【CFD基礎講座:噴霧編(2)】相変化にかかわる熱
皆さま、こんにちは。
IDAJの流体解析エンジニア:ナッピです。
前回の記事掲載から時間が空いてしまいました、申し訳ございません。ようやく噴霧編(2)を掲載させていただきます!
これまでの流体解析に関する記事はこちらです。あわせてご覧ください。
除菌のため、最近アルコール消毒液を使うことが多くなりました。手にアルコール消毒液を付けてしばらくすると、手がひんやりしてきます。どうしてこんな現象が起こっているのでしょう?
これは、アルコール消毒液の蒸発によって、手から熱が奪われることで起こっています。
氷の入ったアイスコーヒー。
しばらく放置すると氷が徐々に融けていきます。真夏の暑い時期に、ギンギンに冷えたアイスコーヒーは格別においしいものです。これは、氷の融解により熱が奪われることで起こる現象です。
前回のブログでご紹介した「アイスクリームがとけないようにお店の人が入れてくれるドライアイス」。これも、ドライアイスの昇華による熱の消費を応用した方法です。
このように、蒸発・融解・昇華という相変化に使われる熱のことを潜熱(latent heat)といいます。一方で、温度上昇に直接寄与する熱のことを顕熱(sensible heat)といいます。
また、凝縮(気相から液相)・凝固(液相から固相)では、その現象によって熱を放出します。放出された熱のことも潜熱といいます。
では、相変化でどのくらいの熱が使われるのでしょうか?
大気圧下における氷や水を例にご説明します。
1gの氷に熱を加え続けた場合の相変化の様子を、縦軸:加えた熱量、横軸:温度のグラフにまとめました。
このグラフからは、次のようなことを読み取ることができます。
1gの氷の融解に使われる潜熱(融解潜熱)は約335.0J で、水の比熱は約4.2 J/g/K。これより、氷の融解潜熱は、水の温度を0℃から80℃に上げるのに必要な熱量に相当します。
一方で、1gの水の蒸発に使われる潜熱(蒸発潜熱)は、約 2258.0Jです。この数字は、水の温度を0℃ から100℃に上昇させるのに必要な熱量(約420.0J)の5倍以上に相当します。
このことから、相変化を考えるうえで潜熱は必要不可欠な概念であることがわかります。
さて、日常生活には、潜熱にかかわる現象がまだまだたくさん埋もれています。また私たちは、潜熱を有効利用した電気製品にも大変お世話になっています。お時間のあるときに探してみてくださいね!
次回は、蒸発・沸騰を考えるうえで欠かせない物性値である「蒸気圧(vapor pressure)」についてご説明させていただきます。
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