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【適用事例紹介】感染症対策や医療機器の開発に有効活用されるシミュレーション

皆さま、こんにちは。

IDAJのANSYSプロダクト担当の河口です。

 

熱流体解析ソリューション ANSYSの開発元であるANSYS社から資料をご提供いただいた、感染症対策を念頭においたシミュレーション事例をご紹介します。

 

厚生労働省から、新型コロナウイルス感染症の現時点で把握している特徴【3月28日時点】として、以下の内容が示されています。

 

<感染の仕方>

一般的には飛沫感染、接触感染で感染します。閉鎖した空間で、近距離で多くの人と会話するなどの環境では、咳やくしゃみなどの症状がなくても感染を拡大させるリスクがあるとされています。

 

飛沫感染:感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他の方がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染します。

接触感染:感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスがつきます。他の方がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ると粘膜から感染します。

集団感染が生じた場の共通点を踏まえると、特に1.密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、2.密集場所(多くの人が密集している)、3.密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)という3つの条件が同時に重なる場では、感染を拡大させるリスクが高いと考えられています。

世界保健機構(WHO)によると、現時点において潜伏期間は1~14日(一般的には約5日)とされており、また、厚生労働省では、これまでの新型コロナウイルス感染症の情報なども踏まえて、濃厚接触者については14日間にわたり健康状態を観察することとしています。

 

■「ソーシャル・ディスタンス」を保つ

こちらは、咳の飛沫が空気中に広がる様子を再現したものです。1メートル離れた人の顔、首、衣服にまで飛沫が到達していることがわかります。2メートル離れれば、重力によって液滴が地面に引き寄せられるため、現在目安といわれている1.8~2メートルのソーシャル・ディスタンスは、適切だといえるのではないでしょうか。

シミュレーション資料の提供:Ansys、Inc.

 

在宅時間が増えるとどうしても運動不足になりがちです。気分転換やストレス解消に散歩や運動をすることは、今だからこそ大切なことだと思います。しかし、運動に熱中するあまり、その運動中に人と人との一定距離を保つ意識が希薄になりがちです。

こちらをご覧ください。ランナーや自転車に乗っている人から発せられた水滴が、後方にいる人まで到達している様子が再現されています。この結果からは正確な距離はわからないのですが、かなりのスペースをとる必要があることがわかります。また、ランニングの際は、前のランナーの直ぐ後方ではなく、斜め後方を走るのが良さそうです。

 

シミュレーション資料の提供:Ansys、Inc.

 

■マスクの着用

マスク着用に関しては、専門家から様々な意見や見解があり、私ではとても正解をお伝えすることはできません。ですが、「ソーシャル・ディスタンス」のことを考えると、少しでも自分から発せられる飛沫をマスクでガードできれば良いと考える人が多いのもうなずけます。良いと言われることで、自分でできることなら、やっておきたいと考えている、私もその中の一人です。

このシミュレーションを見ると、マスクの形状は、医療従事者の皆様が着用されるもののように思います。この例では、他の人を汚染するリスクを最大6倍も減らすことができると報告されています。

 

シミュレーション資料の提供:Ansys、Inc.

 

効果が期待できるなら、我慢してでも着用したいマスクですが、着用の仕方が不適切だと期待した効果が得られないこともあります。マスクを着用するのであれば、ぜひ適切に着用したいものです。

 

シミュレーション資料の提供:Ansys、Inc.

 

■医療従事者の皆様、公共の場所などを清掃してくださり衛生管理を維持してくださっている皆様への感謝

全世界に広がる、医療従事者の皆様、公共の場所などを清掃してくださり衛生管理を維持してくださっている皆様への感謝を示す動き。私も大いに賛同しています。また、公共サービスや交通機関、感染症患者を受け入れられている宿泊施設の皆様など、社会が一人一人の力で維持されていることを日々、実感しています。

こちらは、負圧室での医療スタッフの感染リスクを最小限に抑えるために、部屋の形や吸気口の配置、送風機の容量などを最適化して、口腔内と鼻腔から発せられる物質が室内で循環するのを回避するためにシミュレーションした結果です。

 

シミュレーション資料の提供:Ansys、Inc.

 

ここからは、ウイルスとの闘いをサポートする製造業または研究機関でのシミュレーション適用事例をご紹介します。

 

■消毒

施設内の部屋やフロア全体の除染が、重要なことは言うまでもありません。こちらは、汚染除去のプロセスを最適化した事例です。

 

シミュレーション資料の提供:Ansys、Inc.

 

■ワクチン製造

今の新型コロナウイルス感染症への最大の恐怖は、ワクチンが存在しないこと。もちろんワクチンがあったとしても様々な要因から重症化する可能性は常にあるわけですが、それでもやはり、ワクチンの製造と流通が待たれるばかりです。

ワクチンの製造においても、シミュレーションが活用された事例があります。それがこちらです。ワクチンの大量流通のためには、実験室規模での製造から、工場規模での製造へとスケールアップする必要があります。このスケールアップをより効率的に、より早く実現するためにシミュレーションが活用されています。

 

シミュレーション資料の提供:Ansys、Inc.

 

■人工呼吸器

重要な医療機器の一つである人工呼吸器の設計にもシミュレーションが活用されています。もちろん、製品の改良にも大いに活用されているのです。

 

シミュレーション資料の提供:Ansys、Inc.

 

■吸入と効率的な薬剤の輸送

なんらかの病気に罹患した人間の気道内への薬剤輸送は非常に困難です。これは、薬の多くが無駄になり副作用のリスクを増やすことにつながります。

医療機器会社では、自社で設計製造している吸入器が、薬剤を肺へどのように輸送しているかをモデル化することで、設計の改善に役立てています。もちろん、人間で実際にこの状況を確認する、つまりはサンプリングすることは難しいため、シミュレーョンが活用されます。

 

シミュレーション資料の提供:Ansys、Inc.

 

■呼吸療法時の室内汚染への対応

リバティ大学 教授 Dr. Wayne Strasserは、新型コロナウイルス(COVID-19)の拡散に関する研究を支援する、呼吸療法製品の開発に携わる企業からの依頼を受け、病室での呼吸療法中の唾液・粘液の霧状の液滴の吐き出しの様子をシミュレーションしました。

 

シミュレーション資料の提供:Ansys、Inc.

 

【免責事項】

本ページでご紹介したこれらのシミュレーションは、特定の状況下での物理的な動作を再現するように設計されています。それらは医学的ガイダンスと見なされるべきではなく、風や湿度などの環境の変化は考慮されていません。

 

 

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