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革新的な製品検討のためのジェネレーティブ・デザイン

皆さま、こんにちは。

IDAJの林です。

実績や知見を生かした流用設計は、効率的な開発には役立ちますが、新たな価値を持った製品を設計することは難しいことが多いようです。それは、様々な設計上の目標を同時に満足させるための最適設計を実現するにはいくつかの障壁が存在するからです。

  • 最適化プロセスにおいて、トポロジー最適化・モデリング・確認解析で使用するツールが異なったり、複数の部署が担当することで、データのやり取りが煩雑で連携が難しい。
  • 最適化プロセスで導出した形状をCADでモデル化することが容易ではない。

これらは決して特別なケースではなく、日常の設計開発業務において散見される課題ではないでしょうか。そこで注目されているのが、ジェネレーティブ・デザインという新しい手法です。ジェネレーティブ・デザインを活用することで、デザイン性だけでなく、性能をも考慮した一気通貫のプロセスが実現可能となります。

今回は、ジェネレーティブ・デザインを取り入れるメリットと、ゴンドラのアーム部の最適設計を例に、一連の作業フローを簡単にご紹介します。

注目度、急上昇中!ジェネレーティブ・デザイン

新たな設計要件として軽量化が求められた場合、皆様はどのように設計を始められますか?まずば、既存の手法で軽量化を実現するアプローチを探ることになるのではないでしょうか。

現在の設計は、基本的には流用設計が基本となっており、過去の図面や3Dモデルを参照し、時には形状は変えずに板厚を薄肉にしたり、材料変更するなどして軽量化を試みます。もちろんその手法で、軽量化が実現できれば良いのですが、大幅な軽量化の達成はなかなかに困難なのではないでしょうか。また、一から新たに設計を行おうにも、その部品に求められている機能や性能に関する情報が蓄積されておらず、解析結果がすぐに参照できる状態でないことから、設計根拠が不明確な状況下で新設計を進めることになります。

既存の設計手法から“ジェネレーティブ”な新しいアプローチへ

既存の設計手法から“ジェネレーティブ”な新しいアプローチへ(ダッソーシステムズ様資料より抜粋)

3DEXPERIENCEプラットフォームのジェネレーティブ・デザインとは?

3DEXPERIENCEプラットフォームのジェネレーティブ・デザインでは、GDE(ファンクショナル・ドルブン・ジェネレーティブ・デザイナー)という機能を使います。GDEは、既存の設計手法によるモデリングだけでは解決が難しい耐久性や軽量化などに関する課題を解決する機能です。

GDEは設計空間や荷重、境界条件などの要件を事前に設定しておくことで、その条件を満たした最適な設計案モデルを提示するトポロジー最適化とモデリング技術を統合し、設計者の知見を超える軽量化などの設計モデルを描くことができるようになります。設計業務の効率化はもちろん、思いもよらない形状デザインが新たに創出されることがあります。

3DEXPERIENCEプラットフォームのジェネレーティブ・デザイン

3DEXPERIENCEプラットフォームのジェネレーティブ・デザイン

ジェネレーティブ・デザインの活用事例

架空のロープウェイのアーム部分を題材に、GDEを用いた設計プロセスと便利な機能を合わせてご紹介します。

 

アームの詳細設計前のコンセプト段階において、設計空間の中で初期体積比30%という重量制約を持ちつつ、剛性を確保するという形状検討を想定しています。GDEを用いた設計プロセスは、おおよそ5ステップです。

①アーム部分に設計空間を定義

②3Dモデルに対してFEM設定とトポロジー最適化設定を実施

③トポロジー最適化実行

④実行結果から3Dモデルを抽出

⑤抽出した3Dモデルで検証計算(②の設定が引き継がれているため再設定不要)

GDEでは材料特性や境界条件を設定し、位相最適化を行い、計算実行時に最適化中の形状や応答値をリアルタイムで確認できることが特徴です。さらに、解析結果の比較や3Dモデルの形状整備といった便利な機能が充実しています。

GDEを用いた設計プロセス

 

GDEを用いた設計プロセス

GDEを用いた設計プロセス

 

トポロジー最適化結果

トポロジー最適化結果

 

最適化結果から抽出した形状の妥当性の確認は、抽出した形状のシミュレーションモデルを作成し、同じ解析条件を用いて解析、設計要件を満たしていることを確認します。

抽出した形状は、元のCADデータや解析条件と接続が無くなってしまっていることが普通です。そのため、検証計算にあたっては、メッシュ分割や材料物性の割り当て、境界条件、荷重条件などの再設定が必要となります。場合によっては、複数条件での最適化計算によって複数の形状があるため、検証作業にかなりの時間を要することもあるでしょう。

GDEではこの検証計算を行うための工程が、ほぼ自動化されています。また、重量や変位などの各KPIを定義することで、新デザインが要件を満たしているか、何%向上したかといった結果を視覚的に判断することができます。比較対象に過去機種や異なる最適化条件での結果を並べると、改善傾向や各種トレードオフ関係も理解しやすくなります。

トポロジー最適化結果の比較

トポロジー最適化結果の比較

 

GDEの特徴的な機能であるイマジン&シェイプ(IMA)は、最適化結果から自動生成したソリッドを加工することができます。これは出力したソリッドに設計要件や製造要件からはずれた部分が存在する場合、設計意図に合わせた形状へと直感的に修正できる機能で、ソリッドに沿って簡易形状での表現に置き換える手法です。

イマジン&シェイプ機能

イマジン&シェイプ機能

 

ジェネレーティブ・デザインから拡がるソリューション

設計、シミュレーション、製造、データがシームレスに接続された3DEXPERIENCEプラットフォームの中で、GDEによって創造された形状やデータが加工や製造の領域と繋がることで、ものづくりにおける革新的な変革をもたらしてくれます。異なる領域、部署、データと接続されたジェネレーティブ・デザインは、既存の設計方法にとらわれないプロセスの実現にお役立ていただけるものと思います。

GDEによるトポロジー最適化で導き出された形状を3Dプリンタで積層造形するソリューション

GDEによるトポロジー最適化で導き出された形状を3Dプリンタで積層造形するソリューション(ダッソーシステムズ様資料より抜粋)

 

ジェネレーティブ・デザインは、2030年までに約7億ドルの市場規模になると言われている非常に注目度の高い技術です。それは、設計の初期段階から短時間で検討でき、先入観にとらわれない新しい設計案が創造できるというジェネレーティブ・デザインの価値によるものだと考えます。この新しい技術を3DEXPERIENCEプラットフォームでご利用いただくことで、より多くのメリットをご提供できるものと確信しております。本件に関して、ご不明な点や詳細なご説明をご希望の場合は、どうぞお気軽に下記までお問い合わせくださいますようお願いいたします。

 

 

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