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熱とノイズの協調設計 ~そのプロセスの解説~(1)

 

皆さま、こんにちは。

IDAJの中嶋です。

 

出力は上げたいが、できる限り小型で、かつ軽量化したいという要求を満たすには、熱やノイズなどのあらゆる課題をクリアしなければなりません。

回路の高速処理化によるEMI(Electromagnetic Interference、エミッション、電磁障害)の増大、小型化や高密度実装による部品の温度上昇など、ノイズ・熱ともに厄介な現象であり、この2つの減少をより良い状態で両立させるために、設計条件はますます厳しくならざるを得ません。そのため、熱設計とは切り離して全体を理想回路とし、その挙動を予測するといったこれまでの電気回路設計では、設計の後工程で部品を追加するなどといった暫定的な対策によってコストが増大したり、設計の手戻りで設計期間が長期化するといった問題が発生しています。

 

熱とノイズ ~この厄介な現象を適切にコントロールしよう~

以下は、従来のプリント基板の設計フローです。

基板を試作し、EMIや熱の評価をする段階で問題がみつかると、そこから解決策を検討することになりますが、

この段階では、既に設計がほとんど固まっているため、対策案の選択肢があまりありません。

機能に制限をかけたり、部品を追加するなどのその場しのぎの対応では、品質の低下や製品のコストアップに繋がり、製品の市場での競争力が落としてしまうことになりかねません。

 

しかし、どうしても解決策が見つからない場合は、設計フローの上流に差し戻して設計を見直すことになることがありますが、こうなると、開発計画に大幅な遅れが生じ、次の機種の開発への着手にも遅れが発生するなど、後々のスケジュールに対しても影響が出てしまいます。

 

また、EMIの問題は部品を追加してクリアできたとしても、その影響を受けて熱の問題が生じ、様々な試行錯誤の結果、EMIと熱の問題の両方をクリアすることができずに、設計の前工程に差し戻さざるを得ないというような状態に陥ることも十分に考えられます。

プリント基板設計におけるノイズと熱

プリント基板設計におけるノイズと熱

 

EMIと熱の関係

例えば、基板のGND(グランド)を大きくすることは、EMIと熱に対して共通の有効な手段です。

しかし、部品を基板中央に集めた方がEMI対策には有効だが、一方で部品どうしの距離を離して配置した方が熱的には有効であるといったトレードオフの関係となるような場合があります。

このように、熱に注意して設計するとEMIの評価をクリアできない、逆にEMIに注意して設計すると熱の評価をクリアできないという苦い経験をされた方も多いのではないでしょうか?

このような問題を避けるためにも、基板設計の早い段階からEMIと熱の双方を検証する体制を確立し、EMIと熱を両立できるような設計をすることが重要であると考えます。

 

ノイズと熱の両立

ノイズと熱の両立

熱とノイズの協調設計に必要なツール

そこで、IDAJからご提案させていただいたいのが「熱とノイズの協調設計」。

最初に、「熱とノイズの協調設計」に必要なツールについて簡単にご紹介します。

 

基板の熱設計には、電子機器の熱設計支援ツールである「Simcenter Flotherm」を使用します。

Simcenter Flothermは電子機器専用の熱流体解析ツールで、多くの電子機器の熱設計において使用されています。電子機器の熱解析を短時間で実施することができ、基板CADとのインターフェースがありますので、基板モデルを簡単に取り込んで解析することが可能です。

さらにパラメータースタディ機能のコマンドセンターを使用すると、設計の初期段階において実施する部品の配置検討といった多数のデザインの解析を迅速かつ高速に実行することができます。

 

電子機器専用熱設計支援ツール Simcenter Flotherm(1)

電子機器専用熱設計支援ツール Simcenter Flotherm(1)

 

部品の放熱経路として重要な配線パターンは、基板を複数の領域に分割し、それぞれの領域に等価熱伝導率を自動的に計算してマッピングしますので、配線パターンの形状を考慮した解析を実施することができます。

また、電子機器専用熱設計支援ツール「Simcenter Flotherm Pack」で作成した半導体パッケージの詳細モデルを使用することで、ジャンクション温度やケース温度を予測することが可能です。したがって、ある程度まで設計が固まってきた、詳細な温度予測が要求される場面にも対応することができます。

このようにSimcenter Flothermは、設計の様々なフェーズでご活用いいただけるツールです。

 

電子機器専用熱設計支援ツール Simcenter Flotherm(2)

電子機器専用熱設計支援ツール Simcenter Flotherm(2)

 

EMI対策には、プリント基板のEMIの検証ツールである「DEMITASNX(デミタスエヌエックス)」を使用します。

DEMITASNXは、電磁界解析で「放射ノイズ」を求める「解析ツール」とは異なり、プリント基板のCADデータをチェックして、EMIで問題になりそうな個所を見つける「検証ツール」です。国内外の研究機関で検証された「EMIルールチェック」機能と、「電源-GND共振解析」機能を持ち、プリント基板の効率的なEMI対策をサポートします。

 

EMI抑制設計支援ツール DEMITASNX

EMI抑制設計支援ツール DEMITASNX

 

DEMITASNXは、2020年からIDAJでの取り扱いを開始しましたので、簡単に特長をご紹介します。

 

まずは、なんといっても「計算速度が速さ!」です。

検証ツールならではの高速計算によって、短時間でプリント基板のEMIが発生しそうな箇所を特定してくれます。

また、検証のための「モデル作成が簡単!」であることも大きな特長です。

各種基板CADとのインターフェースが揃っていますので、基板CADからデータを読み込み、計算用のモデルを作成します。このとき、IBISなどのライブラリデータは不要です。

単純な基板でしたら、1度の検証にかかる時間は数秒程度と超高速。また、配線パターン設計を実施する前の、部品の配置検討の段階からEMIのチェックをかけることができますので、プリント基板設計のフロントローディングにも貢献できるツールです。

 

長くなりましたので、次回「熱とノイズの協調設計の適用例」についてご紹介します。

 

電子機器専用熱設計支援ツール Simcenter Flotherm

 

EMI抑制設計支援ツール DEMITASNX

 

 

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