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沸騰現象を含んだ鉄板冷却のプロセスをCFDで再現(その2)

皆さま、こんにちは。

IDAJの伊藤です。

前回は、iconCFDの沸騰解析の設定までご説明しましたので、今回は解析結果と、実プロセスへの適用を見据えてノズルを複数にした場合の結果を示します。

 

現象再現のために重要なポイントは?

予熱領域、核沸騰領域、膜沸騰領域のそれぞれの状況を計算で再現できることが重要です。以下が解析結果ですが、予熱、核沸騰領域に比べて膜沸騰領域は熱流束が非常に小さい結果になりました。

 

計算結果

以下の各結果が示すように、汎用熱流体解析ツールでは計算が困難であった温度差の大きい膜沸騰が発生する状況の計算が可能であることがわかります。

特に、水噴流が加熱鋼板に最初に衝突する瞬間では、鋼板の降温速度が200℃/secを超えており、この計算が可能であるということは、設計製造プロセスにおける「焼きいれ工程」も解析対象として視野に入ります。

 

 

 

実プロセスへの適用に向けて

ここでご紹介した例は、鉄板冷却のプロセスをターゲットにしたものです。

実際の鉄板冷却プロセスは、大規模であり、水冷ノズルが複数配置された空間の中を鉄板が移動しながら冷却されます。自動車の燃費向上を目的として、薄型鋼板の需要が増加していますが、鉄板が薄い場合には、冷却ムラによる鉄板品質低下を防止することが重要で、設計上、適切なノズル配置を検討することが求められています。

このような現象をCFDで再現するには、ノズル1本の計算が精度よくできてさえいれば、鉄板の移動を追加し、ノズルの本数を増やせば良いので同様に精度よく計算できるはずです。

しかし、汎用の熱流体解析ソフトウェアでは、この現象を再現することができなかったためシミュレーションの適用が進んでいませんでした。しかし、iconCFDには、沸騰モデルがありますし、もう一つの課題である、ノズル数の増加と鉄板の移動を考慮することによる計算負荷の増加に対しても、適切なソリューションを持っています。iconCFDはライセンスフリーですので、大規模な計算を実行するときにライセンス数を気にすることがありません。

そこで、実際に複数のノズルを千鳥配置して、鉄板の移動(移動速度:1m/sec)を考慮した計算を行ってみました。以下はその結果です。上流のノズル近傍に比べて下流のノズル近傍のほうがより鉄板が冷却されていることがわかり、この傾向は妥当であると考えられます。

まだ検討を始めたばかりですが、このような検討をさらに進め、iconCFDをお客様の問題に対するソリューションの一つとして、お役立ていただけるようにしていきたいと考えています。

 

 

■本事例に関して、オープンソースベース汎用CFDソフトウェア「iconCFD」、iconCFD・OpenFOAM用プリポストプロセッサー「ennovaCFD」に関するご質問、不明点などございましたら下記までお気軽にお問い合わせください。

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