『シミュレーション・デモクラシー』のススメ ~シミュレーションデータの管理について考えよう~
皆さま、こんにちは。
IDAJの飯田です。
今回はシミュレーションデータの管理について考えたいと思います。
MBD(Model Based Development)が設計の主流になっていくことで、シミュレーションプロセスがますます重要な位置を占めるようになっていますが、シミュレーションデータ管理の難しさは、共通の課題として、長年にわたって皆さまを悩ませ続けているのではないでしょうか。
ただでさえ“重い”シミュレーションデータが、シミュレーション回数分存在することになるため、肥大化した解析結果データがブラックボックス化している、設計データと解析結果データを紐づけることができない、解析専任者と設計担当者との間でのデータ管理がうまくいっていない、ナレッジを蓄積できない、ベテラン解析専任者のスキルやナレッジが伝承できない・・・ない、ない、ない・・・という、「このソリューションですべての問題が解決できます!」とは一概に言えない複雑な課題に対して、何とかお手伝いできないものかと弊社の技術者ともども日々頭をひねっています。
そこで現在開発しているシミュレーションデータ管理ツールの概要をご紹介したいと思います。ここからの説明は、担当Fに譲ります。
初めて記事を書かせていただきます。営業部の担当Fです。
私は以前、タイのバンコクに住んでいたことがあります。かの地で、忘れられないのが、BTSプロンポン駅からSukhumvit Soi31を北上しPhrom Chit Alleyとの交差点を右折してすぐのところにある『Peppina』というイタリアンレストラン。こちらのナポリピッツァがなんと言っても絶品なんです。店内は現地に住む外国人でいつも満席。石窯で焼かれるマルゲリータは、モチっとした絶妙な食感のパイ生地に濃厚な水牛のモッツァレラチーズが染み込み、一度食べたらやみつきになります。美味しいものが大好きですので、これから記事を書かせていただくときは、グルメ情報などを織り交ぜつつ、皆様にお役に立つ情報発信ができるようにがんばります!
よろしくお願いいたします。
さて、現在開発しているのは、IDAJが取り扱う製品の中で、特にユーザー様の多い製品の一つ「GT-SUITE」のデータ管理を目的とした『Aras for GT-SUITE』です。エンタープライズMBDプラットフォームである「Aras Innovator(以下Aras)」をベースに、Arasのもつカスタマイズ特性を生かして、GT-SUITEでの解析の自動化、解析データ管理、解析業務フロー管理などを可能にします。
クライアント側でパラメータ入力をすると、Arasデータサーバで解析を自動実行しますので、パラメータスタディを加速させ、自動化されたプリポストによって作業効率を飛躍的に向上させます。もちろん、解析結果もAras上でプロジェクトに紐づけて管理することで、タスクの受け渡しやワークフローの管理も可能となります。

Aras for GT-SUITEの構成イメージ
Aras for GT-SUITE導入のメリットは?
●解析自動化機能
・計算自動化による業務の効率化が図れます。
・設計展開することにより、新たな技術開発やモデリングにマンパワーを割けます。
・過去の計算結果を知り、重複計算を減らすことができます。
・大量な計算結果の一括管理から、将来的には機械学習(AI)への活用が可能になります。
・GT-SUITEのオペレーションがわからなくても解析実行が可能です。
・CAE専任者の工数を気にせず、設計者自身でパラメータスタディにトライできます。
・形状寸法を振ったバーチャル試験やロバスト設計が可能です。
●データ管理機能
・Arasによる統合管理のため、最新のパラメータ設定を利用でき、間違ったパラメータの上書きなどといったイージーミスを防止します。
・ベテランのスキルやナレッジを伝承します。
・計算結果や入力値を統計的に分析できます。
・GT-SUITEモデルデータの履歴を管理できます。
・GT-SUITEを起動しなくても、サムネイルによってモデル概要やパラメータ、諸元情報などを確認することができます。
・過去のプロジェクトで使用したモデルを簡単に抽出することができます。
・データの一元管理によって、重複モデルの発生を抑制します。
・最新のCAD形状と実験結果の不一致などのコミュニケーションミスが削減されます。
・過去の計算データやパラメータを確認することができます。
・常に最新のモデルやパラメータを使用することができます。
・関係するドキュメントを同時に管理することができます。
・モデルを利用する上で不明な点があれば、すぐに作成者に質問することができます。
●プロジェクト管理機能
・最終のCAEデータ、合わせこみのタイミング、承認者など、データの履歴を簡単に管理することができます。
・形状作成や筒内圧合わせこみ、燃焼波形合わせこみといった作業の進捗を見える化します。
・類似モデルの構築依頼の際、元となる過去モデルが探しやすくなります。
・タスクの確認によって、作業の進捗を確認することができます。
・計算結果をアウトプットした場合など、関係者へ通知することができます。
・プロジェクト視点で対象モデルを的確に探し当てることができます。
・複数のモデルをつなぎ合わせて、システムレベルの性能検討が可能です。
・形状設計が修正された場合、変更対象のモデルがすぐにわかります。
上記のように、シミュレーションデータ管理ツールを導入することによって、シミュレーションデータの有効活用が可能となり、解析業務の圧倒的な効率化や業務フローの可視化、スキル・ナレッジの伝承など、多くの果実を得ることができます。
さらにモデル管理などが進めば、その副産物として、モデル作成にあたってはGT-SUITEのライセンスが必要ない、高い解析スキルの無い解析専任者以外のエンジニアでも解析実行が可能になるなど、シミュレーションの民主化(デモクラシー)が進み、目指すべきMBDの促進にも繋がるのではないかと考えています。
今、働き方の様態が大きく変わりつつあります。そのような状況においては、ますますシミュレーションデータの管理が競争力を維持するための大きなファクターになるものと思います。
改めてシミュレーションデータの管理について考えてみてはいかがでしょうか?!
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