって、弊社を含む全世界のmodeFRONTIERの代理店が個別に開発する、ダイレクトインターフェースに近い使い勝手を持ったカスタマイズノードがあり、もちろんRocky DEMとの連成にもご利用いただくことができます。
Rocky DEMで実行した計算は、開始1秒間はドラムが停止した状態でタブレット粒子1,402個を投入、その後の1~6秒の間は、ドラムを回転させながら塗装シミュレーションを実施するというものです。最適化のための解析は、1ケースが約2時間で、最終的には192のデザインの計算を行いました。
一部の計算結果をご紹介します。
今回の例では、コーティング速度やコーティング均一性にドラムの回転数が影響していることがわかり、コーティング速度や最適なコーティング均一性に対してトレードオフの関係を見て取ることもできました。また、バッフルの角度(-20deg~20degの範囲)は、コーティング速度とコーティング均一性に影響はなく、ドラム製作時に精度を気にする必要がないこともわかりました。
タブレットのサイズ・形状、コーティングするタブレットの処理量によっても最適な回転数条件は異なることが予想されるため、今後これらの条件を振った最適化計算を実施しすることで、ロバストな条件を探索するなどの発展性を期待することができそうです。
こちらの事例や、紛体解析にご興味のあるお客様は、以下の問い合わせ窓口までお気軽にご連絡ください。
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