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営業部通信:レコードが「Vinyl」と呼ばれる理由

皆さま、こんにちは。

IDAJの営業部:担当Rです。

今回のブログは、全ての音楽ファンに捧げる(?)記事です。

皆さまは、「アナログレコード」って触られたことはおありですか?

 

私は20数年前の大学時代から、アナログレコードで音楽を扱うDJを趣味としています。アナログレコードというとクラシック・ジャズやオーケストラ、オペラなどのクラシック音楽を聴くことをイメージされる方も多いかもしれませんが、私はもっぱらヒップホップ、ハウス、ディスコといったダンスミュージック専門です。

DJ機材としてデファクトスタンダードのP社製ターンテーブル

DJ機材としてデファクトスタンダードのP社製ターンテーブル

 

今では記録媒体(メディア)を購入する形ではなく、ネット経由でデジタル配信による入手もしくはストリーミングでの視聴が一般的になりましたが、近年になってこのアナログレコードの復活が知られるようになりました。デジタルメディアとの対比で”アナログ”という用語を使っていますが、一般的に音楽用語で「レコード」というとこのアナログレコードのことを指します(以下、レコードという単語はアナログレコードのことを指して使います)。

CDの登場以来、音楽業界のレコードのリリース量や利用率は一気に下がったのですが、今でも音楽を制作・販売する会社は「レコード会社」と呼ばれますし、数は減りましたが街のCDショップも「レコード店」。一般用語として現役です。そして最近は、新譜を配信と並行して、少数ながらレコードでリリースするアーティストも増えつつあります。世界のレコード売上は、2006年から2015年の10年間で12倍に達していると言われています。理由は様々だと思いますが、スマホさえあれば音楽が聴けるという利便性の反動なのかな、と感じています。

 

神戸のレコード専門店「Strada Records」の店内

神戸のレコード専門店「Strada Records」の店内

 

さて、レコードは、英語で「Vinyl」と表記します。読んで字のごとく”ビニール”ですね。英語読みで”ヴァイナル”と言うことも多いです。これはレコードの材料が主にポリ塩化ビニールであることに由来します。

 

(以下、一部Wikipediaを参考にしています)

再生可能なレコードが発明されたのは1877年12月6日(のちの「音の日」)、エジソンが発明した「フォノグラフ」だと言われています。直径8cmほどの、錫箔を貼った真鍮の円筒に針で音溝を記録するというもので、音が出る基本原理は後のレコードと同じものだったそうです。

エジソンが発明したフォノグラフ

エジソンが発明したフォノグラフ

 

その後、エミール・ベルリナーによる水平式(円盤式)が発明され、この方式が現代のCD

・DVD・BD、さらにはハードディスクの原型に引き継がれていきます。

 

レコードの材料は上記の真鍮製のものから、ゴムやエボナイト、さらにはカーボンや酸化アルミニウム、硫酸バリウムなどの粉末をシェラック(カイガラムシの分泌する天然樹脂)で固めた混合物が主原料となり、これはシェラック盤と呼ばれました。シェラック盤は一時期主流でしたが、材料として脆く、摩耗が激しかったり落とすと割れるという問題がありました。再生機や針にも様々な問題があり、さらなる改良の歴史が続きます。

 

その後、化学技術の進歩により、ポリ塩化ビニールが主流となります。1931年に最初の試作品はアメリカのメジャーレーベル、RCA社で作られたと言われています。広く普及したのは第2次大戦後のことで、国内でもポリマーの国産化が進み、一気にシェラック盤からの切り替えが進んだと言われています。

 

レコード用の塩化ビニールは製品になったときに埃や傷が目立つように、わざと黒色に着色されている

レコード用の塩化ビニールは製品になったときに埃や傷が目立つように、わざと黒色に着色されている

 

塩化ビニール製のレコードは、(1)軽くて割れない、(2)加工性がよく微細な音溝が再現できるため音質が良い、(3)スクラッチノイズ(針の擦過音)が少ない、(4)適度な弾性と復原性があり寿命が長い、といった特徴があります。多少は曲げても大丈夫、ほこりや汚れ、直射日光による熱吸収(これに一番弱いです)に気を付けて、ちゃんとケースに入れておけば数十年前のものでも普通に聴けます。私はDJを趣味にしているので、視聴専門の音楽愛好家からは嫌われがちな「こする」こともあるのですが、やりすぎない限りは音質も下がりません。意外に耐久性があるのです。

長文になりましたが、このような変遷で現在、レコードは塩化ビニールが最適、という選択がなされています。

 

ものづくりにおいての材料選びは、上記の通り「目的の性能が実現できる(向上できる)」、「作りやすい」、「入手しやすい」、「リーズナブル(ちゃんと儲かる)」といった様々な理由から決定される、最も基本的な課題だと思います。

この材料検討・選定という作業は、材料種類が以前に増して多くなり、流通のグローバル化が進み、完成品に対する多機能要求、さらに生産技術の多様化も相まって、近年さらに複雑化しています。

 

材料選択のニーズ

材料選択のニーズ

 

IDAJではそういった課題を少しでも解決したいという思いから、「Ansys GRANTA Selecter」という製品を扱っております。

英国ケンブリッジ大学 工学部 Mike Ashby教授が提唱したAshby法を用いて、材料選択のためのツールとして開発されたもので、最適な製品設計を目指す全ての設計者が必要とする何万種もある材料から適切な材料を選択するためのプラットフォームです。

おススメなのは、調査に膨大な時間を要する

・材料価格

・環境に対する影響

・関連する類似材料

といった情報を収めた材料の百科事典” MaterialUniverse™”を中心とするデータベースと、物性値や製造手法、対象製品、コスト、環境影響度、規制物質情報などの豊富なデータの検索・可視化・フィルタリング・比較を支援するユーザーインターフェースです。

この表示機能が秀逸で、ものづくりにおいて重要な要素である材料選択を短時間で行うことを可能にします。詳しい説明をさせていただくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。

 

スマートな材料選択のためのプラットフォーム Ansys GRANTA Selector

スマートな材料選択のためのプラットフォーム Ansys GRANTA Selector

 

 

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