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どうする!?モータの温度評価(その2)

皆さま、こんにちは。

IDAJの中嶋です。

前回に引き続き、モータの温度評価に関する課題に対する、弊社からのご提案をご紹介します。

 

  1. 回転する永久磁石の温度を実測で求めることが難しい
  2. モータの到達温度を求めることが難しい
  3. モータの損失(発熱)がインバータの素子に与える影響を知りたい

 

ここからは実際にJMAGとFlothermを使って温度評価する方法をご説明します。

JMAGの磁場解析モデルとFlothermの熱流体解析モデルは、共通のCADデータから作成します。JMAG-FloTHERMデータマッピングには、「JMAG-FloTHERMデータマッピングツール」をお使いください。

まず、JMAGで磁場解析を行い、銅損と鉄損をそれぞれ計算します。多目的ファイル出力ツールを開き、それぞれの結果ファイルと対応する部品(銅損では巻線、鉄損では鉄心)を選択し、対象ステップは解析条件に合わせて選択します。後は、マッピングツールで簡単な設定を行い、FloXMLファイルを出力しておきます。

出力されたFloXMLファイルはアセンブリとしてインポートします。複数のソース部品で構成された発熱分布は、JMAGで得られた損失分布を再現しています。

発熱分布以外にも注意すべきことがあります。巻線・鉄心の熱伝導率の設定、過渡解析を行う場合の比熱と密度の定義、過渡解析で銅損や鉄損が温度によって変化する場合など・・・

詳細はマッピングツールを使ってシミュレーションされる際に、弊社までお気軽にお問い合わせください。

 

昨年11月の、弊社ユーザーカンファレンスIDAJ CAESolution Conference 2018で、アイシン精機株式会社様より「JMAG-Designerを使用した高調波損失計算と、FloTHERMを使用した熱流体解析の連携による、車載モータの発熱計算手法」についてご報告いただきました。

 

車載モータは熱環境が厳しく、熱設計がより重要になってきました。モータの発熱をシミュレーションで予測することは、マグネット設計においても有利ですが、熱流体解析の精度を担保するためには高精度な損失データが必要となります。そのためにはRTプラントモデルを使ったMILSモデルが必要で、敷居が高かったのですが、JMAG-Designer v17。1よりJMAG上でSILS環境の構築が可能になったので、この機能を使った高調波損失計算と、Flothermの熱流体解析を連携させる発熱計算に取り組まれています。解析の目的は、永久磁石の温度を求めることです。JMAGで計算した損失をFlothermモデルにマッピングし、解析で得られた巻線温度と実測で求めた巻線温度とを比較して、それぞれの値に差がなければ、解析で求めた永久磁石の温度は確からしいと判断できると考えました。

JMAGでの磁場解析の結果、実測値と解析値のトルクをそれぞれ比較したところ、両者のトルクはよく一致したため、解析精度が十分であることを確認できました。この結果から、この磁場解析から得られる銅損や鉄損の信頼性は担保できると判断しました。

 

 

続いては、Flothermで定常解析を実施した結果をご紹介します。

温度上昇試験で得らえた巻線の温度推移のグラフに、解析値をプロットしています。(定常条件で行った解析結果は時間依存しないので、X軸に平行な直線としてプロットしています。)

低トルク側のCase1では実測値が定常解に近づくことが期待できますが、高トルク側のCase2では実測値が解析値を超えそうなことがわかりました。

 

 

こちらは、過渡解析の結果です。実測値と解析値の比較を行いましたが、Case2は実測値から大きく外れました。

 

 

JMAGで計算した電流は理想的な正弦波ですが、実測はノイズが乗った高調波であり、正弦波と比較して振幅が小さいと考えられるため、銅損を多く見積もったためと推測しました。一方、解析モデルにもまだ改善の余地がありので、これからも技術的課題を一つ一つ解決しながら、精度向上に取り組んで行きたいと思います。

 

モータの温度評価にお困りの場合は、弊社でお手伝いできることがあるかもしれませんので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

 

本件ならびにSimceter Flothermの新規・追加のご契約やお見積もりはこちらまでお気軽にご連絡ください。

 

株式会社 IDAJ 営業部

E-mail:info@idaj.co.jp

TEL: 045-683-1990