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【適用事例】CONVERGEとmodeFRONTIERの連成による遠心ファン翼形状最適化

皆さま、はじめまして。

IDAJのみっちゃんです。今回初めてブログを書かせていただきます。

 

本日は、オートノマスメッシング熱流体解析プログラムCONVERGE多目的ロバスト設計最適化支援ツールmodeFRONTIERとを組み合わせて、ファンの翼形状の最適化を行った事例をご紹介したいと思います。

 

遠心ファンの翼形状は、その性能や要求トルクに大きく影響するため、さらなる改良が求められています。その設計に最適化を取り入れることで、パラメータを試行錯誤的に調整する場合よりも、エンジニアの拘束時間を大幅に短縮し、開発スピードを上げることができます。特に3次元の流体計算は時間がかかるので、休日にも計算を進められるとうれしいですよね。

CONVERGEは最大の特徴は、ソルバー側が自動でメッシュを作成してくれるという点です。 CADデータを差し替えて形状を変更しても、改めてメッシュを生成するプロセスが必要ないため、CONVERGEは形状最適化問題との親和性がとても高いのです。

一方、modeFRONTIERは弊社で取り扱っている最適化支援ツールで、今回初めて最適化ソフトウェアを使用した私でも簡単に扱えるほどのシンプルさとわかりやすさが特徴です。GUIもヘルプも全て日本語ですし。

・CONVERGEの特徴

・modeFRONTIERの機能

ということで、今回はこの二つのツールを組み合わせて、以下に示した遠心ファンの翼の形状最適化を行ってみました。

 

設計パラメータとしては翼の形状を決める4つのパラメータを、目的関数としては吸入・吐出の全圧差最大化とトルク最小化の2つを設定しました。

まず、①modeFRONTIERから渡されたパラメータ値をもとに3DCADで形状データを作成し、②CONVERGEが読めるようなデータ形式に変換します。③これをCONVERGEが受け取って流体計算を行い、目的関数である全圧差とトルクをmodeFRONTIERに渡すということを繰り返します。一見複雑ですが、modeFRONTIERでは、ユーザーは各ツールのバッチ実行設定を行ったり、渡すファイルを指定するだけでフローを作成することができます。見た目もこの通り( ↓ )いたってシンプルです。また、計算が始まってしまえば、計算終了まで別の業務、例えばブログを執筆するなどといった業務に取りかかることができます。

 

 

CONVERGEでは、ファンの翼の回転をMRF(Multi Reference Frame)でモデル化し、定常計算を行っています。また、最適化アルゴリズムにはpilOPTというmodeFRONTIER独自のアルゴリズムを利用しました。

 

以下に示したのは、計算結果です。

まずはオリジナル形状と比較します。最大化する全圧差を横軸に、最小化するトルク縦軸にを取り、パレート解のみを表示させています。グラフの右下に行くほど良い解です。ここから、目的関数同士は正の相関が強く、トレードオフの関係にあることがわかります。またトルクが同程度のときには全圧差が6.7%改善し、全圧差が同程度のときにはトルクが5.4%改善する形状を探索することができました。

 

 

4つのパラメータのうち、目的関数と有意な相関があったのは、翼の長さ(Length)とファンの回転中心から見た翼の傾き(Angle)でした。この2つのパラメータの値を取り出して結果を色分けすると( ↓ )、Lengthが大きく、Angleが小さいものほど全圧差が大きい翼形状であることがわかります。

 

 

パレート解の両端の形状比較も行いました。先ほど述べたように、Lengthが小さくAngleが大きい形状と、Lengthが大きくAngleが小さい形状であることがわかります。

 

 

CFDエンジニアとしては、これら形状に対して流体が及ぼす影響についてもさらに考察したくなります。

今回、目的関数に設定したトルクは粘性トルクと圧力トルクの和です。粘性トルクに関係する速度と、圧力トルクに関係する圧力を簡単に見てみました。

まず、速度について示します。上が全体、下が翼一枚の表裏の速度コンター図です。全圧差が大きい形状では吐出口側(図中オレンジ四角部)で速度が増大し、また、翼の裏表(矢視A・B)で比較しても速度勾配が大きくなっていることがわかります。このことから、粘性トルクが増大しているものと考えられます。

 

 

次に静圧コンター図を示します。矢視は速度コンター図と同じなので割愛しています。

下段は、各翼の平均圧±250 Paをコンターレンジにとって、翼一枚の表裏に配色したものを示しています。全圧差が大きい、すなわちトルクが大きい形状では、翼の表裏の圧力差が大きくなっています。このことから圧力トルクが増大しているものと考えられます。

 

今回行った計算のデータや資料はご提供可能です

今回は、CONVERGEとmodeFRONTIERを組み合わせて最適化計算を行った事例をご紹介させていただきました。流体計算結果をもとに最適化を行うとなると、複雑な設定が必要であるように思われますが、CONVERGEとmodeFRONTIERなら、設定は簡単で、かつ結果も妥当なものが得られます。計算のデータや資料はご提供可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。本記事が、皆様の設計開発の一助になれば幸いです。

 

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