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シミュレーションドリブンの設計を実現する“MODSIM”への第一歩

皆さま、こんにちは。

IDAJの林です。

手戻りによる開発遅延、高騰する人件費や試作費、現象解明の難しい問題を抱えているといった様々な問題に直面しながらも、「高度化」と「効率化」を両立した設計が求められています。また設計者は、開発期間の短縮により「デザイン検討」だけでなく「性能検討」にも早期に取り掛かる必要がある、既存製品の延長線にはない、新たな製品形状を導き出す設計プロセスへの転換が必要であるなど、かなりハードルの高い課題に取り組まねばなりません。

今回は、設計者と解析担当者の壁をなくし、分野を横断した協調でイノベーションを加速しようというソリューションの一つとして、これまで通りCATIA V5での設計を継続しながら、シミュレーションに3DEXPERIENCEを活用したMODSIMの事例をご紹介します。

MODSIMとは?

MODSIMは、ダッソー・システムズ様が提唱している「ModelingとSimulationの融合を図る」というコンセプトを表す造語です。CADモデリングとCAE解析を単一環境の共通データモデルでシームレスに統合することによって、製品開発に関わる仕事を合理化し、分野を横断した協調でイノベーションを加速しようというソリューションです。3DEXPERIENCEを活用したMODSIMのメリットは大きく3つあります。

  • 最先端の解析エンジンを利用

構造解析ソルバーには、より高精度で高度な非線形解析にも対応できる最先端の解析エンジンであるAbaqusを採用し、疲労解析や流体解析も同じ環境で実行可能

  • トレーサビリティ

各データ間の関係を見える化、過去のデータへの容易なアクセス、ダッシュボード機能でのノウハウの共有

  • 並列計算の高速化

サーバー導入費用などの計算管理コストの削減するクラウド環境に対応し、並列計算の高速化をサポート

4気筒のサンプルモデルを使って、エキゾーストマニホールドを対象としたMODSIM事例

モデリングにはCATIA V5を、シミュレーションは3DEXPERIENCEを使用し、この2つを繋ぐのがPower’BYです。Power’BYによってCATIA V5で作成したモデルを3DEXPERIENCEに保存することができます。

 

1.Power‘BYを使用するメリット

現在、モデリングにCATIA V5を使用されている場合、モデリングからシミュレーションまでの作業のすべてを、いきなり3DEXPERIENCEに置き換えることは、なかなかハードルが高いと感じられる方も多いのではないでしょうか?ここで Power’BYの出番です。3DEXPERIENCEへの全面移行までの中間フェーズにあたるプロセスを、 Power’BYで構築することができます。

CATIA+Power’BY+3DEXPERIENCE活用メリット

CATIA+Power’BY+3DEXPERIENCE活用メリット

 

2.CATIA V5+Power’BY+3DEXPERIENCEを使用したMODSIMの作業フロー

まずはエキゾーストマニホールドを例に、全体の流れをご説明します。

初めにCATIA V5でモデリングを行い、3Dモデルを作成します。次に、3DEXPERIENCE Simulationで解析条件設定、シミュレーション実行、解析結果を確認します。この結果をもとに、数パターンの3Dモデルを修正し、再度シミュレーション実行し、結果改善を確認します。

CATIAv5+Power’BY+3DEXPERIENCE活用フロー

CATIAv5+Power’BY+3DEXPERIENCE活用フロー

 

エキゾーストマニホールドの形状をCATIA V5上でモデリングした後に、3DEXPERIENCE上で、熱応力解析のための設定を行います。右側のアシスタントパネルに沿って、解析条件やメッシュ設定を行い、設定が正しく完了できていれば、アシスタントパネルのチェックが赤色からすべて緑色に変わりますので、解析に不慣れな非解析専任者にもわかりやすい設定画面になっています。また、簡易強度解析、詳細強度解析、固有値解析など、解析の目的に応じたメッシュパラメータを解析専任者が保存し、設計者がそれをテンプレートとして再利用します。これによって解析専任者のノウハウを活用した、社内におけるメッシュ情報の標準化が可能です。

アシスタントパネルを使った解析条件設定

アシスタントパネルを使った解析条件設定

 

解析実行後の解析結果考察においては、応力集中箇所などの問題への対応を、一人の担当者だけで完結することは少ないのではないかと思います。そこで設計者、解析担当者、製造といった異なる担当者の専門分野の知見と視点で課題を分析し、お互いに円滑に意見を交換するといった問題解決に向けた協調を支援するための機能があります。

プロジェクトに参加しているメンバーが、ブラウザに表示させた3Dモデルの気になる箇所にピンを刺し、コメントを書きこみ、他のメンバーと共有します。また課題箇所への対策のためにCATIA側で形状修正し、再度複数モデルを検討した上で、シミュレーションモデルを更新するわけですが、このときは更新ボタン1つで解析側で再計算まで行うことができます。大幅なトポロジ変更が行われない限り、解析条件等の再設定は必要ありません。

結果考察における課題共有機能

結果考察における課題共有機能

形状修正後に、複数の設計候補案の比較や意思決定を支援する便利な機能もあります。

  • 複数の設計候補案の形状図や解析結果図を並べて比較できるCompare機能
  • 変位、質量等の項目を重み付けしてスコアやランクを可視化し、その結果を絞り込むCollaborate機能
  • 絞り込んだ推奨設計案にコメントを追加し、他メンバーに報告できるRecommend機能

質量や応力などの目的要求に対して重み付けすることで、設計デザインをランキングするといった使いかたができます。

複数の設計候補案比較や意思決定支援機能

複数の設計候補案比較や意思決定支援機能

 

ここまでは熱応力解析を例にご説明してきましたが、同様に疲労解析、流体解析にも対応しており、単一の物理現象解析だけに基づいた結果判断ではなく、複合解析の観点から、より良い設計案を検討することができます。構造、疲労、流体など各解析タイプによって異なるツールを使用するのではなく、複合領域での解析でも、同じプラットフォーム上で解析、結果比較ができるのも、3DEXPERIENCEでシミュレーションを実施する大きなメリットです。

同じプラットフォーム内で疲労解析や流体解析が可能

同じプラットフォーム内で疲労解析や流体解析が可能

 

 

今回は、エキゾーストマニホールドを対象に、CATIA V5での設計を継続しながら、シミュレーションに3DEXPERIENCEを適用した“MODSIM事例”をご紹介しました。

今後はCADモデリングとCAE解析を単一環境の共通データモデルでシームレスに統合することによって、これまでのCAD-CAEモデル間での活用だけでなく、データ管理におけるトレーサビリティ、設計プロセスにおける自動化・最適化、プロジェクト管理などへの展開を視野に入れてMODSIMをご活用いただければと考えています。弊社でも、CATIAでの解析などCADに付属した解析機能から3DEXPERIENCE SIMULIAの構造解析へのマイグレーションを検討されているお客様向けに、カスタムレクチャーや検証をご支援することで、設計者解析の立ち上げサービス等もご提供しています。ご遠慮なく下記までご相談いただければ幸いです。

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