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【適用事例紹介】GT-SUITEをエンジン開発や冷却システム、車両全体の熱マネージメントに適用(トヨタ自動車様)

Kimiko Nakai

皆さま、こんにちは。

IDAJの中井です。

 

今回は、トヨタ自動車様でGT-SUITEをご活用いただいている事例をご紹介します。

同社は、クリーンで安全な商品の提供を通じて、豊かな社会づくりに貢献し、すべてのステークホルダーから信頼される良き企業市民を目指し、事業活動を継続されています。

 

 

GT-SUITEはパワトレ、冷却系開発での標準ツール


車両冷却系は、非常に多くのサプライヤー様が製造されている部品で構成されています。したがって、各部品の成立性と全体構想の成立性検討には時間がかかります。従来開発では、ユニットごとに独立して温度予測計算を実施し、その結果を関係者に報告しています。
例えば、冷却システムの手戻りを避けるためマージンを持たせた結果、冷却能力が不足したと仮定します。それを解消すべくラジエターファンの性能強化の検討が行われコスト増を引き起こし、また、冷却能力は温度予測の前提となっているため、再び各設計が温度予測を行うことで検討ループが大きくなり時間がかかります。さらに、計算結果はそれぞれ独立しているため、特に会社間を跨ぐ開発では相互影響が不明のまま試作するというプロセスとなってしまいます。


 

全体構想や背反確認、新規アイテムの検討に『モデル』を活用


現在は、エンジン開発、冷却システム、車両全体の冷却回路などの熱マネージメントや、エンジンの机上適合にGT-SUITEを適用しています。
企画フェーズで特性を決めて、それらを後工程へと落としていくべきなのですが、ほとんどがエンジンとモータ、インバーターを併用した複雑なシステムを持つクルマが多いため、特性設計だけで開発を進めると右バンクからの大きな手戻りが予測されます。そこで、構造や形をある程度見越した上で機能を割り付けるようにしており、まずGT-SUITEでエンジンの出力を予測し、車両の動力や加速度に対してデータを渡すというような流れになります。
GT-SUITEでのモデル化のポイントは、「階層に応じて粒度が異なる複数のモデルを構築すること」、「左バンクの下まで形状やその実現性を素早く確認できること」です。


 

トヨタグループ、さらには日本の製造業全体での取り組みに発展させたい


会社の枠組みを超え、グループ全体の仕事の仕方の再構築を始めいています。
例えば、アイシン精機様やアイシン・エィ・ダブリュ様、デンソー様、そしてトヨタ自動車が関わる冷却系設計においては、モデルのIN/OUTやテストパターンを各階層において決定し、各社が担当部品を持ち寄り、全体の冷却系を設計します。そして現在はこの取り組みをさらに発展させて、日本の製造業全体での大きな取り組みを呼び掛けています。経済産業省の自動車新時代戦略会議からの各種アナウンスメントにもありますように、日本の政策としても企業だけでなく産官連携を含めたプロジェクトが進行していますので、将来的には誰もがこのようなすり合わせに参画いただけるようにしたいと考えています。
日本の製造業におけるモデル流通での期待される効果は大きく2つあります。様々な垣根を超えた参加者が取り組む一つのプロジェクトにおいて、割り付けた機能の構造としての目標の達成の可否を、モノを作る前に確認し、V字の左バンクへ移るスピードを上げること、新しい製品を開発する際には、既存製品のどこに手を入れると効率よくシステムを成立させることができるのかを把握することです。システムそれ自体を全員で共有することによって技術開発が加速するものと考えています。
このモデルの流通を実現するためには、産官連携を含めた参加組織の広がりと同時に、モデルで物理を考えることができる、そういった基本的な知識や考え方を理解して、使いこなすことができる人材の育成が急務です。その点も含めて、弊社もそして私自身も使命感を持って取り組んでいます。


 

本事例の詳細は、こちらをご覧ください。
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株式会社 IDAJ 営業部
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