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電子機器の熱設計へのCAE活用の”キモ”(その1)

皆さま、こんにちは。

IDAJの中嶋です。

 

ズバリ、電子機器の熱設計においてポイントとなるのは

「伝熱経路のモデル化」

・半導体パッケージ

・プリント配線板

・筐体

「正しい物性値・発熱量」

・熱伝導率・比熱・密度

・輻射率(表面状態)

・発熱量

「実測との比較・精度向上」

・実測状況との違い

・接触熱抵抗

・実形状とCADデータ

です。

 

熱は、高温側から低温側に移動します。

これが電熱と呼ばれる現象です。伝熱には、「伝導」、「対流」、「輻射」がありますが、ここでは伝導にフォーカスしてみます。 

体温よりも高いものに触れた場合は熱く、低いものに触れた場合は冷たく感じます。例えば、冷えたハイボールが銅製カップで提供されると、素敵ですね。落ち着いた照明に照らされると、良いお店だな~と思います。

でも、手に持つととても冷たい。これは体の熱が、熱を伝えやすい(=熱伝導率が高い)銅製カップを通じて、ハイボールにどんどん移動しているということです。ということは、皆さんが冷たい状態のハイボールを長く楽しみたい場合は、熱を伝えにくい(=熱伝導率が低い)カップで提供してもらったほうが良いのです。

 

ある真冬の日、バス停に金属製のベンチと木製のベンチがあれば、皆さんはどちらにお座りになるでしょう?

木製のベンチですよね。これは、私たちが、木製のベンチの方が座ったときに冷たさを感じないことを経験的に知っているからです。

金属は熱伝導率が高いため、体からの熱を座面から離れた個所にまで伝えてしまうため、お尻からはどんどん熱が奪われていきます。一方で、木は熱伝導率が金属よりも低く、お尻から伝わった熱が、座面付近から熱が移動しにくいため、少し座るだけで座面と体温との温度差が小さくなり、冷たいと感じなくなります。

 

私たちの身近にあって、熱を伝えにくくするもの。それは“空気”です。

同じ木であっても、空気を多く含み軽い(=密度が低い)木のほうが、熱を伝えにくいですし、エンボス加工がされた紙コップや、二重構造になっているカップは、中に熱いコーヒーが入っていても持つことができます。

これは、手と内容物(この場合は熱いコーヒー)の間に、空気という熱伝導しにくいものが挟まっているため、手と内容物との温度差を保てるようになっているからなのです。

このほか、「対流」は流体が動くことによって発生する熱移動のことですし、「輻射」は電磁波の形でのエネルギーをやりとりすることによって発生する熱移動です。

輻射(または放射、Radiation)は、真夏に黒い洋服を着ていると暑いですよね。しかし、黒いものであれば輻射率が高いというわけではありません。私が調べたところ、荷物を梱包するときに使うガムテープにも輻射率0.95以上のものがありましたし、とある100円均一ショップで売られていた塗料の中 にも、0.95に近い輻射率を持つ製品を見つけました。

対流の現象は、お風呂やエアコンの使用で実感することができます。お風呂を沸かしていると、初めは湯船の上の方にある水ばかりが熱くなり、下の方は冷たいままです。それがいずれ、均一に熱くなっていくのは対流によるものです。エアコンは、暖かい風や冷たい風を作り出して、強制的に、部屋の中で対流させることで部屋全体の温度を調整しています。

 

さてこの熱の移動を、電子機器の電熱経路で考えてみます。

大雑把に言うと、電子機器の熱は、「半導体パッケージ」→「基板」→「筐体」→「外気」という経路をたどって、“伝導”、“対流”、“輻射”それぞれの伝熱形態でバランスを取りながら移動していきます。

 

【半導体パッケージ】

半導体パッケージの内部構造はとても複雑です。

熱源となっているのは、半導体パッケージ内のダイ(チップ)と呼ばれる、半導体でできた部品。ここで発生した熱は、半導体パッケージ内を主に縦方向に移動します。

半導体パッケージにヒートシンクがあるか、または半導体パッケージタイプによって、伝熱経路は異なりますますので、半導体パッケージ内だけをとっても、伝熱経路の特定が困難であることがご理解いただけるかと思います。

 

 

以下は、TDK株式会社様のWebサイトに掲載されている画像で、IC基板の実装法の変遷を示しています。

 

(出典:TDK株式会社様「TDK Techno Magazine」より)

 

そしてこちらは、株式会社フォトロン様のWebサイトで公開されているハイスピードカメラがとらえた「ワイヤーボンディング」のスローモーション映像です。

両社の画像と映像から、その構造の複雑さをお分かりいただけるかと思います。

 

【基板】

半導体パッケージが設置される、プリント配線板(PCB)も複雑な構造をしています。

各配線層には銅の配線パターンがあり、これが面方向への熱の広がりに影響しますし、配線層間には配線層間ごとに異なるビアが設置され、厚さ方向への熱の広がりに影響を与えます。CAEでは、この複雑な構造を熱的に等価なモデルとして構築することが必要となってくるのです。

 

 

電子機器の冷却手段は、以下の3つに集客され、世にいうヒートシンクやファンといった放熱手法は、原則的にこのいずれかに分類することができます。

  • 伝熱面積を広げる
  • 熱伝達量を増やす
  • 周囲の温度を下げる

 

 

CAEでは、正しい物性値や発熱量を使わなければなりません。同じ材料であれば、熱伝導率は同じなんでしょうか?

実は、ここは注意が必要なところです。同じ名前の材料であっても、メーカーによって熱伝導率、比熱、密度といった物性値が異なる場合も少なくありません。

よく使用されるメーカーのものは、物性値をメーカーから入手される、または測定するなどをお勧めします。

 

さて、一言で「実測」と言っても、簡単でないことがあります。その実測とシミュレーションの課題にフォーカスしているのが、「電子機器の温度測定とCAEのモデル化セミナー:基礎編」(IDAJ数値解析アカデミー)です。単純な部品単体であっても、実測は思いのほか難しいのです。

 

長くなりましたので、ここから先は次回に譲ります。

 

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