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【適用事例】Rocky DEMを用いた農業分野におけるプロセス開発:その効率化と加速

皆さま、こんにちは。

IDAJのRocky DEMプロダクト担当の河口です。

 

今回は、Ansys FluidsではなくRocky DEMの農業分野での適用事例をご紹介します。

農業分野における各種の機械装置は、種子、茎、葉、土壌、その他農作物、搾りかすといった加工物など、様々な対象を扱う必要があり、機器の利用中に発生する問題は、材料の詰まりや機器の消耗・摩耗、非効率な分離などに起因していることがあります。

これらの問題を解消するために、IDAJでは、農業機械の設計開発を簡単かつ迅速に改善するツールとテクニカルサービスをご提供することを目指しています。

 

航空防衛分野や自動車分野、精密機械分野など、他の多くの産業界では、コンピューター上での仮想設計を可能にするシミュレーション技術が開発設計の比較的早期から取り入れられ、幅広く利用されていますが、農業分野は必ずしもそうではないと一般的に言われています。

その理由の1つは、農業分野のエンジニアの方々の、複雑な材料形状の高度な挙動をシミュレーションしたいというニーズにお応えできるシミュレーションツールや物理モデルが存在しなかったせいかもしれません。

ですが、IDAJで取り扱っているRocky DEMの登場によって、これらの高度なニーズにお応えできる可能性が飛躍的に高まったものと確信しています。Rocky DEMの革新的な技術的進歩によって、農業分野における強力なシミュレーションツールとなり、時間とコストのかかる物理テストやプロトタイピングの量を減らすことができます。

ここからは、Rocky DEMの特徴的な機能をご紹介します。

 

リアルな粒子形状

何が革新的か?を一言で申し上げるとすると、穀物、種子、繊維、各種作物、土壌、茎などの複雑で取り扱いが難しい対象の全てを、DEM粒子として取り扱うことができる点です。

農業用原料は、サトウキビや干し草といった細長い繊維状のものと、トウモロコシや種子のような非球状のものとがありますが、従来のDEMコードでは球形粒子しか取り扱うことができなかったため、非球形粒子を取り扱う場合には、球体を集合体にするアプローチを用いて形状をモデル化し、形状の非球面性を考慮するしか方法がありませんでした。

この方法では、球体は単純な接触検出アルゴリズムだけを実装すればよいので簡単ですが、干し草や繊維のような高アスペクト比の粒子を含む大規模シミュレーションを効率的にモデル化することができないなどのいくつかの大きな欠点があります。

例えば、アスペクト比1,000の細長い干し草粒子を正確にモデル化するためには、少なくとも直径1mm の球体1,000個を接着する必要があるため、多くのメモリ容量と計算に時間がかかることは想像に難くありません。

 

Rocky DEMは、自然界に存在する粒子を多面体形状で表現することで、実リアル形状でのモデリングが可能ですので、シミュレーションの精度を大幅に向上させることができます。繊維のような細長いものは1次元要素(ファイバー要素)、貝殻のような薄いものは2次元要素(シェル要素)、通常の体積形状は3次元要素(ソリッド)の粒子として模擬します。下図は、干し草、葉っぱ、トウモロコシなどの一般的な形状を、従来の球体接着法とRocky DEMの多面体表現の両方を用いてモデル化して比較したものです。

球体の形状は “デコボコ “しており、正確な表現になっていないことがわかります。このデコボコした表面では、DEMシミュレーションで重要な接触の有無の判定や、接触した際の摩擦力を計算する接触面積を正しく計算できないことは見た目からも明らかです。

 

 

柔軟性・破断性を伴う粒子

DEM材料モデルは、正確な形状表現に加えて、本来は材料が装置内で力を受けたときの正確な物理現象を捉えなければなりません。

一般的なDEMツールが剛体のみを取り扱うのに対して、Rocky DEMでは、粒子が繰り返しの応力によって伸びたり、曲がったり、ねじれたりすることを許容します。干し草やサトウキビのような材料は、オペレーション中にたわんだり、折れたりするため、Rocky DEMではフレキシブルファイバー粒子としてモデル化します。

まずは、球体円筒要素を連結して粒子を作成します。初期の未変形位置では、連続する要素の半球状のキャップの中心が一致しています。このモデルを使用して、より複雑な形状を作成することができます。

例えば、茎と葉を持つ大麦や木の枝は、下記の木材チッパーのシミュレーション例が示すように、枝分かれした繊維モデルを使用して作成します。また、この概念は2次元要素や3次元要素の接合部にも適用することができます。これらの柔軟性のあるバーチャルな継手は、高い常用荷重やせん断荷重を受けると破断するため、Rocky DEMの拡張破断シミュレーション機能を使えば、伐採装置の性能をより正確に予測することができます。

 

これらの特長的で優れた機能を利用した実際のアプリケーションにおけるRocky DEMの利用例をいくつか動画でご紹介します。

 

<干し草カッターのシミュレーション>

 

<干し草刈り機のシミュレーション>

 

<稲の収穫機のシミュレーション>

 

粒子と装置挙動の複雑な相互作用

コンバインのような農業機械の多くには、ギア、ベルト、プーリーなどの複雑な機構運動だけでなく、いくつかのコンポーネントが組み込まれています。これらのコンポーネントの挙動をモデル化するために、他のほとんどのDEMシミュレーションツールでは、外部のサードパーティ製マルチボディ解析ソフトウェアとのカップリングが必要で、一般的にこれは設定が難しく、モデリングや計算に時間がかかる傾向にあります。これらの問題を解決するために、Rocky DEMはモーションカーネルを標準機能として備え、サードパーティ製マルチボディ解析ソフトウェアとのカップリングなしに、Rocky DEMのみで動きを表現し、モデリングと計算にかかる時間を大いに短縮することができます。

 

<干し草梱包機の解析>

フレキシブルファイバー粒子で干し草をモデル化し、圧縮されて干草ベーラーを形成する様子を示したシミュレーションです。テンショナーはマルチボディダイナミクスで自律的に挙動し、複雑な挙動を示すベルトをフレキシブルシェル粒子で再現しています。

 

 

Rocky DEMにはこの他にもマルチGPUを用いた大規模計算や高速計算、Ansysツールとの連成によるマルチフィジックスシミュレーションなど、ユニークでパワフルな機能が多数あります。農業機械のような複雑な物理現象を伴う、剛体や球形状ではモデリングが困難なシミュレーション対象であってもこれらは有効に機能します。

 

Rocky DEMによるソリューションが、農業分野での機器開発に携わるエンジニアの方々の一助となり、ひいては食糧問題の解決に少しでもお役立ていただければ幸いでございます。

次回は本稿に関連して、食品加工業界におけるRocky DEMの利用例をご紹介させていただく予定です。

 

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